「カスタムフィットスピーカー」のエントリーモデルもモデルチェンジ

オーディオカスタムの定番アイテムとして人気の「カスタムフィットスピーカー」が7年ぶりにフルモデルチェンジされたのが2024年。圧倒的な高性能を誇るフラッグシップモデル「V」シリーズと、バランスの良いミドルモデル「C」シリーズがリリースされていたが、2025年10月にエントリーモデルである「F」シリーズも遅ればせながらフルモデルチェンジされ発売された。

カスタムフィットスピーカー「F」シリーズ。上段がセパレートタイプ、下段がコアキシャルタイプ。下段右端がチューンアップトゥイーター「TS-T450」だ。

エントリーモデルといえども、カロッツェリアのOPEN&SMOOTHコンセプトに基づいた音作りがなされており、新開発のトゥイーターとウーファーが力強いボーカルと明確なサウンドを響かせてくれる。

カスタムフィットスピーカー「F」シリーズの構成パーツ群。高性能磁気回路を始め、完全新設計となった。
ウーファー部のカーボン含有IMCC振動板。低域での豊かなサウンドを実現。
トラスフレームバスケットは浅型のスチール製(VシリーズやCシリーズは深型のアルミダイカスト)ながら、不要な振動を吸収・分散して力強いサウンドを支える。

ラインナップも充実しており、ウーファーとトゥイーターの別体タイプとウーファーとトゥイーターが一体化したコアキシャルタイプがサイズ別にそれぞれ3モデルずつ用意されている。

17cmウーファーとセパレートトゥイーターの「TS-F1750S」。
16cmのコアキシャルタイプ「TS-F1650」。
製品名サイズトゥイーター
TS-F1750S17cmセパレート
TS-F1650S16cmセパレート
TS-F1050S10cmセパレート
TS-F175017cmコアキシャル
TS-F165016cmコアキシャル
TS-F105010cmコアキシャル

ドアスピーカーが交換できない場合はトゥイーターの役割が大きくなる

安全装備が充実した最近のクルマではドアスピーカーが交換できないことが多い。それは、サイドエアバッグを作動させるためのセンサーがドアに設置されており、内装を外す際に作動してしまったりするからだ。

となると、増設あるいは交換しやすいトゥイーターの役割が大きくなる。カロッツェリアには単体で「チューンアップトゥイーター」もラインナップされており、2025年10月にはエントリーモデルとなる「TS-T450」が追加された。

トゥイーター単体の「TS-T450」はカスタムフィットスピーカー「F」シリーズと同様のもの。セパレートトゥイーターは台座が可動式なので、どのようなクルマでも着座位置に合わせてトゥイーターの向きを調整できる。

トゥイーター単体ももちろんOPEN&SMOOTHコンセプトはカスタムフィットスピーカー同様。そのほかのスピーカーがノーマルのままでも、トゥイーターが中域を担う音場作りにより豊かなボーカルサウンドを楽しむことができるようになる。

トゥイーターではダイアフラムに2.9cmマイカ強化型抄紙を採用。クリアな高音域と繊細な表現を可能とした。また、強力なネオジムマグネットを採用したほか、振動板とボイスピンを点で接続する頂点駆動方式を採用して、振動板をより正確に制御できるようにしている。

取材車にはスズキ・スペーシアカスタムとホンダ・フリードが用意された。いずれもセパレートタイプのカスタムフィットスピーカー「F」シリーズを装着。スペーシアカスタムにはパワードサブウーファー「TS-WX140DA」、フリードにはパワードサブウーファー「TS-WX400AS」が追加されて重低音を補強しており、カロッツェリアらしくハイレベルに作り込まれたサウンドが味わえた。

取材車のホンダ・フリードクロスター。
フリードに装着されたカスタムフィットスピーカー「F」シリーズのセパレートタイプトゥイーター。
パワードサブウーファー「TS-WX400AS」は取材車のカラーとマッチするライトベージュストーン調塗装モデル。カラーバリエーションの展開に期待したくなるモデルだ。
また、これまで非対応だった現行型フリードにフローティングタイプの「楽ナビ」が装着できるようになる。
現行型フリード用の車種別取付キットがリリースされた。

トゥイーターの後付け感を無くしたい

トゥイーターはダッシュボード両端に設置するのが基本だが、そうなるとどうしても後付け感が出てしまい、インテリアをなるべくノーマル然としたいユーザーには悩みの種だ。

トゥイーター取付キット。オーナーのカスタム志向が強いモデル10車種がラインナップされる。左下端のジムニー用スピーカー取付キットは純正の13cmから16cmに変更する際に使用するもので、新たに先代ジムニー(JB23系)用を追加。同車オーナーの強いカスタム志向を受けて登場した。

カロッツェリアではフロントドア前端にトゥイーターを自然に設置できる「トゥイーター取付キット」を揃えている。これは、車種専用設計となっており、まるでノーマルのようなルックスが特徴だ。これまで9車種がラインナップされてきたが、2025年10月に現行スペーシア(カスタム、ギア、OEM車含む)用が追加された。

取材車のスペーシアカスタム。

車種専用の取付キットはカロッツェリアの人気アイテム。現在はのラインナップは10車種だが、今後も対応車種は増えていくことになりそうだ。さらなる展開に期待したい。

スペーシア用トゥイーター取付キットを装着したところ(取材車はスペーシアカスタム)。まるで純正のように違和感がない。
スペーシアカスタムにはパワードサブウーファー「TS-WX140DA」も搭載されており、軽自動車離れしたサウンドを響かせた。

