二色の浜工場は、パナソニック エナジーの乾電池事業のグローバル旗艦工場として、自動化システムなどを取り入れたスマートな生産体制のもと、高品質な乾電池を国内外の市場向けに生産している。近年、脱炭素社会への転換が進むなか、環境と調和したモノづくりを掲げ、再生材を利用した製品の生産や使用済み乾電池のリサイクル推進など環境配慮型の取り組みが行われている。2023年には、工場の敷地内に設置するオンサイト太陽光発電や、敷地外の太陽光・風力・地熱発電由来のオフサイトコーポレートPPA※1の活用、また非化石証書の購入などを通して、CO2実質ゼロ工場※2を達成している。

今回、工場の敷地内において、太陽電池に加えて、新たに純水素型燃料電池とパナソニック エナジー製セルを使用した蓄電システムが導入され、これら3種の電源を連携制御するエネルギーマネジメントシステムが構築された。電力需要や太陽光発電の出力の変動をリアルタイムで監視し、太陽光発電の不足電力を純水素型燃料電池の発電で補完、電力需要のピーク時には蓄電システムから電力を供給することで、電力ロスの最小化と安定供給の実現が図られる。これによって、再生可能エネルギーによる給電量は従来比で最大約1.5倍に向上する効果が見込まれている。太陽光発電では国内の製造拠点におけるオンサイト型として最大規模の約2 MWの太陽光パネルを設置している。純水素型燃料電池はパナソニック エレクトリックワークス社製の5 kWタイプの燃料電池6台を使用し、最大で約30 kWの発電が可能。また、高さ17 mの水素タンクには二色の浜工場で生産している乾電池「エボルタNEO」のデザインが施されており、水素社会のインフラの象徴として地域のランドマークが目指される。

屋根上に2 MWの太陽光パネルを設置した二色の浜工場

パナソニック エナジー製セルが搭載されている蓄電システムの蓄電容量は約2 MWhで、これは一般家庭約180世帯の1日分の電力に相当する。約14万本の円筒形リチウムイオン電池が制御盤によって精密に管理されているため、秒単位での高負荷変動時にも迅速かつ安全に対応でき、系統電力への負荷低減や生産設備への安定利用、そして電力の平準化に寄与する。今後は、市場で使用済みとなった同社製蓄電モジュールなどを回収したリユースも視野に入れ、循環型社会の実現に向けた取り組みが一層加速されていく。

パナソニック エナジー製セルが搭載されている蓄電システム