フォルクスワーゲン(以下VW)が、中国のXpeng(シャオペン)と共同開発する次世代電気セダンの詳細が見えてきた。シャオペンは、2014年に中国・広州を拠点として設立されたスマート電気自動車(EV)メーカーだ。 VWとシャオペンは2024年にプラットフォーム(車台)やソフトウェアの共同開発契約に調印した。

この提携から、中国が世界の自動車産業においていかに重要な存在となっているかを改めて認識させられる。2024年に発表されたこの協業は、ピュアEVから従来の内燃機関車、プラグインハイブリッド車まで、幅広い将来のモデルをサポートする次世代電気アーキテクチャの開発に重点を置いている。
この共同開発はすでに成果を上げているようで、共同開発の最初のモデルの一つが、IDファミリーに加わると予想される、フォルクスワーゲンのまだ名前の決まっていないセダンだ。

最近、中国の道路でカモフラージュされた状態でテスト走行している姿が目撃されたこの新型電気セダンは、わずか数ヶ月前に第2世代がデビューしたばかりのXpeng P7をベースとしていると考えられている。
また、今年初めに発表されたVWのコンセプトカー「ID. Aura」と「ID. Evo」のデザイン要素も反映されている。


お馴染みデジタル・アーティストのSugar Desginから協力を得た予想CGは、カモフラージュされたプロトタイプをベースに制作したようだ。かなり信憑性があると思うと同時に、欧米市場で現在販売されているいくつかのVWモデルと比較すると、この新型車は明らかに洗練されたスポーティな存在感を放っていると言えそうだ。

フロントには、分割されたLEDヘッドライトユニット、中央に配置された小さなイルミネーションバッジ、そして大きく開放的なブラックグリルと滑らかなラインが特徴的だ。シャープなデザインの第2世代P7ほど斬新ではないが、それでもかなり大胆なスタイルの転換と言えるだろう。

特に目を引くのはサイドビューで、力強いリアハンチと滑らかで流れるようなルーフラインが際立っている。リアでは、精巧なLEDテールライトが柔らかく輝くVWバッジを囲み、コンパクトなブラックのディフューザーが外観を完成させている。

VW次世代セダンが、P7ののスペックを踏襲するかどうかはまだ不明だが、P7本体の全長は197.5インチ(5017mm)で、バッテリーは74.9kWhパックと92.9kWhパックの2種類が用意されている。
標準の後輪駆動レイアウトでは、単一のモーターで362ps/270kWを発揮し、全輪駆動レイアウトではフロントユニットが追加され、合計586ps/437kWになる。AWDモデルは、0-62mph(約97km/h)加速を3.7秒で達成し、最高速度は142mph(約220km/h)に達すると予想されている。
航続距離は仕様によって異なり、基本モデルでは約702km(436マイル)、長距離RWDモデルでは820km(509マイル)だ。

VWは中国市場を非常に重視しており、シャオペンと共同開発した電気・電子アーキテクチャが将来のEVの基盤となることに加え、同社は同じ基盤が内燃機関車やプラグインハイブリッド車にも採用されることを明言している。
また、この新システムは、単にワイヤレスアップデートを可能にするだけでなく、車両開発の効率化、生産期間の短縮、市場トレンドへの迅速な対応を可能にするように設計されているという。

VWは、中国で30以上の新型車を発売することを発表しており、そのうち20車種は新エネルギー車だ。これらの実現に向けてシャオペン協力するだけでなく、FAW-VWとフォルクスワーゲン安徽の合弁会社を通じてパートナー企業とも連携していくなど、2030年までに中国市場がかなり強化されると予想される。
