■ジュークの最高峰と位置付けられるNISMO RS登場

2014年(平成26)年11月11日、日産自動車は同年7月にマイナーチェンジした「ジューク」に新グレード「NISMO RS」を追加し、同年11月26日に発売すると発表した。ジュークNISMO RSは、NISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)が手掛けたジュークの高性能モデルである。
ダイナミックで斬新なスタイリングで注目されたジューク

コンパクトなクロスオーバーSUV「ジューク」は、2010年6月にデビューした。ジュークのコンセプトは、“コンパクトスポーツとSUVの融合”であり、それを象徴したのが斬新なスタイリングだった。

大きなフェンダーと丸みを帯びたボンネットに異径4灯ヘッドライト、ブーメラン型のリアランプなど、コンパクトながらボリューム感のあるフォルムが圧倒的な存在感を放った。インテリアについても、運転者がワクワクするようにメカニカルかつスポーティに仕上げられた。
パワートレインは、世界初のデュアルインジェクター(1気筒あたり2本のインジェクター)を組み込んだ最高出力114ps/最大トルク15.3kgmを発生する1.5L 直4 DOHCエンジンと副変速機付CVTの組み合わせ。駆動方式はFFのみが設定された。
斬新なスタイリングや車両価格169万円(15RS)/179万円(RX)というリーズナブルな価格設定によって、ジュークは人気を集め、発売1ヶ月で約1万台の受注を記録して順調に滑り出した。
ジュークGT FOUR&ジュークNISMOと高性能化を進めたジューク

順調に滑り出したジュークは、さらなるモデル展開や商品力強化を図った。同年11月のこの日、よりスポーティな走りを追求した新開発のターボエンジンを搭載した「16GT」と「16GT FOUR」が追加された。
エンジンは、排気量を1.5Lから1.6Lに拡大して最高出力190ps/最大トルク24.5kgmを発揮する1.6L 直4 DOHCインタークーラーターボを搭載し、6速マニュアルモード付電子制御CVTが組み合わされた。ターボエンジンは、直噴システムと高効率ターボを組み合わせ、さらにCVTC(可変バルブタイミング機構)を吸・排気弁に搭載。これらの効果によって、力強い加速と俊敏なレスポンス、優れた燃費性能が実現された。
駆動方式は16GTが2WD(FF)、16GT FOURには電子制御式4WD“ALL MODE 4×4-i”を採用。これは、状況に応じて前後輪に適正なトルクを配分する、いわゆるスタンバイ方式の4WDである。

さらに2013年には、NISMOがモータースポーツで培われた様々な技術を適用して、16GT FOURをベースにしてチューンナップした「ジュークNISMO」が追加された。
ジュークNISMOは、エアロダイナミクスを追求したフロントバンパー、サイドシルプロテクター、ルーフスポイラーなどの専用エクステリアを採用し、インテリアについてもクルマとの一体感を高めるコクピット周りが演出された。
またエンジンは、過給圧の見直しなどで最高出力200ps/最大トルク25.5kgmに向上させ、トランスミッションは7速マニュアルモード付電子制御CVTに進化させ、サスペンションについても専用品が組み込まれた。
高性能モデルの真打となるジュークNISMO RS

2014年11月のこの日、ジュークNISMOをさらにチューンナップした「ジュークNISMO RS」が追加された。スポーティなジュークNISMOに対して、ジュークNISMO RSは本格的な走りを楽しむためのジュークという位置付けだった。
内外装では、RS専用エアロやエキゾーストフィニッシャーなどでよりアグレッシブな印象を与え、内装はブラックをベースとし、レーシーなレッドカラーがアクセントになり、レカロ製シートや専用メーターなどでスポーティさをアピール。また専用チューニングされたサスペンションとボディ剛性を高めることで、コーナリング性能や走行安定性の向上を図った。

エンジンは、ECU(エンジン制御ユニット)を変更し、最高出力214ps/最大トルク26.5kgmに向上、トランスミッションは8速マニュアルモード付電子制御CVTに進化。パワーアップに伴ってブレーキフィーリングと耐フェード性能を高めた専用ブレーキシステム(フロント大径化、リアベンチレーテッドディスク化)も採用された。
車両価格は、343.44万円に設定。ジュークNISMOが285.075万円なので、ジュークNISMO RSの方が約58万円高額である。

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NISMOが手掛けるハイチューンモデルは、ジュークに続いて「フェアレディZ NISMO」、「マーチNISMO」と続き、現在は日産の主要なモデルのほとんどに設定されている。ホンダでは、“タイプR”と“モデューロX”シリーズ、トヨタでは“GR(GAZOO Racing)/GRスポーツ/GRMN”シリーズが高性能ブランドに相当する。高性能に特化したモデルが独立して生き残るは難しいので、各社は現存モデルで高性能シリーズを設定しているのだ。
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