ラウンドアバウトとは?

ラウンドアバウトとは、ヨーロッパを発祥とする交差点形式で、「環状交差点」とも呼ばれている。日本では、2014年9月に施行された改正道路交通法に基づき導入。大きな特徴は、交差点の中心に円状の通行不可部分を設置し、バイクやクルマはそのまわりを回転通行することだ。

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ラウンドアバウトでは、交差点の中心に円状の通行不可部分を設置し、バイクやクルマはそのまわりを回転通行する

また、一般的な交差点と違い、信号機や止まれの標識などがないため、環状部分にはいつでも進入可能。信号待ちや一時停止の必要がないため、スムーズに交差点へ入れる。さらに、進入後も、自分の行きたい任意の方向へ、歩行者などがいなければすぐに離脱できる。

なお、主なメリットは、以下の通りだ。

【ラウンドアバウトのメリット】
・信号がないため災害時に停電が発生しても影響なし
・交差点整備のコスト削減
・信号がないので街の景観がスッキリする
・交通の流れがスムーズになり渋滞が減少
・Uターンにも利用できる

ただし、デメリットもある。たとえば、交通量の多い交差点では、やはり信号機などの制御がないと危険なため、ラウンドアバウトは適さないといえる。また、信号を使った一般的な交差点(信号交差点)より場所を取る。そのため、現状では、地方にある、あまり交通量の多くない交差点に採用されていることが多い。

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2014年の法律施行前に作られたラウンドアバウトなどには、まだ一時停止規制が適応される場所もあるが、将来的には廃止する予定だという

どんな走り方をすればいい?

ラウンドアバウトは、日本ではあまり馴染みのない形式のため、ツーリング先などで初めて遭遇すると、一瞬戸惑うかもしれない。だが、基本的には、信号機などのないシンプルな交差点であるため、通行方法にさほど複雑なことはない。

主な走り方は、まず、道路の左側に寄って徐行しラウンドアバウトに進入(ウインカーなどの合図は不要)。この時、右からくる車両に注意する。ラウンドアバウトでは、環状部分をすでに通行している車両がいる場合、その車両に優先権があるからだ。そのため、交差点には、右から来たバイクやクルマなどがいる場合、一旦停止か徐行し、それらが通過するのを待ってから進入する。だが、もしいない場合は、停止や徐行なしでそのまま進入することができる。

ラウンドアバウト進入後は、時計回りでの通行が基本。自転車や二輪車に注意しながら、できる限り環状交差点の左端に沿って徐行する。そして、自分の行きたい方向の道路の手前まで進んできたら、左折のウインカー(または合図)を出した後、行きたい方向の道路へ離脱する。

ただし、この際、出口やその直近に設置された横断歩道に歩行者などがいないか十分に注意したい。もし歩行者がいる場合は、徐行または一旦停止をするなどで、歩行者の通過を優先させてからラウンドアバウトから出る。

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ラウンドアバウトの走り方や注意点(警察庁・都道府県警察のパンフレットより抜粋)

ロータリーとの違い

ちなみに、ラウンドアバウトは、駅前などでよく見かける円形の交差点、いわゆるロータリーと形状などが似ている。だが、ラウンドアバウトとロータリーでは、交通ルールが異なるため注意が必要だ。ラウンドアバウトは信号がなく、一時停止も不要で、交差点内を走行中の車両が優先だ。

対してロータリーは、一時停止や信号などの交通整理が行われている場合も多いが、交通整理が行われていない場合、左側から交差点へ侵入する車両が優先。ロータリー自体に定められた交通ルールは基本なく、一般的な信号のない交差点と同じで、左側から進入する車両に通行の優先権があるためだ。

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駅前などでよく見かけるロータリーとラウンドアバウトは、通行するルールなどに違いがある

なお、ラウンドアバウトとロータリーは、手前に設置された標識が違うので見分けることができる。どちらも3つの矢印が時計回りに描かれているが、ラウンドアバウトが青と白を組み合わせた円形の「規制標識」であるのに対し、ロータリーは黄と黒を組み合わせたひし形の「警戒標識」だ。

なお、ラウンドアバウトに使われる規制標識とは、道路交通法などに基づき、車両や歩行者の特定の交通方法を禁止したり、制限・指定したりする標識。つまり、この先にラウンドアバウトがあるので、先述したような通行方法で走行しなさいといった意味合いになる。

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ラウンドアバウトの標識

対して、ロータリーに使われている警戒標識とは、道路上の危険な場所や注意すべき状況などを、事前にドライバーやライダーなどに知らせ、「注意して運転しなさい」と促すもの。ロータリーの標識の場合は、「この先にロータリーがあるので注意」という意味になる。そのため、見通しのいい道路では設置されていないこともあるし、また、必ずロータリーのそばにあるとも限らない。ロータリーの場合は、入り口に一時停止や信号があったり、道路に「優先」といった文字が書かれていることも多いので、それらにも十分注意しつつ、進んでいくことになる。

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ロータリーの標識

ともあれ、ラウンドアバウトは、前述の通り、2014年から導入された比較的新しい交差点だ。そのため、通行方法を知らないという人も多いかもしれない。だが、これも先に述べた通り、基本的なルールはさほど複雑ではないので、もし初めて遭遇しても、周囲の歩行者などに注意しながら、ゆっくりと冷静に走れば問題ないといえるだろう。