ハイラックス初のBEVモデルは2基のeAxelでシステム総合196psを発揮

新型ハイラックス日本仕様(プロトタイプ)

トヨタは、これまで「もっといいクルマづくり」を目指し、商品と地域を軸とした経営を進めてきた。そのなかで、カーボンニュートラルの実現に向けたパワートレイン開発においては、各国・各地域のエネルギー事情や顧客によって異なるニーズに応えうる電動車の選択肢を用意する「マルチパスウェイ」の取り組みのもと、さまざまなモビリティを展開している。

新型ハイラックスBEVモデル(プロトタイプ)

新型ハイラックスでは、マルチパスウェイの取り組みを一層加速すべく、今回発表したディーゼルモデル、BEVモデルに加え、FCEVモデルの開発を進める。FCEVモデルは欧州、オセアニアに2028年以降の投入が予定されている。

新型ハイラックスBEVモデル(プロトタイプ)

ハイラックス史上初となるBEVモデルは、総電力量59.2kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。eAxleの高効率化もあり、航続距離は300km以上(開発目標)を実現する。前後アクスルに搭載されるeAxleは、システム総合で144kW(196ps)を引き出すとともに、進化した制御システムにより優れた悪路走破性を発揮する。

新型ハイラックス日本仕様(プロトタイプ)

BEVモデル(プロトタイプ)のボディサイズは、全長5320×全幅1855×全高1800mmで、ホイールベースは3085mm。ちなみにこのサイズは、従来のディーゼル仕様と比べて全長で5mm短く、全高で65mm低くなった以外は同じだ。

新型ハイラックス日本仕様(プロトタイプ)

発表会には大相撲の元横綱、白鵬も参列

発表時のプレゼンテーションで登壇したトヨタのチーフ・ブランディング・オフィサー、サイモン・ハンフリーズ氏はこのようにコメント。

「サワディーカップ。タイの皆様、そして世界中からご覧いただいている皆様にご挨拶申し上げます。バンコクに戻ってこられたことを大変嬉しく思います。
まず初めに、トヨタ自動車株式会社の会長である豊田章男ならびに全社員を代表して、タイ王国シリキット王太后陛下のご逝去に心より哀悼の意を表します。
トヨタとタイの関係は、60年以上にわたる深い絆で結ばれています。最初から、これは単なるビジネスではなく、パートナーシップであり、その関係は友情へと発展しました。
トヨタでは『町いちばん』という考え方をよく口にしますが、タイこそが、その理念を体現する国です。日本以外のアジアで初めてトヨタが自動車を生産した国です。
60年以上前に植えられた種は、タイの人々によって育まれてきました。
タイ政府、パートナー、そしてお客様の力強い支援のおかげで、タイは生産、イノベーション、そして何よりも協業の拠点となりました。
私たちがここで築いたものは、“グローバルな成功は、地域の力から生まれる”ということを証明しています。世界133カ国の人々が、このパートナーシップの成果を享受しています。これまでに1300万台の車両がここタイで生産されてきました。
会長の豊田章男は、このパートナーシップの強さを身をもって知っています。
タイでの経験が、彼のリーダーシップの原点を形作るきっかけとなりました。それは現地の文化を尊重すること、そして共に考え、決めることを大切にする姿勢です。
タイとのつながりを最も象徴するクルマは、20年以上前のIMVプロジェクトです。
1968年に始まったハイラックスの歴史は、2004年、章男さんが当時アジア本部長だった時に、IMVシリーズの一部となりました。これはトヨタの町いちばんの考え方とものづくりを象徴する、真のグローバルプラットフォームでした。IMVプラットフォームによってハイラックスは世界へと羽ばたきました。
IMVプラットフォームの旗手として、タイの重要性を最もよく表している車両はハイラックスです。
今では多くの方がハイラックスを『タイの国民車』と呼んでいると聞き、誇りに思います。
トヨタは常に『Mobility for All(すべての人に移動の自由を)』を信念としています。
私たちにとってモビリティとは、人々が探求し、働き、つながるための手段を提供し、そして暮らしを豊かにすることです。ハイラックスは当初から地域社会を豊かにし、世界中の人々を力づけるクルマをつくるという理念を掲げてきました。
農家の方が農産物を運ぶときも、家族が長距離旅行に出かけるときも、建設現場で働く人々が街を築くときも、ハイラックスは品質、耐久性、信頼性で高い評価を得てきました。
建設現場でも頑丈でありながら、家族旅行にも安心で、世界中で信頼されています。
本日発表する新型ハイラックスは、この伝説的な車の第9世代です。
世代を重ねるごとに、道、エンジニア、そして何よりも世界中のお客様の声によって、より強く進化してきました。
世界が変化する中で、ハイラックスも進化してきました。
それはトヨタが耳を傾けてきたからです。タフさを求める鉱山労働者の声、快適さを望む家族の声に。
燃費を重視するフリートオーナーの声、若者の生活に沿ったデザインやテクノロジーへの期待に応えてきました。
信頼できる移動手段。タフでシンプル、長く使える車で人々の可能性を広げてきました。
これからのトヨタは、カーボンニュートラルの実現に向けて、ひとつの答えではなく、マルチパスウェイで取り組みます。
なぜなら、地域も、お客様も、一人ひとり異なるからです。
パワートレイン、ボディタイプ、カスタマイズ性に至るまで、誰一人取り残さないことを目指しています。
ハイラックスは世代を重ねて進化してきましたが、約束は変わりません。ハイラックスは生涯のパートナーです。
会長の豊田章男は、車と車づくりは社会や経済の一部であるだけでなく、文化の一部であるべきだと考えています。
章男さんにとって、タイは『第二の故郷』です。仕事面でも個人としても、パートナーシップは友情へと発展してきました。
彼はよく『タイに恩返しをしたい』と言います。この想いが、経済的な交流を超え、文化的な交流へとつながっているのです。
国際相撲連盟の会長として、会長の豊田はタイで初めて世界相撲選手権が開催されたことを大変喜んでいました。日本の国技がタイに初めて上陸したのです。
章男さん本人は参加できませんでしたが、元横綱の白鵬翔さんがバンコクを訪れました。
白鵬さんは史上最強の力士として知られています。10年以上にわたり相撲界を牽引し、45回の優勝記録と、通算1187勝というギネス記録を持っています……これは相撲の1500年の歴史の中でも前例のない偉業です。
トヨタのアンバサダーとして、彼はトヨタ・モーター・タイランドも訪れました。
元アスリートでもある章男さんと白鵬さんは、次世代のアスリートを育てたいという共通の思いで友情を育んできました。
その友情の証として、皆さん、タイに再び白鵬さんをお迎えしたいと思います!
白鵬さん、本日はありがとうございます」

新型ハイラックス日本仕様(プロトタイプ)

紹介を受けた白鵬さんのコメントは以下のとおり。

「タイの皆さん、おはようございます。私は9月にもタイを訪れ、相撲を世界に広める活動をしました。再び戻ってこられて嬉しいです。
章男さんから今回のお話をいただいたとき、私はすぐに『もちろん行きます』と答えました。
グローバルな車の発表にご招待いただき、ありがとうございます。相撲も同じく世界の舞台に広げていきたいです。
相撲とは清らかさを重んじる競技です。それは身体だけでなく、精神的な強さを鍛えるものです。相撲を広めることで、世界から差別や偏見をなくす希望を届けられると信じています」

なお、トヨタ公式サイトでは同日より公式サイトで「新型ハイラックス」特設ページが開設した。