開発担当者が語るBYDの最新技術の数々

中国で急速に普及しているNEV(新エネルギー車)の中でも2021年以降、PHEVの存在感が高まっているという。中国でのNEVの普及率の目標は、2025年では50%、2030年には65%だそうだが、航続距離への不安がないPHEVは、同国のユーザーからも支持を集めている。

EVの普及とともに急速に増えたという急速充電スポットは、PHEVユーザーもその恩恵を受けることができるため、EVとPHEVの普及は、やはりある程度セットで進むのが理想的といえるのかもしれない。

プラグインハイブリッドのBYDシーライオン6

BYDには約17年のプラグインハイブリッドの進化がある

BYDのPHEVの歴史は古く、2008年に世界初の量産車をリリースした。2008年には2モーターシリーズシステムを搭載し、0-100km/h加速は10.5秒、2.7L/100kmを達成。2013年に多段DCT(デュアルクラッチトランスミッション)を積むパラレル構造を採用し、0-100km/h加速は5.9秒、1.4L/100kmと長足の進化を遂げている。

ハイブリッド、プラグインハイブリッドのエキスパートであるLu Chao(ルー チャオ)氏(左)とBYD Auto Japanの東福寺 厚樹社長(右)

2018年の多段DCT+パラレル構造搭載車は、0-100km/h加速は4.3秒、1.6L/100kmに進化。2021年の第4世代DM(デュアル・モード)技術搭載車では、0-100km/h加速は3.7秒、1.29L/100kmまで進化している。

2024年の「易四方」と呼ぶ技術プラットフォームでは、0-100km/h加速は3.9秒、0.71L/100kmと加速は若干低くなっているものの、大幅な燃費改善を果たしている。

BYDのプラグインハイブリッドの進化

BYDでは、スーパーハイブリッドと呼ぶプラグインハイブリッド技術の「DM-i(デュアル・モード・インテリジェンス)」は、電動をメインとしたパワートレーン構成であり、1.5LのPHEV専用高効率ガソリンエンジン(72kW/122Nm)、12Vの補機バッテリーにもリン酸鉄始動バッテリーを採用している。低コストで発火するリスクも低いリン酸鉄バッテリーは、高い耐久性も備えていて、長寿命という利点も併せ持っている。

そして床下には、18.3kWhのPHEV専用「ブレードバッテリー」を搭載。駆動モーターである「Electric Hybrid System (EHS)」は、132kW/300Nm、145kW/300Nm。なお、日本仕様のFWDは、モーター最高出力が145kW、モーター最大トルクは300Nmとアナウンスされている。

最新の「DM-i高効率プラグインハイブリッド」プラットフォームの見どころは多いが、トピックスは、PHEV専用高効率ガソリンエンジンの熱効率43.04%だ。

EVメインのプラグインハイブリッドであることが最大の特徴

日産は、第3世代e-POWERの発電特化型エンジン「ZR15DDTe」で42%を実現し、トヨタは「ダイナミックフォースエンジン」で41%を達成している。日産なども熱効率50%の研究開発を進め、市販化のめどを付けようとしている段階といえるだろう。東風汽車は48.09%、奇瑞汽車は48.0%の認証を受けたという情報もあり、エンジンの熱効率でも中国勢の躍進はめざましい。

ただしBYDは、2024年5月に「DM」テクノロジーで熱効率46.06%を発表していて、現在は45%超あたりが市販化可能な世界最高の熱効率になりつつありそうだ。

PHEV向け1.5L専用エンジンを搭載

また、BYDはシーライオン6で15.5%という圧縮比を実現しているのも見逃せない。BYDのルー チャオ氏も高圧縮比の課題は、ノッキングであることを隠していない。アトキンソンサイクルと徹底した冷却管理技術でクリアしているという。

また、高効率パワートレーン(モーター)もポイントで、15000回転、定格出力領域の拡大、高回転域でのトルク確保という超高回転を実現。EVのヘアピンモーター(フラットワイヤモーター)は、放熱性能の大幅向上、最高効率97.5%、90.3%の高効率を達成している。さらに、油冷技術として放熱効率の向上、モーター出力密度44.3kW/Lを実現した。

高効率パワートレーンを搭載

そして、駆動用バッテリーである「DM-i」専用高出力ブレードバッテリーは、50kmから最長252kmのEV(モーター)航続距離を達成。パッケージングに利く薄型設計による高い空間効率、高剛性、リン酸鉄バッテリーによる高い安全性や長寿命を達成している。EV用バッテリーよりも放電能力が2〜3倍高く、1枚のバッテリーの中に複数のセルを内蔵する構造を採用している。

また、EV、PHEVともに夏場や冬場のバッテリー温度の管理がキモとなっているが、新世代パルス自己加熱バッテリーを採用している。パルス式加熱により昇温速度は60%向上。

直冷方式を採用した

また、中国初の直冷方式により電池セルを直接冷却し、熱伝達率を向上、消費電力の低減に寄与している。従来と比べて熱交換効率は、約20%改善したという。さらに、知能協調制御により、領域、温域、走行状態などのシーンを問わず、動力性能やスムーズな走行、静粛性、航続距離、効率という項目において安定した性能を発揮するという。

充電は普通充電(3.0kW、6.0kW)、CHAdeMO規格の急速充電(最大18kW対応)に対応し、急速充電を使えば約30分で80%まで充電が可能だという。FWD(2WD)の場合、満充電で100kmのEV走行が可能。メルセデス・ベンツなども100kmのEV走行が可能なPHEVを送り出していて、現在のPHEVではひとつの目安になっている。シーライオン6も日常使いの大半をEVとしてまかなうことが可能となる。