全ては走りのために。

名門アドミクスのチューニングでECR33が覚醒!

フロントフェンダーこそダクト付きの社外品に交換されているが、外装は基本的に純正フルエアロ。バリス製カーボンボンネットも、あえてダクトレスの純正形状をセレクトする。

「見た目が地味ですみません」とオーナーの名久井さんは言うが、フロントバンパー開口部に構えた前置きインタークーラーや足下を飾るエンケイPF01EVOなどから、虚飾を廃した正統派チューンドであることがビシビシと伝わってくる。名久井さんが初めての愛車としてECR33後期型を購入したのは19歳の時。ほどなくしてアドミクスに通うようになり、すでに10年以上が経つ。

「始めは外装をイジリたいって言ってましたね。でも、スカイラインなんだから、“走り”を追求する方が面白いよってアドバイスしたんです。それをキッカケにチューニングを始めて今に至るって感じです」と、アドミクス代表の本嶋さんが言う。

エンジンはブーストアップ仕様。ただし、タービンはHPI製エキマニを介してECR33前期型純正が装着される。というのも、後期型純正タービンはコンプレッサーブレードが樹脂製で、1.2キロ以上のブースト圧を掛けるとブローの可能性が一気に高まるから。それを回避するため、アルミブレードの前期型純正に換えて耐久性を高めている。

ECR33純正ECUに採用される1チップROM。一度データを書き替えたら修正できず、NVCSを動かす必要もあるため、Z32純正ECUを使ってセッティングが行なわれる。

また、RB25DETとVG30DETTではアイドルスイッチが異なるため、スロットルポジションセンサーからも信号を拾う。「RB25とVG30はインジェクター容量が同じ。なので、エアフロもZ32純正を使えれば超簡単にセッティングできたのですが、新品が高すぎるのでR35純正を使いました」と本嶋さん。

前置きインタークーラーはトラスト製。バンパー右側開口部の奥にはHKS製エンジンオイルクーラーがセットされる。サーキット走行や今後のタービン交換まで見据えたメイキングだ。

車高調はブリッツZZ-Rダンパー。フロントテンションロッドはイケヤフォーミュラ製、リヤアッパーアームはクスコ製に交換される。ブレーキは前後ともGT-R純正ブレンボキャリパー&ローターを流用。アドミクスオリジナルパッドを組み合わせ、制動性能を向上させている。

ストリートチューンドらしいインテリア。ステアリングホイールはMOMOチューナーに交換。追加メーターはデフィで統一され、Aピラーに水温/油温計、ダッシュボード上に油圧/排気温/ブースト計が並ぶ。センターコンソール下段にはHKS EVCⅥ-IR 2.4も確認できる。

名久井さんいわく、「チューニングを進めながら、サーキットにも通うようになって。メインは本庄です。本嶋さんに誘われて筑波にも足を運ぶようになりました。今の仕様でも速さは十分ですけど、次のステップとしてタービン交換にチャレンジしてみたいと思ってます」。

目指したのはパフォーマンスの向上と走りのブラッシュアップであり、思わず目を惹かれるような派手な演出はどこにも見当たらない。言ってみれば、機能性を追求することで生み出されたスタイル。そこに垣間見えるのは、チューニングに対するアドミクスの考え方とアプローチに他ならないのだ。

●取材協力:アドミクス 埼玉県比企郡川島町上大屋敷403 TEL:049-299-1771

「不人気なんて誰が言った!」オーナーが20年以上を費やして育てた450馬力のECR33

長年“不人気”のレッテルを貼られてきたR33型スカイライン。そのイメージを覆すべく、コクピット館林が手がけたチューンドは、RB25DETの可能性を引き出した450馬力仕様。上質な仕立てと官能的サウンドが魅力のリアルチューンドだ。

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