シビックらしさではなく、FL5らしさを活かす!

コーナリング性能も確実に進化!

「FRのようなグランドツーリングカーを目指す」。それがフェニックスパワーによるFL5シビックタイプRの開発コンセプトだ。

サーキットではなくストリートを主眼に置き、FL5が本来持つポテンシャルを最大限に引き出しながら、パフォーマンスの底上げを図る。シビックタイプRといえば“サーキット至上主義”というイメージが強いが、あえてそこに囚われないアプローチを採った。その理由を代表の横山さんはこう語る。

「これはもうシビックじゃない、というのが初めて乗ったときの率直な印象でした。FK8までにあった“シビックらしさ”とは良い意味で別物で、堂々とした走りと高い直進安定性を備えている。だからこそ、そのキャラクターを活かす方向性にしたんです」。

開発初期のファーストステップでは、主に足回りとブレーキの強化を実施。車高調はアラゴスタをベースとしたオリジナル仕様で、スプリングレートは従来のフロント14kg/mm、リヤ10kg/mmから、リヤのみ16kg/mmへと変更。旋回時に前荷重を作りやすくし、コーナリング性能の向上を狙った。

テスト時のタイヤはポテンザRE-12D(265/35R18)を装着。フロントブレーキはエンドレス製MONO6 SPOTS TAキャリパーに370mmローターを組み合わせて強化し、リヤはパッド交換のみとしている。

エンジンはブーストアップ仕様からタービン交換仕様へと進化したK20C。最高出力は450psオーバーを発揮しつつ、ECUの緻密なセッティングにより中速域のトルクも十分に確保。アクセル操作に対してリニアに反応する、扱いやすい特性に仕上げられている。

タービンはHKS製GT4845スポーツタービンを選択。ブーストアップでは得られない高回転域での伸びを実現しつつ、燃料系の強化を必要としない点も、このタービンを選んだ理由のひとつだ。

冷却系は、先代FK8から大きく進化したポイント。タービン交換後もラジエターは純正のままだが、インタークーラーはオリジナルの大容量タイプへと変更されている。

排気系は、アペックス製フロントパイプ、トラスト製キャタライザー、アペックス製N1エボリューションマフラーを組み合わせた構成。いずれも車検対応品となる。

エアロはマックストーン製で、フロントリップ、サイドスカートカバー、リヤディフューザーの3点を装着。純正GTウイングとの一体感を重視した、シンプルかつ機能的なフォルムが特徴だ。

取材当日は、GT4845タービンの装着と、それに合わせた足回りセッティングを施した直後という状態で、「エンジンは下のトルクの出方を重点的に確認します。あとは足回り、とくにリヤの挙動ですね。トラクションと旋回性をどうバランスさせるか。それがサーキット対応化のカギになります」とは横山さん。

その言葉通り、走行1本目からイニシャルセットのままで1分25秒台をマーク。続く2本目ではフロント車高をわずかに上げたことで、コーナリング性能がさらに向上し、早くもセットアップは上昇軌道に乗った印象だ。

セカンドステップに入っても、コンセプトはあくまで「グランドツーリングカー」。ただし、パワーにはさらなる余裕が生まれ、コーナリング性能も一段と高まった。フェニックスパワーのFL5は、その高い総合性能によって、サーキットにおいても他を圧倒する走りを見せている。

●取材協力:フェニックスパワー 福井店:福井県坂井市丸岡町朝陽2-317 TEL:0776-67-2980/京都店:京都府久世郡久御山町佐古外屋敷37-2 TEL:0774-48-1157

「これが“大人のシビックタイプR”だ」速さも美学も捨てない、引き算チューンの極み

SEMAショーで培った審美眼と技術力を注ぎ込み、ムーンテックが仕上げたFL5型シビックタイプR。狙いはただひとつ、“速くて美しいタイプR”。過剰を削ぎ落としたその佇まいは、見る者に大人の余裕と本物の価値を感じさせる。

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フェニックスパワー
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