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今日は何の日?■カリーナの後継となる新型セダン、アリオン

2001(平成13)年12月25日、トヨタは「カリーナ」の後継となる5ナンバーサイズのセダン「アリオン」をリリースした。カリーナに比べてホイールベース/全高を拡大してクラストップレベルの広い室内を確保しつつ、若々しさとスポーティさを強調した。
セリカのセダン版として誕生したカリーナ

カリーナは、1970年12月に主要なシャシー部品やエンジンラインナップをスペシャリティカー「セリカ」と共用化し、絶対的な性能ではセリカに一歩譲るものの、“足のいいやつ”のキャッチコピーが表すように軽快な走りが特徴の、いわばセリカのセダン版という位置付けだった。

スタイリングは、丸型4灯式ヘッドライトの内側2個を分割したフロントグリルを装備した当時流行のロングノーズ&ショートデッキのセミファストバックを採用。まず2ドア/4ドアセダンが発売され、1972年にはハードトップが追加された。またトップレード「1600GT」には、115psの1.6L 直4 DOHCツインキャブ仕様エンジンが搭載された。
カリーナは特に派手さは好まないが、性能的にはレベル以上を求めるユーザーから人気を獲得してヒットモデルとなり、その後1977年に2代目、1981年に3代目、1984年にはFFに変更された4代目へと進化した。

そして、1985年に登場した「カリーナED」は、“4ドアでありながら、クーペのフォルム”のキャッチコピーでデビュー。最高出力105ps&115psの1.8L 直4 SOHC、160psの2.0L 直4 DOHCの2種エンジンが搭載された。
カリーナEDは、4ドアながら車高はカリーナ・セダンより55mmも低く、お洒落なスタイリッシュさが若者だけでなく広い層から支持され、約4年間で26万台を超える大ヒットモデルとなった。
原点回帰で走りにこだわった最後のカリーナ7代目
カリーナEDがラインナップに加わると、スポーティなカリーナのイメージはカリーナEDに集約され、カリーナ・セダンは大人しめのセダンのイメージに変わり、1992年登場の6代目では象徴的な存在の1600GTが消えてしまった。

7代目が登場した1998年にはセダン人気が低迷し、ミニバンやRVが人気を獲得していた。7代目が目指したのは原点回帰し“足のいいやつ”、すなわちスポーティな走りだった。エンジンは、燃費に優れたリーンバーンを採用した115psの1.8L 直4 DOHC、100psの1.5L 直4 DOHCの2種エンジンが搭載された。
さらに走りのカリーナをアピールするため、7代目はファン熱望の声に応えて1600GTを復活。1600GTのエンジンは、1気筒あたり吸気3/排気2の5バルブの最高出力165ps/最大トルク16.5kgmを発揮する1.5L 直4 DOHCと、5速MTおよび電子制御4速ATの組み合わせ。駆動方式はFFだがその走りは秀逸だった。
車両価格は、167.2万円(1.8Lリーンバーン)/179.4万円(1600GT)。1600GTだけでなく、標準的なグレードでも軽快で気持ちの良い走りを実現した7代目カリーナだったが、市場のセダン低迷には逆らえず、販売での復活は果たせず、カリーナは2001年11月に生産を終え31年の歴史に幕を下ろしたのだ。
カリーナの役目を引き継いだアリオン



2001年12月のこの日、カリーナの後継として5ナンバーサイズのセダン「アリオン」がデビューした。またカリーナと同時に11代目をもって生産を終えた「コロナ」の後継として、アリオンの兄弟車「プレミオ」も同時に発売された。もともとは、カリーナとコロナも兄弟車であり、トヨタを長く支えた小型セダンだった。

アリオンは、7代目カリーナに対してホイールベース/全高をそれぞれ120/60mm拡大することでクラスを超えた居住空間を確保。また、セダンでありながらリアシートにリクライニングやダブルフォールディングといった機構を備えたのも特徴的だった。
スタイリングは、落ち着いたイメージのプレミオに対して、アリオンは若々しいアクティブ感を強調したデザインを採用。インパネはセンター部分を手前にせり出させ、パネル類は漆黒調の装飾を施すことでスポーティさを強調した。

パワートレインは、最高出力152ps/最大トルク20.4kgmを発揮する2.0L 直4 DOHC直噴(D4)をトップに、そのほか132psの1.8L 直4 DOHC、109psの1.5L 直4 DOHCの3種エンジンと、スーパーCVTおよび6速AT(スーパーECT)の組み合わせ。駆動方式はFFがベースで4WDが選べた。
車両価格は、FF仕様で162万~212万円に設定。2007年にモデルチェンジし2代目に移行したが、2021年に生産を終了した。
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かつての人気セダンの後継として登場したアリオンとプレミオだったが、残念ながらセダン冬の市場では存在感を示すことはできなかった。それでも、新興国ではクラウンのような高級車的な扱いで人気があり、また国内でも少ないながらプリウスのようなハイブリッドを敬遠するユーザー、法人で購入されることが多かったことから20年も販売され続けたのだ。
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