NISSAN GT-R
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Porsche 911 Carrera GTS
992.2型へと進化を果たした現行911




経営再建の真っ只中にある日産自動車はラインナップの再編を続けており、長く人気を集めてきた「R35 GT-R」も、2025年8月をもって生産を終了。2007年のデビュー以来、世界中のレーシングトラックを駆け抜けながら、パワーユニットやシャシーのアップデートを続けてきたGT-Rも、ついにその進化を止めることになった。
ポルシェを象徴するスポーツカー「911」は、2018年に現行モデルの992型が登場。6年後の2024年、大規模なアップデートを加えた992.2型が投入された。今回、GT-Rの対抗馬としてピックアップした「911 カレラ GTS」は、3.6リッター水平対向6気筒エンジンに電動ターボと電気モーターを組み合わせた「T-ハイブリッド」を搭載する。
ボディサイズは、GT-Rが911 GTSよりも全長で155mm、全高で75mm、ホイールベースで330mm大きい。スクエアなフォルムを持つGT-Rと曲線を多用した911 GTSを並べると、数値以上のサイズ差を感じるはずだ。さらに、車両重量はハイブリッドシステムを搭載しながらも、911 GTSがGT-Rより150kgも軽い。
日産 GT-R Pure edition
ボディサイズ=全長4710mm×全幅1895mm×全高1370mm
ホイールベース=2780mm
車両重量=1760kg
タイヤサイズ=255/40ZRF20(前)、285/35ZRF20(後)
ポルシェ 911 カレラ GTS
ボディサイズ=全長4555mm×全幅1870mm×全高1295mm
ホイールベース=2450mm
車両重量=1610kg
タイヤサイズ=275/35/ZR21(前)、325/30/ZR21(後)
モデルライフ末期まで進化を続けた「VR38DETT」




GT-Rに搭載されるのは、最高出力570PS・最大トルク637Nmを発揮する3.8リッターV型6気筒「VR38DETT」ツインターボエンジン。日産はモデルライフ末期にも改良を怠らず、専用チューンが施された「GT-R NISMO」は最高出力600PSを超える。「T-ハイブリッド」システムを搭載するカレラ GTSは、システム最高出力541PS、システム最大トルク610Nm。0-100km/h加速はリニアな電動ターボを搭載する911 GTSが、GT-Rを0.2秒上まわってみせた。
日産 GT-R Pure edition
エンジン形式=V型6気筒ツインターボ
排気量=3799cc
最高出力=570PS/6800rpm
最大トルク=637Nm/3300〜5800rpm
トランスミッション=6速DCT
駆動方式=AWD
最高速度=305km/h
0-100km/h加速=3.2秒
ポルシェ 911 カレラ GTS
エンジン形式=水平対向6気筒+T-ハイブリッド
排気量=3591cc
システム最高出力=541PS
システム最大トルク=610Nm
トランスミッション=8速PDK
駆動方式=RWD
最高速度=312km/h
0-100km/k加速=3.0秒
時代に合わせて電動化を受け入れた911




現在もGT3カテゴリーなどで対峙するGT-Rと911だが、R35 GT-Rがデビューしたのは、先々代911にあたる997型が販売されていた2007年。ポルシェはその間、2011年に991型、2018年には992型、2024年には992.2型を投入してきた。一方でカンフル剤を打ち込みながら、今も強力なパフォーマンスを誇るGT-Rだが、やはり18年という時の経過は長すぎたと言わざるを得ない。
室内の快適装備やボディ剛性、衝突安全性など、この18年の間に自動車は大きな変化を繰り返してきた。その進化はスペックだけでは、測り切れるものではない。GT-Rが今も得難い魅力を備えているのは確かだが、最新型の911 GTSは、1000万円近い価格差を乗り越えるだけの満足感をもたらしてくれる。
今回、世界中に熱狂的なファンを持つR35 GT-Rは、長きにわたったライフサイクルにピリオドを打った。アイコニックな「911」であっても電動化に舵を切ったポルシェに対し、日産は次世代GT-Rでどのようなパワートレインを選択するのかーー。世界最高峰を更新してきたビッグネームだからこそ、時代性を持ったGT-Rの登場に期待せずにはいられない。
車両本体価格
日産 GT-R Pure edition 1444万3000円
ポルシェ 911 カレラ GTS 2379万円
