2028年5月からEVに新税

リヤ両側スライドドアを採用するBYDラッコ
リヤ両側スライドドアを採用するBYDラッコ

2025年12月16日以降、大手新聞社やTVが一斉に報じたのは、エコカー減税の厳格化と2年延長、そしてEVへの課税強化で、2028年5月からEVに新税を設けるという内容。ただし、実際に導入するかは、2027年度の税制改正で議論を続けるという情報も出ている。

にわかに沸いて出てきたような新税だが、EVやプラグインハイブリッド(PHEV)は、駆動用バッテリーを積むため、車両重量が重くなるのは事実。道路への負担が大きいという点から、2028年5月から自動車重量税に加算する形で新税を設けるという方向で検討するという。

2025年12月現在、EVの重量税は、エコカー減税の対象。新規登録時の3年分、初回車検時(通常5年目)の2年分の自動車重量税が免税となっている。PHEVに関しては、ガソリン税を一定額納めていることからEVの税額の半分を目安にするという。

トランプ大統領が采配するアメリカだけでなく、EUも2035年以降のガソリン車禁止撤回(条件付きで容認)という流れもあり、EVへの風当たりが強まる流れになっているのは確かだろう。

EV先進国の中国でもPHEVの売れ行きが上昇しているようだが、たとえローカルでの話であってもゼロエミッションであるEV化の流れが止まることは考えにくい。

さらに、12月18日には、新聞各社はEVのCEV補助金を40万円増やすと一斉に報じた。重量税の上乗せ(新税)と同時に、CEV補助金を増額すると、ちぐはぐな政策と言わざる終えないが、2026年以降のEV関連の税金、補助金は少し混乱しそうだ。

2026年も売れ筋は非EVだろうが、注目EVも続々と登場

売れ筋の軽スーパーハイトワゴン市場に送り込まれるBYDラッコ
売れ筋の軽スーパーハイトワゴン市場に送り込まれるBYDラッコ

2026年以降も日本市場は、ガソリン車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッドあたりが中心になりそうだが、EVも投入される。中でも注目なのは、日本向けに専用開発された軽EVのBYD「ラッコ」だろう。「ジャパンモビリティショー2025(JMS2025)」にも出展され、大きな話題を集めた。

BYDラッコは、ホンダ「N-BOX」に代表される軽スーパーハイトワゴンをターゲットに、両側リヤスライドドアを備え、航続距離は日産「サクラ」、三菱「eKクロスEV」の180kmと同等レベルを目指し、価格も200万円前後になるのでは? とささやかれている。

スズキが「JMS2025」で披露した軽乗用EV「Vision e-Sky」も2026年度内の市販化を目指していて、航続距離は270km以上と、BYDラッコや日産サクラ(三菱eKクロスEV)よりも格段に長くなっている。航続距離が長くなれば、価格も重量もその分、嵩むはずだが、軽自動車のスペシャリストであるスズキがどんな市販車を送り出すのか興味深い。この航続距離で、競争力のある価格、少なくても300万円切りを実現するかが気になる。

スズキのVision e-Sky
スズキのVision e-Sky

余談だが、スズキのEV「e VITARA(eビターラ)」の駆動用バッテリーは、BYD子会社のFin Dreams Battery(FDB)製のリン酸鉄リチウムイオンバッテリー(LFP)で、BYDによるプレス向けの勉強会でも明らかにされていた。LFPは三元系よりもコストを抑えられ、過充電や過熱時などの発火リスクが少ないなどの利点を持っている。スズキは、Vision e-SkyにもLFP積むのかも注目点だ。

サクラとeKクロスEVは、エアコンのオン/オフも含めて走らせ方によるが満充電でも150〜160km程度だろう。日常の買い物や駅までの送迎程度であれば必要十分だし、毎日充電する必要もなさそう。ただし、往復150〜200km程度の日帰りドライブの場合は、最低でも1度は経路充電する必要が出てくる。

さらにヒーターを使う冬場は、100km程度というユーザーの声も多く、この航続距離だとBYDラッコも冬場の航続距離を伸ばせないと苦戦するかもしれない。

ホンダ「Super ONE」プロトタイプ
ホンダ「Super ONE」プロトタイプ

ほかにもAセグメントEVのホンダ「Super ONE」、ブランド違いの兄弟車であるトヨタの「bZ4X ツーリング」、SUBARU「トレイルシーカー」などの2026年度内の発売が予告されている。もちろん、ほかにも日本市場向けにEVが発売されるはずだ。ソニー・ホンダモビリティは、「AFEELA 1(アフィーラ1)」をアメリカ・カリフォルニアで2026年中旬の納車開始を目指している。

冒頭で紹介したEVへの重量税の新税だが、検討されている2028年5月まではまだ2年半ほどある。ただし、EVのCEV補助金が現在の上限値90万円から130万円に、PHEVは60万円から85万円に、燃料電池車のFCVは、255万円から150万円になり、軽EVは58万円に据え置かれる見込みのようだ。CEV補助金増額は、EVなどへの重量税増税を補ってあまりあると予想されるため、CEV補助金を前提にEV戦略を見直すメーカー(ブランド)も出てくるかもしれない。