機敏な身のこなしとHEVの滑らかな加速感が◎

ヤリスクロスは、車名が示すとおり、コンパクトカーのヤリスとパワートレインやプラットフォームを共通化したコンパクトSUVだ。2025年1〜3月には1ヵ月平均で約8600台を登録して、国内ではSUVの最多販売車種になった。人気の理由は、実用性とカッコ良さの両立だ。フロントマスクは鋭角的なデザインだから存在感も強い。

エクステリア

SUVらしい逞しい前後フェンダーアーチ、スポーティなリヤスポイラーが印象的。「Z“Adventure”」は、専用前後バンパーやルーフレール、ドアの下側にモールディングを装着。最小回転半径は5.3m。

リヤゲートを適度に寝かせたことで、後ろ姿にはスポーティな雰囲気も漂う。全長は4200㎜とコンパクト。少しワイドな3ナンバー車だが、全幅は1765㎜に収まる。最小回転半径も5.3mだから、混雑した街中や駐車場でも運転しやすい。ボンネットの左右が少し盛り上がっていて視界に入るため、車幅やボディの先端位置もわかりやすい。内装は運転席に座ると適度な囲まれ感が伴う。ただし「Z」では運転席の電動調節機能に注意したい。1個のモーターで、クラッチを介して複数の調節を行なうため、操作したときの反応が鈍めだ。使い勝手を確かめておきたい。

乗降性

車内の広さはコンパクトSUVの平均水準。身長170㎝の大人4名が乗車時に、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシひとつ半に留まるが、着座位置はハッチバックボディのヤリスよりも20㎜高いため腰の落ち込む窮屈な姿勢になりにくい。後席に座る乗員の足が前席の下にスッポリと収まり、座面にもボリューム感があるので4名乗車にも対応できる。荷室容量も後席を使った状態で390ℓを確保し、コンパクトSUVとしては積載性も満足できる。

インストルメントパネル

コネクティッドナビ対応8インチディスプレイオーディオは、全車標準で「Z 」と「GRSPORT 」は車載ナビも内蔵。本革巻きステアリングは「G」以上に標準で、エアコンはマニュアルになる「X」のガソリン車を除きオートになる。

パワートレインは、直列3気筒1.5ℓの自然吸気ガソリンエンジンと、これをベースに開発されたハイブリッドだ。自然吸気ガソリンエンジンは少し高回転指向で、3000rpmを超えると加速力が活発になる。車両重量がFF車なら1100㎏台に収まっているのでパワー不足は感じないが、もう少し実用回転域の駆動力が高まると良い。アクセルペダルの踏み込み方も抑えられ、3気筒特有のやや粗いエンジンノイズも聞こえにくくなるだろう。

居住性

ハイブリッドは走りでも満足度が高い。モーターはアクセル操作に対する反応が機敏で、発進直後から登り坂まで、アクセルペダルを踏み増したときの反応が力強い。加速は滑らかで、モーター駆動の併用によりノイズは小さい。さらにハイブリッド「G」のFF車のWLTCモード燃費は30.2㎞/ℓだから、SUVでは燃料消費量が最も少ない。ステアリング操作に対する反応は、SUVの中でも機敏な部類。全高が1600㎜以下で重心も低めだから、良く曲がる割に、後輪の接地性も相応に高く安定性に不満はない。その代わり街中の路面が荒れた場所を40㎞/h以下で走ると、乗り心地が少し硬く感じる。ステアリングの操舵感を若干マイルドに抑えて、足まわりが柔軟な設定になればバランスは良くなるが、ヤリスクロスのスポーティな個性が薄れてしまう。

うれしい装備

「6対4分割アジャスタブルデッキボード」は、上下段に設置でき、上段にすれば後席前倒し時にフラットな奥行きが広がる。下段にすれば荷室高を稼ぐことが可能で、荷物に応じて使い分けができる。
ハンズフリー対応のパワーバックドアを「G 」と「X 」を除いてオプション設定する。スイッチ操作で容易に開閉が可能で、挟み込み防止、停止位置メモリー、予約ロック機能を備える。
月間登録数     9051台(24年11月~25年4月平均値)
現行型発表    20年8月(一部改良 25年2月)
WLTCモード燃費  30.8 ㎞/ℓ※「X(ハイブリッド)」のFF車

ラゲッジルーム

購入時には、運転の楽しさと乗り心地のバランスを確認したい。以上のようにヤリスクロスは、街中での扱いやすさ、4名乗車が可能な居住性、走りの良さを兼ね備えて価格は求めやすい。その結果、人気車となっている。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.168「2025-2026年 コンパクトカーのすべて」の再構成です。

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