ボンネットの下に潜むのは純正ターボ仕様のBP-ZET!
ワンオフ仕様のワイドボディで手に入れた大迫力フォルム
1989年にデビューし、爆発的なヒットを記録した初代NA型ロードスター。その後継として1998年に登場したのが、2代目NB型だ。
初代のシャシーを受け継ぎつつ、サスペンションジオメトリーの見直しや各部補強が施され、搭載エンジンのB6(1.6L)およびBP(1.8L)もパワーアップするなど全身に進化が施されていた。
しかし、特徴である丸目異形ヘッドライトのデザインが不評で、販売面では苦戦。巻き返しを図るため、多くの特別仕様車が設定され、モデル末期には“クーペ”と呼ばれるユニークな派生車まで登場した。さらに、工場火災といったマツダの事情も重なり、NB型は歴代ロードスターの中で最短命となったのである。

そんなNB型に魅了され、免許取得後に4台を乗り継いできたのが、今回紹介する三崎さんだ。「スポーツカーに乗りたくて候補車を探す中、NBを選びました。決め手はちょうどいいサイズ感と、NB2から採用された3眼タイプのヘッドライトです」と語る。
最初のNB8Cは無事故車として購入したものの、真っ赤なウソでボディはボロボロだったため、5ヶ月で同じくNB8CのRSグレードに乗り替えたそう。「白いボディに赤いシートの組み合わせは、この時からのこだわりです。峠やサーキットを走るようになり、エアロパーツや足回りにもカスタムをし始めました」。

そして、3台目として国内350台限定のレアなターボモデルに乗り替えたものの、全損級のもらい事故に遭遇。新たに作り上げたのが現在のワイドボディ仕様だ。
「ベース車は後期NB6CのAT仕様で、生き残っていた純正ターボエンジンとミッションを移植しました。エアロパーツの構成は同様ですが、鈑金屋さんに『公認って興味ある?』と言われたことでワイド化を決意しました」と三崎さん。完成までに約2年を要したという。

BP-ZETエンジンは国内限定350台のロードスターターボのために開発されたもので、軽自動車サイズのIHI製によりNA的なフィーリングを重視した味付け。最高出力は172ps、最大トルクは21.3kgm。三崎さんのマシンでは吸排気系変更程度のファインチューンとなっている。

タービンサイズと同様にインタークーラーもかなり小ぶり。サーキット走行を考慮してオイルクーラーを追加した三崎号。楕円形のダクトは「S2000の無限バンパーをオマージュしてオーダーしました」とか。

フロントバンパーはNOPRO製をベースにワイド加工。開口部下側も中央部分を跳ね上げた造形に変更。ボンネットはトヨシマクラフト、アイラインはジェットストリーム製だ。

フロントフェンダーはガレージベリー製をベースに約30mmワイド化。それに合わせて、NOPRO製のサイドステップも延長加工する。ホイール&タイヤは、ボルクレーシングTE37V 10thアニバーサリー(FR:9Jマイナス5)にディレッツァZIII(FR205/50-15)だ。

リヤフェンダーは純正に鉄板を追加して叩き出しで30mmワイド化。リヤバンパーはガレージベリーがベース。新海自動車のダックテールはスムージングでトランクと一体化する。GTウイングはJAOSのエクストレイル用。マフラーはオートエクゼのテール部をバンパーに合わせて加工したものだ。

ワイド化に合わせたセッティングの足回りも三崎さんの自慢のひとつ。こちらを担当したのがロードスター界隈では有名なウエシマクリニックで、「シャコタンで乗り心地を確保、サーキットでもタイムが出せる」という要求を満たすべく、中古品をベースにストロークアップ加工と減衰変更を施したスペシャル車高調を装着している。

美しく配置された追加メーターがやる気を感じさせるコクピット。ピラーマウントのブースト計がターボ仕様の証だ。ミッションも事故ったターボから救出した6速MTで、ドイツ仕様の3.6ファイナルでギヤ比をロング化。

ホワイトのボディにレッドシートの組み合わせは2台目から続く三崎さんのこだわりで、現在装着するのはブリッドのXERO VS。サーキット走行を考慮して強固なロールケージもしっかりと装備。

「復活期間の足としてスイフトスポーツに乗ったことで、改めてNBの扱いやすさとドライブフィールは格別だと感じました」と、さらにNBへの愛着を深めた三崎さん。5台目にならないようにスペシャルなワイドボディを大切に乗り続けることを祈ってますよ!
PHOTO:市 健治/REPORT:川崎英俊
