実証実験の概要
本事業実証は、2027年度にかけて Step 1~3の3段階に分けて行われる。Step 1では来年1月から来春にかけ、昨年戦略的提携契約を締結したApplied Intuition社との共同開発車両が本格使用される。セーフティドライバーが常時乗車する形で、新東名高速道路の自動運転優先レーン(駿河湾沼津SA~浜松SA)を含む高速道路上で自動走行(レベル4を想定した走行)※1が実施される。
自動運転車両の運行はもちろん、荷主となるいすゞロジスティクスによる荷役作業(荷積み・荷下ろしなど)も行うなど、より実践的な実証を通じて、自動運転物流の実現に向けたノウハウの蓄積が図られる。さらに、本事業実証の結果を踏まえ、2026年度にStep 2、2027年度にStep 3の各フェーズを計画。Step 2では、物流拠点・遠隔監視・駆けつけサービスを含めたさまざまな観点から運行効率の検証を行うとともに、得られたデータや知見、ノウハウが自動運転車両の開発へとフィードバックされる。そしてStep 3での最終検証を経て、2027年度中の自動運転レベル4トラック事業の開始が目指される。

事業実証Step 1の概要
| 目的 | 多様なユースケース(走行時間帯/荷量/天候など)および自動運行を支える要員(セーフティドライバー/遠隔監視など)の役割を検証 |
|---|---|
| 実証期間 | 2026年1月~来春 |
| 車両 | 大型トラック「ギガ」 車両総重量(GVW)25トンの8×4モデル |
| 車両運行者 | ワン・トランス株式会社(いすゞロジスティクス 100%子会社) |
| 台数 | 1台 |
| 積載貨物 | いすゞ補給部品(実荷) |
| 拠点運営/荷役 | いすゞロジスティクス |
| 走行ルート | いすゞロジスティクス 岩舟パーツセンター(栃木県栃木市)~いすゞロジスティクス 中部部品センター(愛知県一宮市) ※いすゞ補給部品 自社物流区間 |
| 乗降インター | 東北自動車道 佐野藤岡IC~東海北陸自動車道 一宮西IC |
| 自動運転走行区間(セーフティドライバー乗車) | 新東名高速道路 駿河湾沼津SA~浜松SA |
| 走行頻度 | 週5日程度(将来目標。1日で往復することを想定) |
| 走行時間帯 | 日中または夜間(時間帯問わず) |
| 遠隔監視 | 監視システムで異常時などの把握が適切に行えるかを検証 |
| 駆けつけサービス※2 | 監視システムで把握した情報を基に、適切なオペレーションの実施可否を模擬検証 |
新開発の自動運転車両
本事業実証には、Applied Intuitionと共同開発された新たな自動運転車両が導入される。本格的に開発に着手した年初から、日米で累計15万キロを走行。普及率が高く、幹線輸送に広く使用されている既存の大型トラック「ギガ」をベースに、前方・側方の物体を検知する「ミリ波レーダー」、車両周辺360°をスキャンする「LiDAR」、カメラを組み合わせたセンサー構成と、自車の位置を推定する「GNSS(全球測位衛星システム)」や車両の挙動を検知する「IMU(慣性計測ユニット)」を採用し、自動運転レベル4のための検知性能が確保された。
また、より複雑な交通環境に対応するため、現在開発中のE2E(エンド・ツー・エンド)をStep 2より投入。データ計測および走行評価を目的として、2026年度末までに計30台の自動運転車両が導入される予定。
さらに、いすゞグループが商用車メーカーとして長年培ってきた高い技術力・安全性・信頼性、そして全国に張り巡らされた販売・整備ネットワークを強みに、自動運転技術の実用化に向けた車両開発を推進し、将来的には、幅広い分野への自動運転車両の提供が目指される。
【注釈】
- 「自動走行(レベル4を想定した走行)」とは、自動運転システムをベースに、ドライバーが運行状態を常時監視し、代わって運転操作ができる状態で走行すること
- 高速道路上含め、公道で車両を停止させての実証は行われない
