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今日は何の日?■マークXをハイチューニングしたスポーツ仕様GRMNが登場

2014(平成26)年12月18日、トヨタはGAZOO Racingが最高峰のチューニングを施したスポーツモデルのコンプリート車「マークX“GRMN”」(初代)の注文を翌2015年3月1日から受け付け、同年6月上旬に限定100台で発売することを発表した。
ハイソカーの代表、マークIIの後継として誕生したマークX

2004年11月、アッパーミドルセダン「マークX」は、1980年代のバブル期にハイソカーとして一世を風靡した「マークII」の後継車としてデビューした。ターゲット層をマークIIよりも一世代若い40歳代半ばから50歳代半ばに引き下げ、ユーザーの若返りを狙った。


パワートレインは、最高出力215psを発揮する2.5L V6 DOHC、256psの3.0L V6 DOHCの2種エンジンと6速ATおよび5速ATの組み合わせ。軽快でスポーティな走りが楽しめたマークXは、当初は、セダンとして好調な滑り出しを見せたが、セダン人気が低下する中で販売は徐々に下降した。

2009年、マークXはモデルチェンジして2代目に移行。2代目は、Aピラー付け根を80mm前にCピラーは30mm後ろにすることで、全体のフォルムをスムーズにして先代よりもさらにスポーティ感を強めた。

エンジンは、先代の3.0Lを3.5Lに変更して、2.5L V6と3.5L V6エンジンとなり、トランスミッションは6速ATのみとなった。


2012年8月には、特にスポーティな走行性能と高級感を兼ね備えたモデルとして、最高出力318ps/最大トルク38.7kgmを発揮する3.5L V6エンジンを搭載した「マークX 350S」が登場。これが、GRMN仕様のベースとなったのだ。
2代目マークXにスポーティさを極めたGRMNを追加

2014年12月に発表されたGAZOO Racingが開発した「マークX“GRMN”」のコンセプトは、“大人のスポーツFRセダン”。一般道からサーキットまで、幅広いシーンで走りが楽しめるモデルとして開発された。

ベース車両は前述の通り「マークX 350S」。エクステリアは空力特性に配慮したフロントバンパーやスポイラーを装備。ライセンスガーニッシュをボディと同色とし、サイドミラーカバーをブラックとするなどスポーティさを強調。また、前後にGRMN専用エンブレムを採用してGRMN仕様であることをアピールした。

インテリアは専用デザインのシフトレバーを採用し、ペダル配置を変更したほか、専用スポーツシートの採用やステアリングの小径化などでスポーツドライビングが楽しめることにこだわった。また内装色は黒を基調とし、インパネ・ガーニッシュやメーター周辺などにピアノブラック塗装を施して、シートやドアトリムなどにウルトラスエード表皮を採用。GRMNのロゴ入りのエンジンスタートスイッチなどを装備して特別感が演出された。
パワートレインは、マークX 350Sと同じ3.5L DOHCエンジンに6速MTが組み合わされた。サスペンションにも専用チューニングを施し、補強用ブレースやドアスタビライザーの追加、専用トルセンLSDや前後でサイズの異なるタイヤ(フロント:235/40R19、リア:255/35R19)を装着、ブレーキ部品の軽量化など、GAZOO Racingのチューニング技術が惜しみなく投入された。
車両価格は540万円。ちなみにベースのマークX 350Sは、360万~370万円なので、GRMNは200万円近く高額である。
GRシリーズの最高峰に位置するGRMN
トヨタの「GRシリーズ」は、社内カンパニーである“GRカンパニー(GAZOO Racing Company)”が、モータースポーツ活動で得た知見と技術を、トヨタの市販車にフィードバックして専用チューニングを施したコンプリートカーである。

GRMNは、GRシリーズの最高峰のモデルであり、“GAZOO Racing tuned by Meister of Nürburgring”の略称で、ニュルブルクリンクで培われた技術を市販車にフィードバックした、限定生産のコンプリートカーを指す。

したがって、エンジンからボディまで細部にわたり高いレベルのチューニングが施されており、現在のところGRMNが設定されているのは、マークXの他に「ヴィッツGRMN」、「ヤリスGRMN」、「GRヤリスGRMN」、「GRMNカローラ」がある。

なおGRシリーズには、GRMNの下に位置するGRとGRスポーツがある。GRは、GRMNに次ぐ本格スポーツで「GR86」や「GRスープラ」などがある。その下のGRスポーツは、GRのDNAを受け継ぎつつ、より幅広い車種に展開されるスポーツモデルである。
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マークXは、セダン復活を目指して登場したが、セダン低迷の中では期待したほどの実績は残せなかった。しかし、マークX GRMNは初代の100台、2代目の350台の限定販売は即完売したそうだ。希少なFRのスポーツセダンであることが、ファンを引きつけたのだろう。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。


