3代目CX-5最大の変化は後部にある
モビリティショーに新型マツダCX-5(欧州仕様)が展示されている。現在のマツダを象徴する魂動デザインとスカイアクティブ技術をフルに搭載した初の新型車として2012年に登場したCX-5。
2代目はエレガントさと洗練をキーワードに磨きを掛け、初代と合わせこれまでにグローバルで累計450万台を販売したヒット作となった。マツダのこれまでもこれからも支える大事な屋台骨の新型とあって、来場者も興味津々だ。

そんな新型CX-5だが、「エモーショナル」である現行型の良さをそのまま活かしつつ、日常の使い勝手「デイリーコンフォート」に対し徹底的にこだわり、改善し、クロスオーバーSUVの王道を目指したという。そのために大きく変わった部分は以下の3点。
・パワートレインにスカイアクティブ2.5G+新マイルドハイブリッドを採用、2027年にはスカイアクティブZも追加予定
・欧米を中心に強い要望があったという後席や荷室周りのスペース拡大
・残念な評判だったマツコネを一新して、Googleを搭載したHMIとした
パワートレインについて、特にディーゼルとオットーサイクルのイイトコドリをしたというスカイアクティブZについては謎も多く試乗してからにするとして、今回は後部拡大について注目したい。
CX-5はCセグメントなので中間くらいのサイズ感であり、CX-30とCX-60の間にポジションする。だが、立派な印象を受けるデザインのためか、ひとクラス上の印象を受ける人も多いかもしれない。
そのためかもしれないが、少ない弱点のひとつに後席の居住スペースと、ラゲッジスペースに「もう少し欲しい」という声が上がっていたという。
そのために、ホイールベースを115mm延長し、その長さはすべて後部に使われたという。
後席に関しては、まず膝下スペースを64mm延長し、ヘッドルームも29mmほど上方向に広がっている。さらに後部ドア開口部を約70mm拡大し、ホイールハウス部分にお尻が引っかからないなどの乗降性を格段に向上させた。



さらに、ラゲッジルームでは奥行きを45mm拡大。これにより、具体例ではベビーカーを縦方向に寝かせて積載することが可能になるという。
そのように進化させたCX-5だが、フロント周りの基本プラットフォーム、サイズなどのスペックは現行型を踏襲するのが前提だったという。
そうすると、当然にお尻が大きく顔が小さなクルマになってしまうわけだが、そこで新型CX-5にはあるデザイン処理の工夫が見られる。
それがフロントドアにあるプレスラインだ。


フェンダーからフロントドア前半までの一体感を演出
それだけで見ると、なぜドアに凹凸が設けられているのが疑問に思えるが、サイドビューを見た時に、このラインが入れられていることで、フロントフェンダーがフロントドア前半まで一体感を持たせることができ、大きくなったリヤ周りとバランスさせることができているのだという。
そう思って改めて外観を眺めてみると、確かに大きくなったキャビンを小さく見せ、どっしりとした安定感をもたらしているのに貢献しているのがわかるというものだ。
パワーユニットがあり、タイヤが地面を捉え、それを操る人間がいる室内空間のちょうどいいバランス。それが人馬一体を見た目のデザインで表すための必要な要件に違いない。

そういう目線でもう一度、新型CX-5を観察してみてはいかがだろうか。日本発売は2026年を予定している。