見た目だけの改造車と侮るべからず!
ストリートからドリフトまで満喫できる扱いやすい630馬力
ER34スカイライン専門店として全国に知られる東京・“シャフトオートサービス”。毎年富士スピードウェイで開催される『R34スカイライン祭り』には、500台を超える参加車が集結するほどの人気を誇る。販売・整備はもちろん、自社ボディファクトリーまで構える同店は、まさに「ER34オーナーの駆け込み寺」のような存在だ。

今回紹介する漆黒のER34も、そんなシャフトを長年頼りにしてきた常連オーナーの愛車だ。見た目も仕様も“男前”なオーラを放つ1台だが、ハンドルを握るのは柔らかな雰囲気をまとった女性・岬(みさき)さん。穏やかな口調とのギャップが、いい意味で期待を裏切る。
「スポーツカーは好きでしたけど、それまではノーマルのシルビアに乗っていたくらいで…。調子が悪くなったタイミングで“次は黒いスカイラインがいい”と思って、初めてシャフトさんを訪ねたんです。その時に走行距離の少ないこの個体に出会い、即決してしまいました。もう10年以上前になりますが、そこから一気にハマっちゃいましたね」。

購入後のメンテナンスからチューニングまでシャフトが全面的にサポートし、気づけば岬さんは“シャフト沼”の住人に。ついにはドリフトにも挑戦し、クルマの進化に合わせて自身でも走行会を主催するまでになったという。
現在の旦那さんは、著名なドリフターとしても知られる人物。出会いのきっかけもシャフト、ER34、そしてドリフト。黒いスカイラインを軸に人生が動き始めた——そんな背景までもが、この1台の物語を濃くしている。

そんな岬さんの愛車づくりを全面的にサポートしているのが、シャフトの代表・澁谷さん。
「彼女、ドリフトも運転も本当に好きで腕もあるんですが、パーツやメカにはほとんど興味がないんです(笑)。“ドリフトできるようにしたい”とか“真っ黒くてイカついスタイルにしたい”とか、チューニングの方向性はイメージだけで伝えてくるので、毎回こちらもプレッシャーですよ。でも“ずっとこのクルマに乗り続ける”という覚悟は本気。その気持ちに応えたいから、妥協なく仕上げてきました」。

エンジンスペックは凄まじいレベル。東名パワード製のピストン・コンロッド・カムを組み込み、ヘッドはオーバーホールを兼ねてナプレックのハイレスポンスキットを投入。制御はLINKのプラグインECUで、最高出力はブースト1.6キロ時に約630ps。純正サージタンクを残してレスポンス優先の仕様とし、エンジンルームにもER34らしさを残しているが、その実力はフルチューンGT-Rに匹敵する。


タービンはギャレットの最新G30-660を選択し、低回転から鋭く立ち上がる扱いやすい特性を実現。マフラーはブリッツ製にシャフトのチタンルックテールカバーを組み合わせ、バンパーとの出面も美しく整えられている。



外装はシャフトオートサービスのタイプⅢエアロ(前後・サイド)に、純正風のハイマウントウイングをセット。ボンネット先端はGT-R風にアレンジされ、純正形状を踏襲したオリジナルヘッドライトも人気アイテムのひとつ。前後フェンダーはユーラス製で、片側約2cmワイド化されている。


運転席には小柄な岬さんに合わせてブリッド・ジータIIIタイプSを装着。助手席にはガイアスIIをセットし、延長サイドブレーキレバーが“ドリ車”らしい存在感を放つ。

ホイールは“漆黒でまとめたい”というリクエストに応じ、BBS RE-V7(19×10J)を装着。タイヤはわずかに引っ張り気味の255/30R19(NITTO NT555 G2)を前後に履く。ブレーキはフロントがF50タイプ、リヤがGT-R用ブレンボという鉄板の組み合わせだ。

足まわりはブリッツ車高調にシャフトオリジナルのリフターをセットし、段差も難なくクリア可能。リフター用エアタンクのエアはタイヤ空気の補充にも使えるため、ドリフト時にも重宝するという。

今では他の女性オーナーと“シャフト婦人会”を名乗るほど、店との関係も深いという岬さん。信頼と楽しさが詰まったこのER34は、スカイライン乗りでなくても思わず羨む1台に仕上がっている。
●取材協力:シャフトオートサービス 東京都八王子市鑓水2129-1 TEL:042-677-3915
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