連載

今日は何の日?

■可愛いフォルムのR1にスーパーチャージャーモデル追加

2005年にデビューしたスーパーチャージャー搭載のスバル「R1S」

2005年(平成17)年11月24日、スバルは同年1月に発売した軽パーソナルカー「R1」のマイナーモデルチェンジで、スーパーチャージャー搭載のスポーツグレード「S」を追加した。レスポンスよく、低中速域から高過給ができるスーパーチャージャーの効果で、グレード「S」は力強い加速が自慢だった。

R1の約1年前にデビューした兄貴分のスバルR2

2003年12月に、“新しいミニカーのカタチ”というキャッチコピーとともにスバルから「R2」がデビューした。

2003年にデビューしたスバル「R2」

5ドアで全高が1520mmと低いワンモーションのスタイリッシュなスタイリングは、当時ボクシーなハイトワゴンが人気を集める中で個性的だった。

エンジンは、排気量660ccながら当時としては珍しい4気筒エンジンで、最高出力46psを発揮する標準的なSOHC、54psの可変バルブ機構付DOHC、64psのインタークーラー付スーパーチャージャー搭載DOHCの3種エンジンを設定。トランスミッションはi-CVTおよび5MTが組み合わされ、駆動方式はFFとフルタイム4WDが用意された。

また足周りについては、前後ともストラット/コイルの4輪独立懸架で、ブレーキにはベンチレーテッドディスクブレーキが採用されるなど、軽としては先進的で贅沢な装備が目を引いた。

個性的なスタイリングと先進技術を装備したスバルR2は、技術的には高く評価されて好調な販売で滑り出したが、その後はライバル車の低価格かつ高出力戦略に遅れを取り、人気はその後頭打ちになってしまった。

1958年に誕生した名車「スバル360」
1958年に誕生した名車「スバル360」

名車スバル360を彷彿させるスーパースモールのR1が登場

2005年にデビューしたスバル「R1」。スーパースモールがキャッチコピー

スバルR2に続いて約1年後の2005年1月、3ドアクーペスタイルのスバル「R1」がデビューした。

R1は、軽枠から全長を100mm以上短縮した3285mm(規格は3400mm)で車幅は1475mm(規格は1480mm)、全高1510mmと、軽自動車の中でもよりコンパクトな異色の軽だった。

スバル「R1」のリアビュー。タマゴ型のフォルムがスバル360を彷彿

名車スバル360を彷彿させるタマゴ型のスタイリングとお洒落な内装を装備し、2人乗りのキュートなパーソナルカー“スーパースモールカー”をアピール。また、スバルらしく技術にこだわり、サスペンションもR2と同じ前後ともストラット/コイルの4輪独立懸架、ブレーキにはベンチレーテッドディスクブレーキという凝りようだった。

2005年にデビューしたスバル「R1」のサイドビュー

パワートレインは、最高出力54psを発揮する660cc直4 可変バルブ機構付DOHCエンジンとi-CVTの組み合わせ、駆動方式はFFとフルタイム4WDが用意された。

車両価格は、単一のグレード「R」のみで126.0万円(2WD)/136.9万円(4WD)とやや高めの設定だった。

スーパーチャージャー搭載モデルが追加

2005年にデビューしたスーパーチャージャー搭載のスバル「R1S」

その後、2005年7月に、最高出力46psのSOHCエンジンを搭載した廉価グレード「i」を追加。そして、同年11月のこの日に、R2にも搭載された最高出力64psを発揮するDOHCエンジンにインタークーラー付スーパーチャージャーを搭載したスポーツグレード「S」が追加されたのだ。

「R1」に搭載されたインタークーラー付スーパーチャージャーエンジン

車両価格は、2WD仕様で114.45万円(廉価版グレード「i」)/127.05万円(DOHC搭載グレード「R」)/142.8万円(スーパーチャージャー搭載グレード「S」)に設定された。

スーパーチャージャーのメリットは、過給機(コンプレッサー)をベルトを介して直接エンジンで回転させるので、ターボより過給の立ち上がりが早く、低中速域で高い過給圧を得ることができる。したがってグレード「S」はスーパーチャージャー特有の踏んだ瞬間から過給が効くレスポンスの良さが際立ち、ターボ車にありがちなターボラグがなく、シグナルスタートや坂道での加速はストレスなく極めてスムーズで力強いのだ。

スーパーチャージャー搭載「R1S」のコクピット
スーパーチャージャー搭載「R1S」のフロントシート

ただし、エンジンで過給機を回すので駆動損失が発生するので、燃費の悪化は避けられない。

R1は、個性的なスタイリングとスーパーチャージャーによる力強い走りは注目されたものの、販売は思うようには伸びなかった。当時はスズキの「ワゴンR」やダイハツの「ムーヴ」で火が付いた、背が高く居住性に優れたハイトワゴンが市場を席巻していたからだ。

2005年にデビューしたスーパーチャージャー搭載のスバル「R1S」

結局R1はR2とともに一世代のみで、R1が累計販売台数約1.5万台で2010年4月に、R2は約13.4万台で同年8月に販売を終えた。

・・・・・・・・・・
スバルもR1が爆発的に売れるクルマだとは想定しなかったはず。それでも、ハイトワゴン全盛の時代に個性的なパーソナルカーを世に送り出したスバルのこだわりには敬意を表したい。だが、スバルはその後、軽自動車の自社開発・生産から撤退し、OEM対応することに切り替えた。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

連載 今日は何の日?

歴史 9時間前

程好い超スポーツ仕様!? スバル「インプレッサWRX NB-R」を245.3万円~2代目に設定【今日は何の日?12月6日】

歴史 2025.12.05

キティちゃんとコラボ♪ ダイハツ「ミラジーノ・ハローキティ」は108.8万円~01年登場【今日は何の日?12月5日】

歴史 2025.12.04

ワゴンRよりちょい背の低いスズキ「MRワゴン」が97.8万円~01年誕生! タウンカー→ママ→若者とターゲットがコロコロ変化【今日は何の日?12月4日】

歴史 2025.12.03

走りもイケるトヨタ商用車「プロボックス/サクシード」にハイブリッド仕様を182万円~18年に追加【今日は何の日?12月3日】

歴史 2025.12.02

バブルの救世主、日産「ラフェスタ」が開放感ある室内をアピール、186万円~04年発売【今日は何の日?12月2日】

歴史 2025.12.01

“足のいいやつ”トヨタのスポーティセダン「カリーナ」が50.9万円~70年に初代登場【今日は何の日?12月1日】