車体軽量化と衝突性能向上の両立のために、材料の高強度化が求められているが、高強度化に伴い曲げ性が低下し、衝突時の割れが課題となっていた。日本製鉄では、2.0GPa級の高強度でありながら、従来の1.5GPa級ホットスタンプ用鋼板と同等の成形後の曲げ性を維持した鋼板が開発された。これにより、衝突性能(衝突時に破断することなく、衝突エネルギーを吸収)を満足しつつ、補強部品省略が可能となり、軽量化によるCO2排出量削減に貢献した。マツダ、部品メーカーと3社で、材料特性を活かした最適構造の検討や、ホットスタンプ量産時の操業条件の見極めが進められ、新型CX-5のフロントバンパーレインフォースに、本鋼板が世界初採用された。
このように、日本製鉄は先進的な素材開発に加え、素材性能を最大限に引き出すための部品構造やその構造を具現化する加工技術の開発が進められている。自動車車体の軽量化や安全性能向上を更に推し進め、カーボンニュートラル(CN)の時代に対応した次世代鋼製自動車コンセプト“NSafe-AutoConcept ECO3(エコキュービック)”が進化されている。
