テクノロジー 超電導モーター搭載で見えた可能性と課題 水素GRカローラの挑戦【写真・6枚目】 水素エンジンカローラは、2021年に70MPaの気体水素を燃料にした水素エンジンでS耐参戦をスタート。23年には液体水素へスイッチ。25年シーズンも液体水素燃料を1.6L直3直噴ターボで使っている。写真は超電導モーターを載せた水素GRカローラ。 リヤハッチ上部を開けると右に液体水素充填ポート、左にそのリターン、そしてその下にボイルオフの換気ダクトがある。超電導モーターでポンプをインタンク化すると入熱源であるフランジがなくなりボイルオフ量が低減できるメリットもある。 液体水素の温度はマイナス253℃(約20K)。凍っているのは大気開放ライン。通常はオイルオフの換気ダクトから放出するボイルオフ水素だが、安全を考えて展示中はここから引っ張ってピット裏のの煙突から出していた。 超電導モーターを研究開発する京都大学大学院工学研究科の中村武恒教授。「臨界温度と臨界電流ともに今回のマイナス253℃というのは、ちょうどいい」と語った。 中村教授の籠型超電導誘導モーターの概念的構造。これまで高温超電導モーターとしては、主流は同期モーターで、籠型誘導モーターに高温超電導材料を適用する例はほとんどなかったという。 超電導モーターによってポンプをインタンク化するとパッケージ効率も大きく向上し、水素タンク容量も1.3倍以上にできる。現状の220Lから300Lにできる。課題は無潤滑・極低温の環境下で信頼性高く使えるギヤやベアリングだ。この分野の研究油開発の進化は、おそらく別の副産物を生んでくれるのではないだろうか。 左が水素エンジン搭載カローラクロス。80MPaの気体水素を燃料にするG16水素エンジンを積む。トランスミッションは8AT(GR-DAT)今回、報道陣による試乗もできた。右が水素エンジンハイエース。気体水素V6ターボ+ハイブリッドを搭載している。 メリットは①タンク上に補機がなくなる。②モーターとポンプユニットをインタンク化できる(小型・軽量・低重心化)③入熱源であるフランジがなくなりボイルオフ量が低減、の3つ。ドライバーの佐々木雅弘選手によると「超電導ポンプを採用したことで、重心が下がっている。ロールが少なくなり、走りが良くなった」とのこと。 この画像の記事を読む