Ferrari 849 Testarossa
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Ferrari Testarossa
1980年代を代表するスーパースポーツ




フェラーリの最新フラッグシップとして投入された「849 テスタロッサ」は、2019年に登場したフェラーリ初の量産プラグインハイブリッド「SF90 ストラダーレ」をベースに開発。最新フェラーリのデザインアイコンでもある特徴的なブラックバンドをフロントセクションに採用し、1980年代の「テスタロッサ」を思わせるウエッジシェイプを纏う。
1984年、512BBiの後継V型12気筒ベルリネッタとして発表されたのが初代「テスタロッサ」だ。その名称「Testarossa」は、イタリア語で「赤い頭」を意味し、1950年代にレースシーンで活躍した「250TR」や「500TR」と同様、エンジンのカムカバーがレッドでペイントされることに由来する。サイドにラジエターを配置した特徴的なリヤフェンダーを備え、アイコニックな4灯式リトラクタブルヘッドライトなど、1980年代を代表するスーパースポーツとして君臨した。
当時としては大柄なボディサイズを持つテスタロッサだが、大型化著しい現代のスーパースポーツである849 テスタロッサが全長で233mm、ホイールベースで100mmも大きい。ただ、849 テスタロッサはハイブリッドシステム用バッテリーを搭載しているにも関わらず、乾燥重量はほぼ変わらない。
フェラーリ 849 テスタロッサ
ボディサイズ=全長4718mm×全幅1999mm×全高1225mm
ホイールベース=2650mm
車両重量=1570kg
タイヤサイズ=265/35R20(前)、325/30R20(後)
フェラーリ テスタロッサ
ボディサイズ=全長4485mm×全幅1976mm×全高1130mm
ホイールベース=2550mm
車両重量=1506kg
タイヤサイズ=225/50VR16(前)、255/50VR16(後)
ハイブリッドパワーで圧倒する849 テスタロッサ




849 テスタロッサの4.0リッターV型8気筒ツインターボは、今回のモデルチェンジで広範囲なアップデートが実施され、エンジン単体で830PSを発揮。フロントに2基、リヤに1基のモーターを搭載することで、システム最高出力は驚愕の1050PSに達する。
テスタロッサは、4.9リッター180度V型12気筒自然吸気エンジンをリヤミッドに搭載し、最高出力は390PS。1980年代当時は最強の部類に属するエンジンだが、40年の進化は凄まじく、0-100km/h加速は849 テスタロッサが実に3.5秒も速い。
フェラーリ 849 テスタロッサ
エンジン形式=V型8気筒ツインターボ+ハイブリッド
排気量=3990cc
最高出力=830PS/7500rpm
モーター出力=220PS
最高システム出力=1050PS
最大トルク=842Nm/6500rpm
トランスミッション=8速F1 DCT
駆動方式=AWD
最高速度=330km/h
0-100km/h加速=2.3秒
フェラーリ テスタロッサ
エンジン形式=180度V型12気筒自然吸気
排気量=4943.04cc
最高出力=390PS/6300rpm
最大トルク=490Nm/4500rpm
トランスミッション=5速MT
駆動方式=RWD
最高速度=290km/h
0-100km/h加速=5.8秒
40年の時を経ても色褪せない存在感




エクステリア以上に違いを感じるのが、コクピットだろう。849 テスタロッサは、他の最新モデルと比較すると、ディスプレイ類の導入は控えめだが、室内空間のクオリティの向上は著しい。テスタロッサはメーターナセルの奥にアナログ式のスピードメーターとタコメーターを配置し、クラシカルなセンターコンソールには、かつてフェラーリを象徴したゲート式の5速MTが鎮座する。
40年の時を経てた今も、ヒストリックカーとして高い人気を誇る初代テスタロッサ。2025年にそのネーミングを、最新フラッグシップに復活させたことは、フェラーリとしても「テスタロッサ」が持つヘリテージを重視しているという証左なのだろう。
スペックやデータを比較すれば、やはり最新モデルの849 テスタロッサに軍配が上がる。ただ、ピニンファリーナが手がけたの美しいエクステリアは、今も色褪せていないことに驚かせられる。新車当時、バブル景気の日本において多くの個体が輸入されたと言われるが、良好なコンディションを保った個体は希少化しつつある。ガレージに新旧「テスタロッサ」を並べられる幸運なオーナーは、果たして存在するのだろうか。
