近年、気候変動や就農人口の減少などによって引き起こされる農業生産の不安定化と、それによる食料不足が社会課題となっている。このような中、いつでも、どのような環境下においても、誰もが安定的で持続可能な農業生産を実現することが世界的に求められている。

デンソーとデルフィーは、2025年4月にデータ駆動型スマート農業推進に向けた基本合意を締結して以来、持続可能な農業生産を実現するため、関連技術の開発や仕組みづくりについて検討を進めている。このたび両社は、安定的な計画栽培を実現するシステムの開発に共同で取り組むことに合意し、作物の正確な生育データを自動取得する技術と、取得したデータを活用した高精度な収量予測モデルを開発し、デルフィーが開発・販売している栽培管理ソフトウェアQMSに実装される。

具体的には、自動車部品開発で培ったデンソーのセンシング技術や画像処理技術を活用し、生産者が目視による観察や手作業で計測している作物の生育データを、自動で正確に取得する技術の開発に取り組んでいく。生育データを自動取得することにより、生育データのサンプル数の大幅な増加と、サンプルの正確性の向上が期待され、これが収量予測の精度向上につながります。さらに、精度の高い収量予測モデルをQMSに実装することで、生産者はより高精度な生産および販売計画の立案が可能となる。これにより生産者は、卸売事業者や小売事業者と、より確実な収穫数量に基づく販売契約を締結でき、安定した農場経営が可能になる。また、需要に応じた最適な生産と販売が実現でき、フードロスの低減にも寄与します。
両社は、これらの技術開発について、2028年度中の完了を目指し共同で取り組んでいく予定としている。