進化著しい新型リーフ!bZ4Xも大幅改良

ボディサイズはbZ4Xの方が一回り大きく、ちょうど日産の上級EVであるアリアと同等だ。そのため後席空間や荷室空間もbZ4Xの方がリーフより広く確保されている。

後席の頭上空間は同じくらいだが、膝周りはbZ4Xの方が明らかに余裕があり、荷室寸法はリーフが長さ860mm×幅1100mm×高さ770mmであるのに対し、bZ4Xは985mm×1288mm×828mmだ。

しかしリーフは、新たに日産 アリアと同じプラットフォームを採用したことで、後席センタートンネルの張り出しがなくなり、リアサスペンションもマルチリンクに変更され乗り心地も向上している。内外装デザインにはアリアのテイストが盛り込まれており、旧来から大きくイメージチェンジを果たした。

また、フルモデルチェンジしたリーフは先進装備も特徴となる。オプションとして新設定された「調光パノラミックガラスルーフ」はスイッチひとつで遮光できるうえ、赤外線反射コーティングにより車内温度上昇を抑え、夏場の電費の改善に貢献する。

bZ4Xの改良点は、ハンマーヘッドをモチーフとしたフロントデザインに変わったほか、内装デザインにも手が加えられている。助手席インパネには64色の「マルチカラーイルミネーション」が追加され、センターコンソール部には「おくだけ充電」が追加された。

さらにbZ4Xの最上級グレード「Z」では「アップパノラマムーンルーフ」と「JBLプレミアムサウンドシステム」も標準装備化されている。

リーフのインフォテイメントシステムはGoogleシステムが搭載されたうえで12.3インチに大型化されたが、bZ4Xは改良で14インチに変わった。bZ4Xの改良は、装備内容でもリーフに対して挑戦的だ。

日産 リーフ B7 G
ボディサイズ=全長4360mm×全幅1810mm×全高1550mm
ホイールベース=2690mm
車両重量=1920kg
タイヤサイズ=235/45R19(前後)

トヨタ bZ4X Z
ボディサイズ=全長4690mm×全幅1860mm×全高1650mm
ホイールベース=2850mm
車両重量=1880kg
タイヤサイズ=235/60R18(前後)

bZ4Xの飛躍的な性能向上にリーフは出鼻をくじかれる

リーフ、bZ4Xともに、パワートレインは高効率かつコンパクトにまとめられた新コンポーネントを採用している。どちらも150kWの急速充電に対応し、両車ともにエネルギーマネジメントシステムも改善を受けた。

WLTCモード電力消費率はリーフの130Wh/km(B7 Gグレード)に対し、bZ4Xは113Wh/km(Zグレード)であり電費はbZ4Xが優れる。航続距離はリーフが685km(B7 Gグレード)まで向上したが、bZ4Xは旧来の550kmから746km(Zグレード)へと高められた。

さらにbZ4Xはシャシーにも大きく改善の手が加えられている。パワステ剛性の強化と足回りにチューニングを施して乗り心地と操縦安定性を向上させ、パドルシフトで回生ブレーキの減速度を4段階で調整可能になった。

リーフも、Gグレードにはパドルシフトで回生ブレーキの効きをコントロールできる仕組みが備わるほか、ドライブモードで加速力や減速感を任意に設定できる「パーソナルモード」が追加されている。

一定条件下においてハンズオフ(手放し運転)可能な「プロパイロット2.0」がオプションで選択できるようになった点もリーフの大きなトピックだが、bZ4Xも追加された「アドバンスト ドライブ(渋滞時支援)」により渋滞時に限りハンズオフが可能になったうえ、Zグレードでは標準装備だ。

さらにリーフはFFしか選べないが、bZ4Xには4WDも選べる。bZ4Xは今回の改良で4WDモデルの駆動制御にも手が加えられている。フルモデルチェンジしたリーフの進化は著しいが、改良型bZ4Xの性能はリーフを上回る。

日産 リーフ B7 G
エンジン形式=交流同期電動機
排気量=-
最高出力=218ps/4400-11700rpm
最大トルク=355Nm/0-4300rpm 
トランスミッション=単速
駆動方式=2WD(FF)

トヨタ bZ4X Z
エンジン形式=交流同期電動機
排気量=-
最高出力=227ps/-rpm
最大トルク=268Nm/-rpm
トランスミッション=単速
駆動方式=2WD(FF)

新型リーフ潰しの改良型bZ4X!どちらも真のライバルは内燃機関車

自動車価格は上昇傾向にあるが、リーフもbZ4Xも価格を抑えてきた。リーフの「B7 G」グレードの新車価格は先代より約10万円高に抑えられた599万9400円だ。

しかし、bZ4Xはこれだけ大規模な改良を加えたにもかかわらず大幅な値下げも行い、「Z」グレードは旧価格から50万円引き下げられた550万円となる。

さらにbZ4Xの廉価グレード「G」は、性能調整を加えたうえで旧価格より70万円も安い480万円となり、リーフの下位グレード「B7 X」の518万8700円よりも安く抑えられている。加えて、CEV補助金額はリーフが89万円、bZ4Xが90万円だ。

新型リーフは確実かつ大幅に進化した。しかし、コストパフォーマンスでは改良型bZ4Xには敵わない。bZ4Xの改良は、明らかにリーフを意識していると思える内容だ。

それだけ国内EV市場の販売低迷は深刻な状況なのだろう。両社とも、EVをなんとしてでも売りたい気持ちが見え隠れする。しかし自社でも内燃機関車を製造している以上起こってしまう共食いは、総合自動車メーカーが抱えるジレンマだ。

とはいえリーフ、bZ4Xともに性能が劇的に改善され、航続距離700km程度の国産EVがこの価格で購入できるようになったのは事実となる。今はEVを検討するのに良いタイミングかもしれない。

車両本体価格

日産 リーフ B7 G:599万9400円

トヨタ bZ4X Z:550万円