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■ランエボVIの記念モデル「トミー・マキネン・エディション」発表

1999年に発表、2000年に発売された記念モデル三菱「ランサーエボリューションVI・トミー・マキネン・エディション」

1999(平成11)年12月10日、三菱自動車は史上初のドライバーズチャンピオン4連覇を成し遂げたトミーマキネン選手の偉業を記念して、ランサーエボリューションVIベースの「トミー・マキネン・エディション(TME)」を翌2000年1月8日に発売することを発表した。

1996年から1999年までトミー・マキネン選手はWRCドライバーズチャンピオン4連覇という偉業を成し遂げた
AUTO SPORT誌のインタビューに答えるトミー・マキネン選手

ランサーエボリューションVIまでの歩み

1992年9月に誕生した初代「ランエボI」は、最大の武器である高性能の名機4G63型ターボエンジンと優れた走破性を誇る4WDを搭載。1993年からWRCグループAに参戦し、1995年のスウェディッシュラリーの初優勝を皮切りに、1990年代後半~2000年代初期にはスバルの「インプレッサWRX」とともにWRCの舞台で大活躍し、その名を世界に轟かせた。

1992年にデビューした三菱初代「ランサーエボリューションI」
1994年に登場した三菱「ランサーエボリューションII」
1995年にデビューした三菱「ランサーエボリューションIII」
1992年にデビューした三菱初代「ランサーエボリューションI」の4G63型エンジン

・第1世代(I、II、III)
初代「ランエボI」は、最高出力250ps/最大トルク31.5kgmを発揮する2.0L 直4 DOHC(4G63型)インタークーラーターボエンジンを搭載。トランスミッションは5速MT、駆動方式はVCU(ビスカスカップリング)付センターデフ式フルタイム4WDを採用。1994年に登場した、ホイールベースを100mm拡大した「ランエボII」は、WRCで初優勝。1995年には、空力性能を向上させた「ランエボIII」に移行し、この時点で最高出力は270psへと向上した。

1996年にデビューした三菱4代目「ランサーエボリューションIV」
1998年にデビューした三菱5代目「ランサーエボリューションV」
1999年にデビューした三菱6代目「ランサーエボリューションVI」
1996年にデビューした三菱4代目「ランサーエボリューションIV」の4G63型エンジン

・第2世代(IV、V、VI)
1996年にベースであるランサーのフルモデルチェンジに対応して「ランエボIV」が登場。エンジンは、ツインスクロールターボでパワーアップして自主規制値280psに達し、エンジンを左右逆転させて搭載し、初めてAYC(アクティブ・ヨー・コントロール)を採用。1998年には、ワイドボディの3ナンバー化した「ランエボV」が、グループAでも優勝を果たした。

第2世代最後で最強のランサーエボリューションVI

ランエボVの成功を受けて1999年1月には、引き続きWRCの頂点を目指す「ランエボVI」が登場。ランエボVIは、空力性能と冷却性、耐久信頼性の向上が改良のメインとなった。

1999年にデビューした三菱6代目「ランサーエボリューションVI」

車両については、ナンバープレートのオフセットやフォグランプの小型化、バンパー右サイドにオイルクーラー通過風を排出するベンチレーターの設置、特徴的な2段リアウイングなどで空力性能と冷却性能を向上させた。

エンジンについても、水温制御方法の改良やピストンのクーリングチャンネルの追加、エンジンオイルクーラーの大型化など、またインタークーラーとラジエーターへの水噴射システム(ウォーターインジェクション)も採用された。

さらにエアインテークホース径やターボ吸気入り口径の拡大などでレスポンスを改良し、競技ベース車両RSグレードには、チタンアルミ合金製タービンホイールを採用。最高出力280ps/最大トルク38.0kgmは変わらないものの、レスポンスや耐久信頼性は格段に高まった。

組み合わされたトランスミッションは、クロスレシオタイプの5速MT、駆動系にはAYC+フロントヘリカルLSDを組み込み、4輪へ最適なトルク配分が実現され優れたコーナリング性能に磨きがかかった。

ランサーエボリューションVIにトミー・マキネン・エディション(TME)を追加

1999年に発表、2000年に発売された記念モデル三菱「ランサーエボリューションVI・トミー・マキネン・エディション」

ランエボは、第2世代(IV、V、VI)がWRCで最も活躍し、1997年に三菱は、マニュファクチャラーズとドライバーズ、グループNのトリプルチャンピオンに、また1996年から1999年までトミー・マキネン選手はドライバーズチャンピオン4連覇という偉業を成し遂げた。

1999年に発表、2000年に発売された記念モデル三菱「ランサーエボリューションVI・トミー・マキネン・エディション」特徴ある各部

このトミー・マキネンの偉業を記念した「トミー・マキネン・エディション(TME)」が、1999年12月のこの日に発表され、翌2000年1月に、従来通りロードバージョン“GSR”と競技ベース車“RS”の2グレードで市場に放たれた。

1999年に発表、2000年に発売された記念モデル三菱「ランサーエボリューションVI・トミー・マキネン・エディション」のサイドビュー

TMEの具体的な仕様変更点は、まずチタンアルミ合金ターボをGSRでも標準搭載。排気系は、大口径シングル真円テールパイプを組み込んだ新構造スポーツマフラーの採用で排圧低減を図った。足回りついては、舗装路を意識して10mm下げたターマック仕様サスペンションを採用。また操舵については、GSRにもクイックステアリングギアレシオが採用された。

エクステリアについては、空力性能と冷却性のさらなる向上を狙った斬新なデザインのフロントバンパーとエクステンション、WRCマシンと同じデザインのアルミホイール、パッションレッドの専用ボディカラーなど。インテリアについては、マキネンのロゴが刺繍されたレッドファブリックのレカロ製フルバケットシート、ブラック盤面レッド文字と目盛りの専用カラーメーターなどでスペシャル感が強調された。

1999年にデビューした三菱6代目「ランサーエボリューションVI」

車両価格は、327.8万円(GSR)/259.8万円(RS)に設定。ちなみに、ベースのランエボVIは324.8万円(GSR)/259.8万円(RS)である。

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記念モデルというと、通常は見た目の内外装の変更にとどめる場合が多い。しかし、TMEは内外装だけでなく、エンジンやサスペンション、操舵機構まで変更されており、単なるミーハー的な記念モデルではないのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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