空気清浄機に匹敵する車内快適の空気環境を
クルマの中であまり意識されないのが、空気の浄化だ。デンソーの自動車用エアコンフィルター開発の歴史は、1989年発表の初代トヨタ・セルシオへの標準装着化から始まる。
起源はスパイクタイヤの粉塵問題などで、車外の汚れを車内に入れないということから、徐々に快適性向上のアイテムとしても注目されてきた。採用当初はまだ、車内フィルターの存在すら知られていなかったが、単にほこりを除去するものから始まり、空気を快適にする考え方がフィルター技術に織り込まれていった。
現在の『クリーンエアフィルター』は、三層構造となっており、表面から防塵層としてウイルスやカビ菌を捉え、脱臭層は活性炭を利用してニオイを除去する。そして三層目は高集塵層として、繊維を帯電させることでPM2.5(微粒子状物質)や花粉など微細な浮遊物質をキャッチする。そしてまた、エアコン効率を下げずに空気を快適に保つバランス設計は、同社がカーエアコンも開発している点が最大の強みとなっている。
デンソーの掲げる『クラフィティング・ザ・コア』は、ものの本質を丁寧に創り上げるという意味を持つ。それを象徴する事柄は、今や世界中で使われるQRコードの創出を見ればよく理解できる。製品のトレーサビリティ(製造、流通の履歴記録性)向上を目的にデンソーで開発されたこのコードは、当初、社内生産管理のためのツールだった。
だが同社は、その特許を囲い込むことなく、誰もが使えるように無償で公開。結果としてQRコードは、物流から医療、そして私たちの日常生活にまで広がっている。「便利は独り占めせず、広げてこそ価値がある」——この考え方がデンソーの懐の深さを物語っていると言えるだろう。



