気取らない、大人仕上げ。

2.8Lにあえて小さめのタービンを合わせたトルク重視のメイキング!

高めの車高に純正ホイール。ぱっと見はノーマルそのもののBNR32だが、オーナーの田村さんが新車から30年以上大切に乗り続けてきたこの1台は、ガレージザウルスで仕立てられた“大人のGT-R”だ。

テーマは「買い物から遠出まで、気を遣わずに乗れる仕様」。無闇にパワーを求めるのではなく、扱いやすさと安心感を軸に、ザウルス代表の林さんと綿密に話し合いながら作り上げた。

田村さんは若い頃からクルマ好きで、免許を取ってからはルーチェやコスモなどロータリー車を乗り継いできた。BNR32に出会ったのは結婚後。グループAでの活躍や4WDによる雪道での安心感、そして後期型で追加されたホワイトのボディカラーに惹かれ、購入を決意したという。

「妻も乗るので、できるだけ目立たないよう納車時にGT-Rのエンブレムをすべて外してもらいました。最初はトルクが薄い印象もありましたが、高速でアクセルを踏み込むと“これがGT-Rか”と納得しましたね。家族を乗せて、あちこち旅行に出掛けました」。

ファミリーカーとして酷使したこともあり、10年を待たずに走行距離は7〜8万kmに到達。だが、単身赴任を機に乗る機会が減り、定年退職を迎えてようやく10万kmを突破したという。そんな田村さんがチューニングに踏み切ったきっかけは、タービンブローだった。

「タービンブローしてエンジンの内部が心配だったのと、歳を取ってからじゃパワーアップしても乗りこなせないと思って…」。3年前、ガレージザウルスに相談を持ちかけた。

オーバーホールを兼ねて仕上げたRB26は、HKSのステップZEROを組み込み2.8L化。鍛造ピストン、コンロッド、そして超軽量の鍛造フルカウンタークランクを投入し、低中速トルクが格段に向上した。将来的にはエンジンを降ろさずにステップアップできる点もポイントだ。

エアクリーナーやエアフロなど吸気系は敢えて純正にこだわる。タービンはアクチュエーター式のGTⅢ-SSツイン。これも扱いやすさを重視しての選択だ。

排気系はHKSフロントパイプ&スポーツ触媒に、ガナドールのスポーツマフラーという組み合わせ。排気効率は格段に高められるも、サウンドはあくまでジェントルだ。

足まわりは当時モノのオーリンズCリンク式車高調をオーバーホールし、PVCバルブを追加して最新スペックへ。乗り心地は驚くほど改善され、さらにニスモ製ロワアームやクスコ製スタビライザーなどで足まわり全体の剛性を高めた。

ブレーキは純正16インチホイール対応のザウルス製対向4POTキャリパーを導入。制動力アップはもちろん、見た目の印象もぐっと引き締まった。

室内はオリジナルを尊重した仕立て。ステアリングまわりにはHKSのEVC7やトラストのマルチメーターをスマートに配置。クラッチはORCカーボンツインを装着し、街乗りでも扱いやすい。

さらに、クォーターガラスには純正オプションのサイドウインドウルーバーを装備。オークションで入手したレアパーツをLED仕様にリメイクして蘇らせている。

長年連れ添ったBNR32は、ファミリーカーとしての役目を終え、いまは第二の人生を共に歩む相棒へ。GT-Rオーナーズクラブ『ARC』に所属し、ツーリングやスキルアップ講習会を楽しむ日々。外見は控えめ、しかし中身は熟成の極み。まさに“いぶし銀のGT-R”と呼ぶにふさわしい1台だ。

●取材協力:ガレージザウルス 埼玉県狭山市入間川4-8-16 TEL:04-2968-9212

「あの頃の熱が、令和に甦る」当時仕様のS14シルビアが繋ぐ青春の記憶

秋田の老舗ドリフトチーム『EXCESSIVE』のレジェンド・三浦さんが、若き日を駆け抜けたS14シルビアを令和の時代に再現。純正パーツや当時モノを探し歩き、細部まで“90年代の空気”を取り戻した一台だ。走るためのクルマではなく、あの頃の情熱をカタチにするためのS14。見るだけで心が熱くなる。

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