心臓部は1JZ改TD07-25Gタービン仕様

日産マルチリンクを移植してトラクションアップ!

バブル景気が始まろうとしていた1981年にデビューした初代ソアラ。ハイソカーブームの火付け役として大ヒットを記録した名車だ。

中古車として流通するようになった頃には、若者が好むナンパ車として人気が爆発。名作漫画『シャコタンブギ』ではメインカーとして活躍したため、懐かしく感じる40代のユーザーも多いだろう。

グレード構成は、エンジンだけでも2.0L NAシングルカム、2.0L NAツインカム、2.0Lターボシングルカム、2.8L NAツインカム、3.0L(最終型のみ)など多数あり、さらに装備などで細かくモデル分けされていたため、エンブレムを見て“スゲーッ”とか“カッコだけソアラやね”など言い合うことも少なくなかった。

ここで紹介するのは、当時の最上級グレード(3.0Lモデルが追加される前)である2.8Lの5M-GEUを搭載したGTリミテッドをベースにしたチューンドだ。

懐かしいフェンダーミラーをあえて残し、外装はノーマル風でフィニッシュ。さりげなくワイド化されたリヤフェンダーとボリューミーなタイヤがチャームポイントだ。

室内も独特の雰囲気。当時流行した純正のデジパネとイタルボランテの3スポークステアリングのコンビネーションがノスタルジックな雰囲気を高める。ダッシュ上に確認できる大型メーターは、オートメーターのシフトランプ付き120φタコだ。

ノーマル然としたエクステリアとは打って変わり、エンジンルームの作り込みはリアルチューンドそのもの。ストリートゼロヨンを視野に入れ、心臓部は5M-GEUから1JZ-GTEにスイッチ。そこにワンオフEXマニを介してTD07-25Gタービンを組み込んで、ハイレスポンスな500ps仕様を構築しているのだ。

駆動系チューンも抜かりなし。ミッションはベルハウジングを溶接加工し、1JZ-GTEにシルビア用のHKSドグ(Hパターン)をドッキング。リヤデフも日産のR200を流用して強化済みだ。

初代ソアラの足回りは前ストラット式、後セミトレーリングアーム式。ゼロヨンを考えると、フロントのストラット式サスはともかく、リヤのセミトレ式サスがよろしくない。なぜなら、サスストロークに対するキャンバー変化が大きく、トラクションを稼ぎにくいからだ。

そこでこの車両は、リヤのアッパーマウント周辺を新設するなど切った貼ったの大手術を行なって、サスメンバーごとS14シルビアのマルチリンクを完全移植している。

ストリート全盛期、オーナーはこのチューンドで毎週のように某ゼロヨンスポットへ繰り出し、対戦相手に後塵を浴びせていたそうな。ちなみに、公式のゼロヨンタイムは10秒5。その数字を聞けば、このソアラの速さが普通ではないことを理解できるはずだ。

「事故全損からの復活」“1JZ-GTEエンジン化”で生まれ変わった20ソアラの熱き物語

事故で失った初代GZ20から受け継いだ思いを胸に、オーナーが選んだのはAT仕様の20ソアラを“1JZ-GT+MT”へ進化させる道。部品難に悩まされる1Gから脱却し、走り・耐久性・楽しさを一気に底上げした珠玉の快速仕様だ。