MASERATI DAY
約60台のトライデント、150名を超える参加者




今年111周年を迎えたマセラティ。その熱狂的なファンは世界中にいるが、本邦におけるそれは本国の関係者も感動するレベルにあるという。年に一度のトライデントのお祭り「マセラティデイ」を開催する「マセラティクラブオブジャパン」は、文字どおりにマセラティ愛好家の集まりだが、その情熱はかなり高めだ。
31回を数えるマセラティデイは、雲ひとつない晴天の下、11月16日に15年ぶりに京都で開催され、約60台のトライデント、150名を超える参加者が日曜の朝に東本願寺に集った。マセラティジャパンの協力で最新モデルの「GT2 ストラダーレ」も会場の東本願寺に展示された。MC20をベースとするスーパースポーツカーは、参加者だけでなく多くの観光客の目をひく魅力を放っていた。
もちろん60台が一堂に会したマセラティ車もひと目でわかる魅力を放ち、道ゆく人の目を楽しませていた。参加したマセラティ車は新旧、そしてボディ形状を問わず多彩だ。しかも1959年型の3500GTなどのクラシックモデルをはじめ、ほぼすべての参加車両が自走で会場を訪れていた。
とても運転しやすく楽しいグランツーリズモ




前述のとおりマセラティジャパンの協力を受けているが、それは木村隆之社長の意向が強く反映されているかもしれない。なぜなら、木村社長自身も1998年型「ギブリ2」を所有し、自らハンドルを握って京都まで自走で参加しているのだ。会場で見かけた木村社長に改めてマセラティの魅力を訊いた。
「自分と同じ型のギブリがこんなに集まったのを見て嬉しく思います。私自身、500km自走してきて感じたマセラティの魅力は、やはり流麗なデザインのスポーツカーでありながら、とても運転しやすく、そして楽しいグランツーリズモであるということです」
実際多くの参加者が関西以外の地域から参加している。中でも今年2005年型「グランスポーツ」を手に入れて今回クラブに加入したという氏は「仕事が終わって、へとへとになって帰る時にグランスポーツに乗るとむしろ元気になります」とマセラティの魅力に対して最大限の賛辞を送っていた。
ケン奥山氏もサプライズで登場


ひとしきり新規加入クラブ員やクラシックモデルの車両紹介などが終わったところで、特別ゲストの日本を代表するデザイナーのケン奥山氏が紹介された。
このイベントのために早朝の新幹線で京都入りしたという奥山氏は、かつてマセラティのデザインに携わり、代表作とも言えるグラントゥーリズモやクアトロポルテを世に送り出した人物だ。昨年発表されたワンオフのフオリセリエ(ビスポークモデル)の「グレカーレ トロフェオ ピュアネスオブアジア」は奥山氏の監修に基づいて制作されたモデルである。
ランチを挟んだ午後にはおよそ60台のマセラティが東本願寺を出発し、1時間ほど京都市内でパレードを行った。このイベントに協力しているマセラティ京都の声掛けで沿道から撮影する人も多く、参加者はそれらに手を振って応えていた。
豊かなイタリア文化への理解こそ



だが、もっとも喜んでいたのは参加者だろう。それは60台もの車両、150名もの参加者を集めるイベントをほとんど自らの手で作り上げる達成感がもたらすものかもしれない。そして、結果としてクラブ内にファミリーのような雰囲気を醸成している。イタリアのハイブランドの集まりでありながら、そこに気さくで芯からのクルマ好きが集う理由はなんだろう? クラブ創設以来、会長を務める主宰の越湖信一さんは言う。
「クラブの皆さんが、自分だけが楽しむのではなく家族を連れて来る、ということが大きいかもしれません。クルマ趣味は時として自分だけの楽しみになりがちですが、家族もマセラティを所有する喜びを共有し、豊かなイタリア文化への理解を深めることでさらに楽しめます。マセラティはモータースポーツ由来のブランドではありますが、それだけでない深みがあります。その結果、オルシ家(中興の祖)との関わりもあるほどです」
年に1回開催されるマセラティデイは関東、関西あるいはその中間で開催されるが、次回の候補地も現在鋭意検討中だという。マセラティとイタリアのある豊かな人生を体験したければ、ぜひ車両を入手の上、クラブの門を叩いてみてはいかがだろうか?
PHOTO/GENROQ