トヨタオーナーに朗報

トヨタ車はダッシュボードにスピーカーが埋め込まれていることが多くスピーカーの交換が難しい。カロッツェリアではトヨタ車のスピーカーマウントに合わせたトヨタ車用となるトゥイーター一体型のコアキシャルスピーカー「TS-H100-TY」を発売した。

トヨタ車専用スピーカー「TS-H100-TY」。

さらに、現行型トヨタ・プリウスにはスピーカー取付キットも用意しており、これまで難しかったトヨタ車のオーディオカスタムが可能になった。サウンドにこだわりたいトヨタ車オーナーには朗報と言えるだろう。

プリウス用スピーカー取付キット。上記の「TS-H100-TY」と組み合わせて装着する。フロントウインドウ傾斜が強い現行プリウスはオーディオ設定泣かせ。「TS-H100-TY」は可能な限り立てて乗員に向けるよう設計されている。

スピーカーもヘッドユニットもノーマルでもサウンドカスタムを可能に

また、最近のクルマはカーナビなどのインフォテインメントシステムがダッシュボードに埋め込まれていて交換できないケースも多い。これではドアスピーカーと合わせてオーディオカスタムもおぼつかない。

デジタルサウンドプロセッサ(DSP)「DEQ-7000A」と「DEQ-2000A」はすでに発表済みで、後者はオートバックスにて先行発売されていたが、いよいよ一般販売がスタートする(12月予定)。

それでもカーオーディオやサウンドにこだわりたいユーザーのために、カロッツェリアはデジタルサウンドプロセッサー(DSP)を発売。好みに合わせたサウンドチューニングが可能になり、ノーマルのオーディオとスピーカーでもこだわりのサウンドを実現することができるのだ。

「DEQ-2000A」の設定はアプリケーションで行なえ、スマートフォンで操作が可能。「DEQ-2000A」には車種別に最適化された設定が、現在20車種分が公開されており、今後拡大してく予定だとか。

ラインナップはより詳細な設定が可能な上級モデル「DEQ-7000A」と、使いやすいエントリーモデルの「DEQ-2000A」。前者が2025年冬、後者が2025年12月発売予定となっているが、後者に関してはオートバックスで先行発売されている。

取材車として用意されたカロッツェリアとコラボしたBLITZのデモカー(ホンダ・シビックタイプR)。

取材車はオートバックスで先行発売した「DEQ-2000A」を装着した以外、オーディオ関係はノーマルのシビックタイプR。元のオーディオシステムも十分ハイレベルだが、「DEQ-2000A」を介することで、よりハイクオリティなサウンドとなっていた。特に、運転席での違いは歴然と感じられた。

「DEQ-2000A」。前席下に設置するのが定番のようだ。

また、「DEQ-2000A」を搭載した取材車はトヨタ・プリウスとトヨタ・ランドクルーザー250が用意された。この2台についてはトヨタ車専用スピーカー「TS-H100-TY」装着されており、前述のシビックタイプRからさらに進んだ音作りがなされていた。

プリウスダッシュボードに設置された「TS-H100-TY」とスピーカー取付キット。フロントウインドウにスピーカーが映る。
プリウスにもデフォルト設定あり。

特に「TS-H100-TY」はトゥイーターを一体化したコアキシャルタイプのため、トゥイーターが担う中域が強化され、ボーカルサウンドがより鮮明になった印象を受けた。

トヨタ・ランドクルーザー250の取材車。DELTA FORCEのデモカーでルーフラックなどのアクセサリーが装着されていた。

というのも、取材車のプリウスやランドクルーザー250がそうであったし、パイオニアスタッフの開発話にもあったが、トヨタ車のサウンドはデフォルトでは低音をかなり強く出しているように感じたためだ。走行中の車内はさまざまな雑音にさらされることになる。特にロードノイズなどの低音が顕著なため、打ち消し合わないように低音を強くしているのかもしれない。

ランドクルーザー250のダッシュボードに埋め込まれたスピーカーを「TS-H100-TY」に変更。
ランドクルーザー250の「DEQ-2000A」。ランドクルーザー250はまだデフォルト設定が無く、特別にセッティングしたものだった。

今回はいずれも静止状態での試聴となったが、前述の低音のこともあり走行状態でもサウンドが気になるところ。その点、パイオニアのスタッフにセッティングについて訊いたところ、静止状態と動的状態の中間くらいで設定しているとか。走行状態を前提にすると、信号待ちなどで停止した際に大きくなりすぎてしまうからだそうだ。

オーディオカスタムにチャレンジ

上記のようにクルマによってはオーディオカスタムが難しいケースもあるが、一方でオーディオをカスタムするという発想自体がないユーザーも少なくないという。しかし、エントリーモデルも充実し、装着に必要なアイテムがセットになったカロッツェリアのサウンドシステムなら、初めてのオーディオカスタムでも安心だ。

エントリーモデルからハイエンドまで充実したラインナップのカロッツェリアオーディオアイテム。サブウーファーやパワーアンプなど非常に充実しており、好みのサウンドを構築することができる。エントリーモデルで物足りなくなったら、ランクアップを考えてみるのも良いだろう。

音響だけに実際に聴いてみないことにはわからないのは確かだが、聴けばその違いは明らか。今よりもっと良い音でドライブできるなら、ドライブがさらに楽しくなるに違いない。ぜひオーディオカスタムによる音の違いを感じてみてほしい。

インナーバッフルやサウンドチューニングキットなど、さらなる音質向上のためのパーツもラインナップ。