強度面の不安を解消すべく専用のマウントも製作!

競技用サイズながら、脱着しやすさを考慮した親切設計

Z33、Z34とフェアレディZに精力的に取り組んできた岡山・サンラインレーシングは、ストリート仕様はもちろん、サーキット走行を主眼に置いたデモカー作りやオリジナルパーツ開発で知られている。その流れでRZ34にも着手しているが、意外にも開発ペースは控えめだという。

「走りのポイントは早めに押さえ、500psほどのブーストアップ仕様でサーキットに持ち込みました。しかしRZ34は熱対策や制御の介入が強く、連続周回は思った以上に厳しい。だから焦らず、素性をじっくり見ていこうと考えています。ストリートでは快適に、高速ではツアラー感覚で、サーキットでは気楽に楽しめる…そんな大人向けチューニングを優先しています」と、代表の佐藤氏。

とはいえ、走りの快感を追求する姿勢は変わらない。今回お披露目された「3D-GTウイング・タイプSN」は、コーナリング時の不安定さを検証する中で「やはりダウンフォースが不足している」と判断して生まれた競技専用品だ。

保安基準対応の市販ウイングでは、どうしてもデザイン性も空力性能も満足できない。サンラインは理想を突き詰め、あえて競技専用に仕上げた。その結果、標準のウイングレスはもちろん、バージョンS/STやニスモ仕様でも効果は抜群。専用マウントからステーごと外せば、違和感なく保安基準適合仕様に戻せるのも嬉しいポイントだ。サーキットでの安定感を求めるなら、このウイングは間違いなく“買い”だろう。

VR30DDTTエンジンは、ECU-TEKでセッティングしたブーストアップ仕様で実測500psをマーク。スポーツ走行で安心して楽しむため、吸気温度上昇によるポテンシャル低下などを懸念し、現在はロギングデータの分析を重ねている。

現状はHKSスーパーターボマフラーで排気効率を高めているが、近くメタルキャタライザーを投入予定。第1触媒をストレート化できるよう、オリジナルアウトレットパイプの開発も検討中だ。

ブレーキに関しては、開発初期段階に2ピースモデルのシステムインチアップキットを投入したが、その後モノブロックキャリパーに変更。重量級ボディを考慮し、絶対的な安心感を確保している。

歴代デモカーでも使用してきたトレースのダンパーキットは、フロント32kg/mm、リヤ28kg/mmでセットアップ中。数値だけを見るとストリートでは硬そうに思えるが、リヤのトリプルピロアジャスターにより、初期タッチは柔らかく、荷重がかかればしっかり粘る味付けとなっている。

高速クルージングには19インチ、スポーツ走行にはエアボリュームやグリップ確保のため18インチを採用。19インチは275/35-19のアドバンネオバAD09、18インチは295/35-18のアドバンA052をセットする。

乗りやすさと油温上昇抑制を狙い、LSDには特注仕様のOS技研・TCDを装着。フリー方向主体の2ウェイでマイルドな効きに調整しており、近日中にはニスモ製LSDオイルクーラーも追加し、スポーツ走行時のフィールチェックを行う予定だ。

快適に走れるアダルトスポーツ仕様を優先しつつ、FRスポーツの魅力は妥協せず追求。シートにはレッドカラーのブリッドジータ4を装着し、スポーツカーらしい華やかさと優れたホールド性を両立している。

今後はデフクーラーの導入も計画中。狙うのはタイムアタック一辺倒ではなく、「安定して楽しめるスポーツ走行」。これまでZチューンに積極的に挑んできたサンラインが、あえてペースを落として見据えるのは、RZ34の新しい楽しみ方の提案だ。ユーザーにとって、この方向性はひとつの指標となるに違いない。

●取材協力:サンラインレーシング 岡山県岡山市古新田1198-1 TEL:086-209-1000

「買えなければ作れば良い!」Zマイスターが手がけたRZ34仮想ニスモ仕様!!

Z34で数々のチューニングを手がけてきたガレージ力が、満を持して挑んだRZ34開発。ニスモ仕様が手に入らない状況のなか、ベースグレードを核に理想的な高速ツアラーを構築した。バランスを重視し、必要最小限の手数で走りと質感を磨き上げたその1号機は、まさに“本来あるべきRZ34ニスモ像”を体現している。

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