■22年ぶりに復活を果たしたロッキー

2019年にデビューしたダイハツ2代目「ロッキー」

2019(令和元)年11月5日、ダイハツは22年ぶりの復活となる2代目「ロッキー」を発売した。2代目ロッキーは新世代のクルマづくりDNGAをベースにし、ダイナミックトルクコントロール4WDや次世代スマートアシストの予防安全機能を装備した、現在市場で人気のクロスオーバーSUVに変貌した。

RVブームに対応した若者向きの初代ロッキー

日本では1990年代に入ると、三菱自動車の「パジェロ」に代表されるRVブームが起こり、それに対応するためにダイハツが投入したのが「ロッキー」だ。ロッキーは、オフロードとともにオンロードでも快適に走れる、乗用車テイストを持ち合わせる4WDオフローダーである。

1990年にデビューしたコンパクトな4WDオフローダー、ダイハツ初代「ロッキー」(MC後に追加されたカンタベリー仕様)

オフローダーらしいボクシーなスタイリングのロッキーは、若者をターゲットにポップなカラーリングやアルミホイールで都会的な雰囲気を演出。最大の目玉は、脱着な可能なレジン(樹脂)トップで、運転席の頭上も脱着できるサンルーフを装備したことで、トップを外せばオープントップになり、オプションでソフトトップも用意され3つのボディが楽しめるのだ。

1990年にデビューしたコンパクトな4WDオフローダー、ダイハツ初代「ロッキー」(MC後に追加されたカンタベリー仕様)のリヤビュー

優れた走破性と走行性能を実現するため、フロントサスペンションはダブルウィッシュボーン、パワートレインは最高出力105ps/最大トルク14.3kgmを発揮する1.6L 直4 OHCエンジンと5MTの組み合わせ。駆動方式はパートタイム4WDに加えて、センターデフを備えたフルタイム4WDが用意された。

当時4WDオフローダーは、ディーゼル車が主流だったが、そのような中でガソリン車のロッキーは異色で、車重は軽めで比較的安価だったため一定の人気は得られたが、同様なコンセプトのスズキ「エスクード」の後塵を拝し、1997年に生産を終了した。

クロスオーバーSUVへ変貌した2代目ロッキー

2019年にデビューしたダイハツ2代目「ロッキー」

1997年にいったん生産を終えたロッキーだったが、22年ぶりとなる2019年11月のこの日、ロッキーの名が復活。2代目ロッキーは、コンパクトな流行りの5ドアクロスオーバーSUVへと変貌した。

ダイハツ2代目「ロッキー」のコクピット
ダイハツ2代目「ロッキー」のシートアレンジ

新型ロッキーは、ダイハツの新世代のクルマづくり“DNGA(Daihatsu New Global Architecture)”の第2弾である。

スタイリングは、張り出したフェンダー&17インチの大径タイヤを履いた厚みのあるロアボディでSUVらしい力強さを強調。インテリアは、シルバー加飾のフロントコンソールやコクピットタイプのインパネデザインでアクティブ感が演出された。

2019年にデビューしたダイハツ2代目「ロッキー」のボディサイズ

パワートレインは、最高出力98ps/最大トルク14.3kgmを発揮する1.0L 直3 DOHCインタークーラーターボエンジンとCVTの組み合わせ。駆動方式はFFと“ダイナミックトルクコントロール”4WDが用意された。

2代目「ロッキー」のメカニズム
2代目「ロッキー」のセーフティ機能

予防安全技術については、BSM(ブラインドスポットモニター)とRCTA(トラフィックアラート)の機能を追加し、後方確認時の安全性を向上した“次世代スマートアシスト”を搭載。さらにスマートフォンを活用したコネクティッド機能である“ダイハツコネクトサービス”も初採用された。

車両価格は、170.5万~242.2万円に設定。2022年の販売台数は、約3.1万台で好調な成績で滑り出した。

シリーズHEVのe-SMART搭載車を追加

ロッキーデビュー2年後の2021年11月に、ハイブリッド“e-SMART”搭載モデルが追加された。e-SMARTは、日産のe-POWERと同じシリーズハイブリッドだ。シリーズハイブリッドは、エンジンをバッテリーの発電専用とし、充電したバッテリーの電力でモーター走行する。エンジンを効率の良い条件で定点運転できるメリットがある。

2021年11月、2代目ロッキーにハイブリッド“e-SMART”搭載モデルが追加

e-SMARTのモーターおよびリチウムイオン電池容量は、e-POWERの約半分。したがって、日産e-POWERが大きなバッテリーでエンジンを極力起動させないEVに近いタイプ。一方のe-SMARTは、コスト低減のために小さいバッテリーを使ってエンジンが高頻度で起動するシリーズハイブリッドである。

ダイハツ2代目「ロッキー」に追加されたシリーズハイブリッド” e-SMART”
3種のハイブリッドシステム

HEVモデルの追加によってロッキーの人気は上昇。また、トヨタで販売しているロッキーのOEM車「ライズ」は、2020年~2022年まで登録車ランキングでトップ5に入るヒットモデルとなった。

「ロッキー」のOEM車、トヨタ「ライズ」
シリーズハイブリッド”e-POWER”を搭載した日産「ノート」

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同じシリーズHEVを採用した日産のe-POWERとダイハツのe-SMARTだが、どちらが良い悪いということではなく、そのクルマの商品性や性格、ターゲットの違いによってシステム構成が異なるのだ。e-POWERは中・大型車に展開、e-SMARTは軽・小型車に展開することを意識したシリーズHEVと言えるのではないだろうか。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。