JIDA(Japan Industrial Design Association)デザインミュージアムセレクションは1998年に発足。毎年、JIDA会員を中心に広く一般から製品を公募し、そこから、いま残すべき優れたデザインを審査会が選定したもの。選定された製品はウェブサイト、展覧会、図録を通じて公表される。また、企業から寄贈された製品を同協会にて保管し、常設展示スペースでの展示や各所での展覧会への貸し出しを行い、インダストリアルデザインの啓発に活用している。

今回で27回目を迎えた同デザインミュージアムセレクションでは、2025年7月1日〜8月17日の期間にJIDA会員および一般の方々に対して「当該選定に相応しい製品」の推薦を募り、354件の推薦を得た。その後、8月20日〜28日にかけて審査委員が事前投票を行い、この結果をもとに8月30日に審査会を実施。その後10月14日に特別審査委員による特別審査会が実施され、計59点(うち、ゴールドセレクション5点)が選定された。

スポーツボード「275SD」

スポーツボード「275SD」
ヤマハ・スポーツボートシリーズのフラッグシップとなる27フィート ジェット推進器付きランナバウトボート。家族・友人と週末を過ごすための高いラグジュアリー性、スーパーチャージャー付き2機掛けエンジンがもたらすスポーツ性能と横方向の移動を実現する操船性能等を備えている。

●審査講評
スクリューの露出がないジェット推進システムを持つ同社のスポーツボートシリーズのフラッグシップモデルとして、各種電子デバイスでの操船を可能にするコックピットは極めて先進的でモダンであり、様々なアレンジメントが可能なシートはセンターウォークスルーレイアウトを伴って洋上でのくつろぎを演出する。スタイリッシュなサンルーフとともに流麗なファストバックシルエットを描く船体デザインは、プレミアムモデルとしてふさわしい優美さを表現している。

スポーツツーリングモデル「トレーサーGT+ Y-AMT」

スポーツツーリングモデル「トレーサーGT+ Y-AMT
「トレーサーGT+ Y-AMT」は「The matured Multirole fighter of the motorcycle」という商品コンセプトのとおり、機動性を損なわずに先進/快適機能(世界初※を含む)を豊富に搭載し、刺激的な走りと上質な乗り味を両立している。
※マトリクスLEDヘッドライト(量産二輪車として初採用)

●審査講評
さらなる熟成と進化を果たしたスポーツツアラーとして、安定感の高い快適な走りとともに機能性をさらに高める装備も充実。加飾を削ぎ落とし、優れた機能性を表現したスタイリングは質感も高く旅好きの所有欲をくすぐる。特にウインドプロテクションの高さを予感させるカウルのアローシルエットと、ロー/ハイビームLEDとミリ波レーダー、カメラが並ぶフロントビューは極めて特徴的かつ魅力的であり、新たなステージでの「旅の快適さ」を予感させる。

車いす電動化ユニット「JWG-1」

車いす電動化ユニット「JWG-1
「JWG-1」は手動車いすを電動化するユニットで、自由な移動体験を世界に届けている。日本のみならず欧米など世界各国のユーザーへ向けて、トルク性能と耐荷重量を向上したドライブユニットを搭載している。

●審査講評
先代から約10年ぶりのフルモデルチェンジである。驚くべきは、この「JWG-1」 の発売を機に完成車販売をやめ、電動ユニット提供に軸足を移した点だ。この決断は、製品が極めて綿密に考え抜かれたものであることの証左である。車いすの電動化率は未だ5%程度であり、「JWG-1」の登場が、より多くのユーザーに電動化の価値を届ける契機となることを期待したい。