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今日は何の日?■憧れのスーパースポーツLFAが生産終了

2012(平成24)年12月14日、レクサス「LFA」が当初の生産予定である500台の生産を終了した。LFAは、CFRP(炭素繊維強化樹脂)のモノコックボディに、ヤマハ製4.8L V型10気筒エンジンを搭載したスーパースポーツで、2010年12月からほぼ1日1台のペースで生産が続けられ、この日に最後の生産を終えた。
日本が誇るスーパースポーツのレクサスLFA誕生

レクサス LFAの開発は2000年に始まったが、その狙いは欧州のフェラーリやランボルギーニのような本格的なスーパーカーに真っ向勝負できるクルマを作ることだった。そのためLFAは、トヨタグループのヤマハ発動機やアイシンエーアイ、アイシン精機、豊田自動織機などトヨタグループの総力を上げて、最先端技術が惜しみなく投入された。

軽量強靭なCFRP 製モノコックボディに、ヤマハ発動機と共同開発した4.8L V型10気筒エンジンをフロントミッドシップ。そのエンジンは、市販車として当時国内最強の最高出力560ps/8700rpm、最大トルク48.9kgm/6800rpmを発揮し、その出力は6速ASG(自動MT)を経てディファレンシャルと一体化されたトランスアクスルを介して後輪を駆動するFRである。

サスペンションは、前がダブルウィッシュボーン、後がマルチリンク式で車高調整ショックアブソーバーを備え、ブレーキはカーボンセラミック製ディスクブレーキが採用された。
その結果LFAの動力性能は、0-100km/h加速はわずか3.7秒、最高速度は325km/hに達した。日本での車両価格は3750万円で、2010年12月から生産がスタートし、2012年12月のこの日に限定500台の生産を終了したのだ。

以下にLFAが採用した特徴的な技術を簡単に紹介する。
強度と軽量化を両立させたCFRPのボディ構造
LFAには、車両の基本骨格の大半とボンネットやルーフのパネルにCFRPが採用された。広範な部位への適用が可能になったのは、CFRP製部材の製造方法の改良とともに、さまざまな製造工法のCFRPを適材適所で使えるようになったためである。

CFRPは、レーシングカーなどにも使われる軽くて強度の高い材料である。一方で、当時はまだCFRPを量産するのは技術的に難しくコストがかかるため、なかなかCFRPを車体骨格に使う市販車はなかった。レクサスLFAは、通常の生産ラインとは異なる少量生産車に特化したLFA製造ラインを設けて成形精度を上げたのだ。
CFRPを主体としたLFAのボディ重量は、アルミ合金製と比べて100kg軽い1480kgが達成された。
最強パワーと透き通った排気音のV10エンジン

レクサスLFAのV型10気筒エンジンは積極的に軽量化が図られ、吸排気弁、コンロッドはチタン合金、ヘッドカバーはマグネシウム合金を使い、排気管は各バンク5本→1本の完全等長マニホールド、さらにマフラーもチタン合金製を採用。また潤滑は、エンジン重心を下げ、急加速時や旋回時の空気の吸い込みを防止するドライサンプ方式が採用された。
またLFAで大きな注目を集めたのが、ヤマハの協力を得て楽器のように調律された、オクターブハーモニーを利用した排気音だ。オクターブハーモニーとは、エンジンの燃焼による共振を利用したF1マシンのような透き通った排気音であり、誰もが振り返るような迫力ある透き通った排気音を演出したのだ。
優れた操縦安定性を実現したフロントミッドシップレイアウト

通常、スーパーカーはエンジンをキャビンの後ろに搭載するミッドシップとするのが一般的だが、LFAは車両前部に搭載するフロントミッドシップを採用した。この構成により、FRレイアウトがもつ操縦性能や直線安定性と、MRプラットフォームがもつ高いハンドリング性能やコーナリング時の機敏性を両立させたという。
高性能スポーツカーの前後重量配分は、一般的50:50が理想と言われている。しかしLFAでは、クルマの能力を最大限に引き出せる値として前後48:52としている。
軽く耐久性に優れたカーボンセラミック製ブレーキ
カーボンセラミックブレーキは、カーボンとセラミックによる複合素材で作られたブレーキローターで、最大のメリットは軽いこと。通常のスチール製ブレーキローターと比較すると約半分の重量なので、ばね下重量の軽減に大きく貢献する。

さらに耐熱性や耐フェード性、耐久性にも優れており、ブレーキダストが非常に少なくホイールが汚れにくいというメリットもある。日本車でカーボンセラミックブレーキを採用したのは、レクサスLFA、日産GT-R、ホンダNSXのみである。
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最近になって次期LFAの噂が飛び交っているようだ。例えば、4LクラスのV8ツインターボエンジン搭載のハイブリッドで最高出力900ps級といった具合だが、2026年には正式発表されるかもしれない。今から楽しみに待っておこう。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。


