2025年日本自動車殿堂、殿堂者となった、株式会社三栄 相談役 鈴木脩己
2025年日本自動車殿堂、殿堂者となった、株式会社三栄 相談役 鈴木脩己。自動車文化を読者とともに共創。世界の自動車雑誌でも唯一の性能測定「モーターファンロードテスト」を継続掲載。また、Auto Sport、Car Styling、Option、GENROQなどこれまでにない自動車雑誌を次々と刊行。さらに東京オートサロンを実現した。

鈴木脩己は1940年に東京で生まれ、先代社長の急逝により早稲田大学在学中の1963年、24歳で三栄書房(二代目)代表取締役に就任した。大学生の社長誕生という異例の船出。初仕事となったトヨタ・クラウン開発主査へのインタビューでは、設計者の教養と美意識に触れ、自動車文化の奥深さを痛感したという。

その後は、創業者が立ち上げた「ロードテスト」を引き継ぎ、大学研究室との共同計測による客観的な性能評価を継続。高度なデータを用いた誌面づくりは欧米メーカーにも注目され、日本車の技術向上に寄与したとされている。加えて、メーカー開発陣と大学研究者を招いた座談会では司会役として議論を支え、自動車技術を学問的視点から紹介する場づくりにも尽力。

編集者としての柔軟な発想と実行力は、その後の新雑誌・新企画にも表れている。1973年には世界的にも珍しい自動車デザイン専門誌「Car Styling」を創刊。1981年には新車を一冊にまとめる「ニューモデル速報」(通称:すべてシリーズ)をスタートさせ、現在では三栄の代表的シリーズとなった。また同年にはチューニングカルチャーを扱う「OPTION」を刊行し、読者参加型の誌面づくりを確立。さらにその延長として開催したイベントが「東京オートサロン」へと発展し、国内外のメーカーが参加する大規模ショーとなっている。

こうした取り組みはいずれも、まだ一般的ではなかった領域を誌面として可視化し、自動車をめぐる新しい楽しみ方を提案してきた点に特徴がある。読者とともにクルマ文化を育てたいという姿勢が、多様な雑誌やイベントを生み出す原動力となった。

2025年日本自動車殿堂、殿堂者となった、岡並木氏。交通文化とその新たな価値観の道を拓く。
2025年日本自動車殿堂、殿堂者となった、平井敏彦氏。自動車文化に貢献した初代ロードスターの開発責任者。
2025年日本自動車殿堂、殿堂者となった、伊藤修令氏。日本を代表する高性能スポーツカーの礎をつくる。

なお、今回の表彰式では、COVID19の影響により表彰式のできなかった2020年に殿堂入りとなった、評論家・岡並木氏、初代マツダ・初代ロードスター開発責任者・平井敏彦氏、日産自動車R32スカイライン開発主管・伊藤修令(ながのり)氏の表彰式も行われた。

加えて、2025日本自動車殿堂 歴史遺産車は、SUMINOEフライングフェザー(1954年)、UDトラックス ミンセイ6TW12(1960年)、ダイハツ・初代シャレード(1077年)に決定。2025〜2026 日本自動車殿堂イヤー賞は、カーオブザイヤーがホンダN-ONE e:および開発グループ、インポートカーオブザやーがフォルクスワーゲンID.Buzzおよびインポーター、カーデザインオブザイヤーが、ホンダ・プレリュードおよびデザイングループ、カーテクノロジーオブザイヤーがサイクリスト対応歩行者保護エアバッグ:SUBARUフォレスターおよび開発グループに決定した。

2025日本自動車殿堂 歴史遺産車 SUMINOEフライングフェザー(1954年)
2025〜2026 日本自動車殿堂 イヤー賞 カーオブザイヤー ホンダN-ONE e:
2025〜2026 日本自動車殿堂 イヤー賞 インポートカーオブザイヤー フォルクスワーゲン ID. Buzz
2025〜2026 日本自動車殿堂 イヤー賞 カーデザインオブザイヤー ホンダ・プレリュード
2025〜2026 日本自動車殿堂 イヤー賞 カーテクノロジーオブザイヤー サイクリスト対応歩行者保護エアバッグ:SUBARUフォレスター