連載
今日は何の日?■トヨタ最上級ハッチバックとして登場したブレイド

2006(平成18)年12月21日、トヨタは同年9月にデビューした「オーリス」をベースにした兄弟車「ブレイド」を発売した。ボディサイズはオーリスと同等だが、排気量の大きいハイパワーエンジンを搭載し、内外装を上質かつ高級に仕立てたトヨタとしては最上級のハッチバックだ。
日欧市場を意識したハッチバックのオーリス

2006年10月、「カローラ・ランクス/アレックス」の実質的な後継となる「オーリス」がデビューした。日欧市場を意識した5ドア(欧州向けには3ドアも用意)ハッチバックで、新しいプラットフォームの採用によりボディサイズがひと回り大きくなり、3ナンバーボディとなった。

スタイリングはトヨタの欧州デザイン拠点が手掛け、一体感のあるフロントマスクやワイド感あるリアビューが特徴。インテリアでは、欧州の伝統的な建築手法であるフライングバットレス(空飛ぶ梁)風デザインが注目された。
パワートレインは、カローラシリーズで搭載されている最高出力110ps/最大トルク14.3kgmを発揮する1.5L 直4 DOHC、136ps/17.8kgmの1.8L 直4 DOHCの2種エンジンとSuper CVT-iの組み合わせ。1.8L車にはマニュアル感覚で操れる7速スポーツシーケンシャルシフトマチックが用意され、駆動方式はFFと4WDが選べた。
車両価格は、標準グレード(FF)で162.225万円(1.5L車)/191.625万円(1.8L車)に設定。欧州仕込みの完成度の高いハッチバックで欧州では人気となったが、日本ではスタイルを含め地味なイメージが定着して販売も伸び悩んだ。
オーリスをベースにした上級版ブレイド

オーリス発売の2ヶ月後の同年12月のこの日、オーリスをベースにした兄弟車「ブレイド」がデビューした。ブレイドは、“洒落た大人の高級ハッチバック”をテーマに開発され、排気量の大きいハイパワーのエンジンを搭載し、内外装を上質かつ高級に仕立てられたトヨタの最上級ハッチバックである。


サイズ的にはオーリスと同等の3ナンバーボディで、フロントグリルは立体感のある三本縞、フロントランプはL字風、リアもランプ形状やハッチなどがオーリスとは異なる。インテリアは、ダッシュボード表面をスエード調表皮で覆い、上級グレードには運転席8ウェイパワーアシスト付きのアルカンターラ張りシートを採用するなど、質感と座り心地にこだわって上質感が演出された。

エンジンは、オーリスの1.5Lと1.8Lに対して、最高出力167ps/最大トルク22.8kgmを発揮する2.4L 直4 DOHCと7速マニュアルモード付CVT(Super CVT-i)の組み合わせ。駆動方式はFFと4WDが選べた。

安全性については、VSC(横滑り防止機能) & TRC(トラクションコントロール)、SRSサイド&カーテンシールドエアバッグ、SRSニーエアバッグ(運転席)を標準装備して優れた安全性能が確保された。
車両価格は、標準グレード(FF)で224.7万円(2WD)/245.7万円(4WD)に設定。オーリスの1.8L車よりも約30万円高額だった。
小さな高級車の高性能ブレイドマスター登場
ブレイドデビューの翌2007年8月には、最上級グレード「ブレイドマスター」が追加された。

扱いやすい手頃なコンパクトボディに、最高出力280ps/最大トルク35.1kgmを発揮する、クラウン「アスリート」に搭載された大排気量の3.5L V6 DOHCエンジンを搭載。トランスミッションには、パドルシフト付きのスーパーインテリジェント6速ATが組み合わされた。
1470kgの軽量ボディに高性能エンジンを搭載したブレイドマスターは、その走りだけでなく、内外装も性能に見合う上質に仕立てられ、高い走行性能と高級感を両立したハッチバックとして大きな注目を集めた。
しかし、ブレイドとブレイドマスターの販売は期待したほど伸びずに、結局2012年に1代限りで生産を終えた。

・・・・・・・・・・
2010年以降、日本ではハッチバックモデルが減っている。特にミドルサイズとなると人気があるのは、トヨタ「プリウス」と日産「ノートオーラ」くらい。しかし、これらはハッチバックだからというより、ハイブリッドだから人気があるのだ。ハッチバックモデルが減少している、売れない要因としては、SUVの増加と好調な販売がある。実用性重視の日本市場では、ファミリカーやマルチユースに使いやすいSUVが好まれているという単純な理由だ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
