ブリヂストンは、「EVERTIRE INITIATIVE」を通じて、使用済タイヤを「資源」としてゴムや原材料に「戻す」リサイクル事業をさまざまなパートナーと共に推進し、タイヤ水平リサイクルの早期社会実装を目指している。本パイロット実証プラントでは、使用済タイヤを精密熱分解することで分解油や再生カーボンブラックを回収し、タイヤ原材料として再利用するケミカルリサイクル技術の確立に向けて、技術実証が進められる。なお、竣工は2027年に予定されている。

グローバルでは自動車・交通需要の増加に伴い、将来もタイヤ需要の拡大が見込まれている。限られた資源の中で需要拡大に対応する必要があり、リサイクルの必要性はより高まっていく。現在、使用済タイヤのリサイクルにおいて、その多くはサーマルリカバリー(熱回収)により燃料として有効利用されている。
ブリヂストンは、サーキュラーエコノミーの実現に向けて、2022 年から、より高い技術力が求められるケミカルリサイクルへ挑戦している。2023 年には、東京都小平市の Bridgestone Innovation Park(以下、BIP)に実証機を導入し、精密熱分解試験を開始しました。使用済タイヤから分解油や再生カーボンブラックを回収するための技術開発を進め、これらの基盤技術をもとに、今後は本パイロット実証プラントで分解油や再生カーボンブラックなどの量産を見据えた技術の確立が目指される。また、安定した連続運転に必要なプロセス設計や品質管理などの知見の獲得、プラント操業のノウハウ構築、ケミカルリサイクルの実現を支える人財の育成にも取り組んでいく。
ENEOS にて使用済タイヤから回収した分解油をリサイクルオイル化し、合成ゴムの素原料であるブタジエン等の化学品を製造することで、再生カーボンブラックとともにタイヤ原材料として再利用される資源の循環を目指しています。

【注釈】
熱分解とは、化合物を無酸素で加熱し、化合物の構成物質を発生させる方法。タイヤの精密熱分解では、温度や時間などの詳細な条件を制御し、使用済タイヤから高品質なオイル(分解油)やカーボンブラックを高収率に生成することで、資源循環性の向上や CO2排出量の削減につながる。