今なお健在のチューンドVTECターボ!

B型の影に隠れた名機「H22A」の素性の良さ

90年代のチューニングシーンを席巻したホンダ車といえば、B型VTECを搭載するシビックやインテグラが真っ先に思い浮かぶ。VTEC機構によって高回転まで気持ちよく吹け上がるB型エンジンは、今なお多くのファンに愛され続ける名機だ。

そんなB型の陰に隠れがちだが、実はB型を凌駕するポテンシャルを秘めていたのが、H22Aエンジンを搭載した4代目プレリュードである。

このプレリュードをターボチューンしたのが、当時ホンダVTECターボ仕様で一世を風靡した“トップフューエル”だ。B型用では鋳造エキマニを製品化し、100台以上の施工実績を誇ったが、H型用では職人の手作業によるワンオフ製作で約20台をターボ化。施工台数は少ないながらも、個性豊かな仕様を数多く生み出してきた。

「当時はサブコンでの制御が主流でしたが、今ならフルコンでさらに精密な制御が可能になり、より完成度の高いクルマが作れるでしょうね」と語るのは、当時からホンダ車を担当してきた森本さん。彼は当時からH型の可能性に注目していたという。

実際、H22AはJTCCマシンのベースエンジンとして採用された実績があり、耐久性は折り紙付き。この車両ではエンジン内部は基本ノーマルながら、Z32ピストンやオデッセイ/アスコットイノーバ用クランクを流用することで、容易に2.3L化も可能だった。また前期型H22Aはクローズドデッキ構造を採用しており、パワー耐性にも優れるためターボチューンに最適な仕様といえる。

「当時はターボ化で300psオーバーが当たり前。VTECを活かしたNAチューンでは1万回転仕様なんてのも普通に作れました。B型やK型が注目されがちですが、H型はテンロクでは味わえないトルクとパワーを楽しめる“隠れた名機”なんですよ」と森本さんは続ける。

今回紹介するプレリュードも、エンジン内部ノーマルながら364ps/44kgmを発揮するターボ仕様だ。2006年に製作され、2025年の今も同一オーナーが所有し続けている。圧縮比を11.0:1から約10.0:1まで落とし、ターボ化に備えた構成となっている。

タービンはHKSのGTプロ(アクチュエータータイプ)を採用。エアクリーナーは限られたスペースを活かすためネットタイプを装着。入庫時に割れていたエキマニは新品に交換し、腐食していたアウトレット周辺はサンドブラスト処理後、断熱塗装仕上げとしている。

燃料増量にはeマネージを使用。ブーストコントローラーなどは当時のままだが、現行製品を使えばより精密な制御も可能だという。

フロント開口部に合わせて前置きされたインタークーラーは、トップフューエルによるワンオフメイド。バンパー開口部ギリギリまで迫るコアが大迫力だ。

マフラーも当時の流行を反映した砲弾フルストレートの斜め出し仕様。こちらもトップフューエルによるワンオフメイドとなる。

ブレーキはパワーアップに合わせてNSX純正キャリパーを流用し強化。ホンダチューンの定番メニューである。

インテリアには追加メーターやロールケージが装備され、助手席側まで伸びるインパネ形状がプレリュードらしい個性を放つ。

エアロパーツは、ステージ21のRISINGシリーズで統一。スポコン全盛期を象徴する派手さと機能性を兼ね備えている。

さらに特筆すべきは、オーナーのプレリュード愛だ。取材車両のオーナーは、雑誌記事の切り抜きやパワーチェックデータ、パーツリスト、見積書までもをスクラップブックに整理し、20年にわたって大切に保管しているという。

初代の登場から約半世紀、6代目ハイブリッドモデルの復活が話題となった今、改めて思う。4代目プレリュードこそ、“純粋にチューニングを楽しめるホンダ車”として再評価されるべき存在だ。

●取材協力:トップフューエル 三重県松阪市中道町500-1 TEL:0598-56-5880

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