マイクラはマーチのグローバルネーム

ジャパンモビリティショー2025の日産ブースに、鮮やかな青いボディに、どこか懐かしいフロントマスクのクルマが飾られていた。日産ファン、EVマニアであればご存知の一台、これは欧州で2025年5月に発表された新型「マイクラ」だ。
そして日産ファンであれば、マイクラというのが日本名マーチと呼ばれていたモデルのグローバルネームであることもご承知のことだろう。
丸目のユニークなフロントマスクが印象深い3代目マーチ(K12型)を彷彿とさせるフロントマスクは、たしかにマイクラという名前がピッタリと思える。全長4m未満、幅1.8m未満というコンパクトなボディもマイクラ(マーチ)の積み重ねてきた歴史との連続性を感じさせる。
このキュートなボディを走らせるのは、バッテリーとモーター。欧州仕様では総電力量40kWhと52kWhと2種類のバッテリーをラインナップ。前者の最高出力は90kW、後者は110kWとなっている。欧州基準の一充電走行距離は、40kWh仕様で308km、52kWh仕様では408kmと、これまたコンパクトカーとしては十分。
なにより、40kWh仕様では1400㎏というEVとしては軽量なボディは、これまたマーチ(マイクラ)の伝統といえるキビキビとした走りを期待させるものだ。
EVになったマイクラはフランスで作られる

丸い灯火デザインは、後ろ姿でも同様。欧州コンパクトゆえに全幅がワイドで3ナンバーサイズになるのは、マーチの後継を期待するユーザーからすれば「大きすぎる」と思ってしまうかもしれないが、だからこそ全体に丸みのあるマーチらしいフォルムを実現できたともいえる。

このあたりの印象は、数字で判断するよりも実車を見ることでおそらく変わるだろうし、多くのファンに見て欲しいと思う。それゆえ、マイクラの展示がプレスデー限定だったのは残念だ。
余談だが、今回のジャパンモビリティショー2025において日産が日本導入を発表した大型クロカン4WD「パトロール」は日産の九州工場で作っている。つまり、輸出専用モデルの国内導入である、右ハンドル仕様を開発する手間はかかっても日産としての対応に現実味はある。

一方、マイクラについてはルノーとのアライアンスに基づき、フランスで生産されている。コスト面でのハードルを考えると、マイクラの日本仕様が期待薄というのも事実だろう。
日本での販売計画もないままに”見せるだけ”というのもユーザーを期待させるだけであり、プレスデー限定の展示としたのは妥当といえそうだ。
そうはいっても、ヘリテージと未来感が見事に融合したマイクラのスタイリングが日本市場でどのように評価されるのか、ジャパンモビリティショー2025での反応を見てみたかったとは思うのは筆者だけだろうか。
フィアットやミニといったブランドによる、ヘリテージを活かしたスタイリングのEVが好評なことを思えば、日産マイクラにも十分な商機・勝機があるだろうからだ。
