試作ハイフロータービンでK20Cの真価を引き出す!
排熱効率抜群のエアロボンネットが発売間近
FL5型シビックタイプRを駆り、2023年にアメリカ・サンダーヒル25時間耐久でクラス優勝を果たした“スプーン”。2024年からはスーパー耐久レースにもFL5でのシリーズ参戦を開始し、さらなるパッケージバランスの向上に取り組んでいる。

そのモータースポーツ活動から生まれたオリジナルパーツは、吸排気からフットワーク、ボディ補強まで多岐に及ぶ。ストリート、ワインディング、サーキットとステージを問わず走らせて楽しいFL5の構築を開発テーマとし、オーナーが感じる物足りなさをアップグレードできるラインナップを揃えている。

吸排気チューンからブーストアップと段階的に進化させてきたK20Cエンジンは、現在、試作ハイフロータービンを投入することで実測390ps&54kgmを発生させている。

ECUチューンを手軽に完結できることで注目を集めるホンダータ・フラッシュプロは、データをインストールするだけで設定が完了する仕様。ブースト圧1.6キロ、1.8キロのベースデータを用意し、それぞれブースト圧や燃調、点火時期などのアレンジにも対応する。

排気効率とサウンドの双方から理想を追求したN1マフラーキットは、ブーストアップやタービン交換といったステップアップも見据えてフロントパイプから70φを採用。純正バルブ機構を使わない145φサイレンサーの2本出しで、JQR認証も取得している。
サンダーヒル25時間耐久で得たデータを基に鍛え上げたフルスペックダンパーキットは、伸縮別の2ウェイ減衰力調整、車高調整、フロントキャンバー調整を備え、セットアップ幅を広げた。スプリングレートはフロント10kg/mm、リヤ12kg/mm。

純正ブレーキシステムに対しては、ストリート用とサーキット用の2モデルでスポーツパッドを用意。リヤは純正のままで問題ないが、フロントは車重やパフォーマンスを考慮すると容量不足と判断しており、スーパー耐久で使用している6ポットキャリパー&380mmローターの市販化を検討している。

ホイールは鍛造1ピースの軽量・高剛性モデルであるスプーン・SW388(10J+40×18)。タイヤはポテンザRE-12Dの265/35R18を組み合わせる。

FL5のクーリング環境はFK8に比べれば改善しているものの、夏のサーキットでは満足に1周走れない状況が残る。スプーンではスーパー耐久での経験から熱対策を最重要項目とし、センターだけでなく両サイドにもダクトを備えたエアロボンネットを完成させた。
熱放出はボンネット裏の最適化によってワイパーカウル部からも行われる。純正がアルミ製で軽量なこと、さらに剛性も必要なことから重量は純正同等にとどまるが、クーリング性能が大幅に向上するため、安定したパフォーマンス発揮にはぜひ投入したいアイテムだ。

両サイドに設けたダクトは、エンジンルームの熱気を排出するだけでなく、フロントタイヤハウス内で発生する乱流を抜く役割も担う。スーパー耐久でも空力効果が確認されており、インナーフェンダーは取り外す、もしくはネット処理して装着したい。

近日リリース予定のフロントバンパーは、位置や角度の変化でエラーを検知するセンサーを純正位置にセットして対策。フロントのダウンフォースを高めつつ、エアロボンネットと合わせて水温・油温・吸気温の上昇を抑制し、K20Cのポテンシャル発揮に貢献する

風洞試験とサーキットテストを重ねたクレーンネックウイングは、走行抵抗となるドラッグを抑えながら、FL5に必要なリヤダウンフォースを確保。9段階の角度調整を備えた1550mm幅のウエットカーボン製ウイングにアルミステーを組み合わせ、重量4.5kgの保安基準適合品として仕上げられている。

「オレがドライバーとして参加しているスーパー耐久で開発されたエアロパーツで、ダウンフォースが高まっているのはもちろん、何より格好良いよな。微妙に濡れた路面に落ち葉もあって、ハイパワーFFターボのドライビングはシビアだったけど、路面にしっかり追従する足まわりとポテンザRE-12Dのグリップが相まって痛快に走れた。ドライ路面なら、立ち上がりで一気に出るハイフロータービンのトルクもトラクションに変えていけるから、もっと攻められたのが残念だよ」と語るのは、インプレッションを担当したターザン山田。

精悍なスタイリングと優れたクーリング性能でK20Cの走りを支える、まさに機能美あふれるパーツ群。スプーンが展開していく空力チューンから目が離せない。
※道路所有者、警察署から許可を得て使用道路を封鎖した上での撮影を行なっています。
●取材協力:スプーンスポーツ TEL : 0120-112-095
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