M-TECH Alfredo Ferrari

マラネロの周辺自治体の全面的な協力

マラネロのフェラーリ本社で行われた発表会には、ジョン・エルカン会長をはじめ、周辺自治体の首長が出席した。
マラネロのフェラーリ本社で行われた発表会には、ジョン・エルカン会長をはじめ、周辺自治体の首長が出席。エミリア=ロマーニャ州は、M-TECH アルフレード・フェラーリに併設される体育館の建設資金を提供する。

2025年11月19日、フェラーリ本社で行われた「M-TECH アルフレード・フェラーリ」の発表会において、イタリアの建築設計事務所「ラビックス(Labics)」が手がけた新校舎の完成予想図、そして同校で行われる教育プログラムが公開された。発表会には、フェラーリとアニェッリ財団を率いるジョン・エルカンをはじめ、エミリア=ロマーニャ州知事のミケーレ・デ・パスカーレ、モデナ県知事のファビオ・ブラリア、マラネッロ市長のルイジ・ジローニが出席している。

M-TECH アルフレード・フェラーリを立ち上げることで、フェラーリは、教育と産業を結びつける技術・専門職育成プログラムをさらに発展させることになる。この「継続的学習エコシステム」は、マラネッロ周辺地域だけでなく、自動車産業全体にもポジティブな影響をもたらし、国内外から多くの学生を呼び込むことを目指しているという。

複合教育施設の運営資金は、インクルーシブな教育プロジェクトを支援する、米国の公益財団「フェラーリ・ファウンデーション(Ferrari Foundation)」を通じて、フェラーリ愛好家の寄付により支えられる。また併設される公共体育館の建設は、エミリア=ロマーニャ州の資金提供によって実現する予定だ。

フェラーリとアニェッリ財団の会長を務めるジョン・エルカンは、M-TECH アルフレード・フェラーリの開校について、次のように説明した。

「M-TECH アルフレード・フェラーリは、私たちの地元地域への具体的な関与を象徴する存在となるでしょう。マラネッロに技術学校を創設したエンツォ・フェラーリの先見性に倣い、私たちは『教育こそ未来への鍵』という信念を持っています。そして、その精神を受け継ぎたいと考えたのです」

「今日から始まるのは、単なる新施設の建設ではなく、何より人と学びの価値に基づいた大きな挑戦となります。これこそがフェラーリとこの地域を前進させる原動力となるはずです」

エミリア=ロマーニャ州のミケーレ・デ・パスカーレ知事は、次のように付け加えた。

「エミリア=ロマーニャはモータースポーツ、イノベーション、才能に溢れた地域です。M-TECH アルフレード・フェラーリは、優れた企業と高度教育、研究が一体となる唯一無二の継続的学習エコシステムを活かし、この地位をより強固な存在に引き上げます」

「州としても、公共体育館建設への資金拠出を含め、この戦略的投資を全面的に支持してきました。自動車分野および先端技術分野の新たな専門家を育成することは、地域の競争力強化、国内外からの若者の誘致、そして世界のイノベーション分野における存在感の確立につながるのです」

スクーデリア・フェラーリ100周年に開校

「M-TECH アルフレード・フェラーリ」のキャンパス予想図。
「M-TECH アルフレード・フェラーリ」は2027年に竣工し、スクーデリア・フェラーリが創立100周年を迎える2029年に完成する。

「M-TECH アルフレード・フェラーリ」の着工は2027年を予定。スクーデリア・フェラーリが創立100周年を迎える2029年に完成する。イタリアの建築事務所ラビックスが手がけた建築デザインは、最先端の教育空間であると同時に、地域に開かれた公共空間となることも目指している。

マラネッロのヴィニョーラ通り沿いに建設され、敷地面積は3万2000㎡。遊休工場跡地を活用し、新たな土地取得なしで建設が行われる。建設には低排出・高効率の最新基準を採用し、40以上の教室、ラボ、ワークショップ、共用空間が4階建ての校舎に配置される予定だ。

校内には一般利用可能な講堂・カフェ・図書館も併設。隣接する公共体育館には、ゲスト宿泊棟も設けられる。校舎前には学生や地域住民の集いの場となる2500㎡の広場も整備されるという。

M-TECH アルフレード・フェラーリでは、高校教育から大学レベルの専門課程、さらに現役技術者の継続教育に至るまで、包括的で広範なプログラムを提供する。エンツォ・フェラーリは、息子アルフレード(ディーノ)に捧げる形でマラネッロに技術学校を創設しており、地域の若者の育成はM-TECH アルフレード・フェラーリにおいて、さらに拡充されることになった。

M-TECH アルフレード・フェラーリのメインとなる「アルフレード・フェラーリ高等技術学校」は、エンツォ・フェラーリが1945年に設立。地域に寄贈された国立技術学校には、現在約800名が在籍する。ここでは、CAD、診断技術、ロボティクス、電子工学、オートメーション、機械工学(アディティブ・マニュファクチャリングなど)を、引き続き学ぶことができる。

現在、アルフレード・フェラーリ校内に設置されている「ITS メーカー・アカデミー」は、実践的なラボ学習を行うための専用スペースを新設する。「MUNER(エミリア=ロマーニャ モーター・ヴァレー大学)」は、先端の機械設計・シミュレーション作業などの研究を実施。最新のワークステーション、専門ソフト、CAD/CAM設備を備えた専用スペースが、新施設内に設置される。また、フェラーリで働く現役技術者向けの再教育・スキルアップ講座も開講する予定だ。

フェラーリ・ジャパンは、自動車整備士を志す若者を対象とした「テック・タレント・プログラム」を、7月12日に富士スピードウェイで開催した。

「フェラーリに触れる仕事とは?」フェラーリ・ジャパンが次世代整備士育成企画「テック・タレント・プログラム」を開催

フェラーリ・ジャパンは、自動車整備士を目指す15歳から25歳までの若者を対象とした「テック・タレント・プログラム」を、2025年7月12日(土)に富士スピードウェイで開催した。今回の企画は次世代の整備士の発掘と育成を目的とした体験型・教育型イベントであり、フェラーリが世界各国のディーラーで展開する「アプレンティスシップ・プログラム(訓練生制度)」にも連動している。