フロントの空力特性改善が走りを変える!
軽量化やクーリングの改善にも繋がる高機能ボディキット
今回紹介するバリスのFL5用ボディキット『アライジングII S耐 Ver. for street』は、その名の通り、アライジングIIをベースとしたS耐(スーパー耐久レース)モデルを公道仕様にアレンジしたものだ。

市販車をベースに戦うS耐では、エアロパーツにもサイズや形状に厳しいレギュレーションが設けられている。しかし、レースで勝つためには空力性能だけでなく、冷却性能や耐久性も不可欠だ。高速域での走行風や振動に耐えられる強度を持ちながら、軽量化という相反する条件もクリアしなければならない。こうした過酷な環境で鍛えられることで、エアロパーツの真価が磨かれていくのである。
バリスはS耐参戦マシンに継続的に関わっており、FL5に関してはホンダの社内エンジニアが中心となる“Honda R&D Challenge(HRDC)”に、フロントバンパーやボンネット、GTウイングなどを供給している。
「FL5はもともと空力性能が高いクルマですが、大型ウイングやバンパー下のディフューザーでダウンフォースを得ているリアセクションに比べ、フロントにはまだ伸びしろがあると感じました」とバリスの矢萩さんは語る。

特に注目すべきは、厳しいレギュレーションの中で仕上げられたフロントバンパー(46万2,000円)の造形だ。3cmの延長制限内で有効面積を最大化し、リップ部分はフラット形状を採用。また、アンダーパネルを追加した7ピース構造により、優れた空力性能を獲得している。

さらにブレーキダクトも備えており、富士の24時間レースでは、なかなかブレーキの当たりが付かないほどの冷却効果を発揮。油温も純正比で約3度低下することが実証されている。

純正ボンネットの約半分の軽さを誇るクーリングボンネット(31万9,000円〜)は、重量バランスの改善にも貢献。中央のエアアウトレットにより、エンジンルーム内に滞留する熱気を効果的に排出し、水温や油温の上昇を抑える。雨水の侵入を防ぐカバーも装備されているため、ストリート仕様でも安心だ。

片側8mmワイドのフェンダートリム(フロント:4万6,200円/リア:9万2,400円)は、タイヤのワイドトレッド化時などのはみ出し対策にも有効。デモカーでは、ボルクレーシングCE28N+(9.5Jプラス38)にアドバンネオバ(265/35R18)を組み合わせ、絶妙なツライチを実現している。

アライジングIIと共通のサイドアンダースポイラー(24万2,000円)は、後方にウイング形状を取り入れたデザイン。カーボン製で、ボディサイドのデザインアクセントとしても有効だ。

リヤガーニッシュ(6万6,000円)やリヤアンダースプリッター(8万1,400円)も空力を意識したデザインで、整流効果が期待できる。いずれもカーボン仕上げで、スポーティな印象を与える。

センターマフラー部分にはエキゾーストヒートシールド(3万6,300円)を追加。純正リヤバンパーの優れた空力効果を活かすため、最小限のアレンジで仕上げられている。

1540mm幅で保安基準に適合するGTウイングforストリートII(29万7,000円)は、専用マウントベース付きで、高速域でも強力なダウンフォースを発揮。十分な取り付け剛性も確保されており、スタンドステーはアルミ製となっている。

実走行でもその効果は明確で、ドライバーによれば、交換後はフロントのダウンフォースが増大。前後バランスの改善により、リアウイングの角度調整の自由度も広がったという。車検に対応する仕様ながら、レース由来の実戦性能を完全に受け継いだ稀有な存在である。
●取材協力:バリス TEL:042-689-2939
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