別格ホットハッチ

フォルクスワーゲン ゴルフR

2025年もまもなく終わりを告げようとしている。不当なトランプ関税、ウクライナ戦争、中国の横暴、一人負けの日本円などなど、よくも悪くも世界が小さくなったことを感じた1年だったが、われわれのようなクルマ好きにとっては、例年以上に豊作とも言える名車が多く誕生した。そんな2025年に乗った多くのクルマから、スポーツできるクルマを中心に3台選んでみた。

まず1台目は新型「フォルクスワーゲン ゴルフR」。その最大の魅力は「実用車の顔をした本格スポーツカー」である点に尽きる。333PSを発揮する2.0リッターターボとAWDの組み合わせは、単なる速さだけでなく、後輪左右を個別制御するトルクベクタリングによって、FFベースとは思えないFRライクな走りを生み出す。アクセル操作に対する後輪の反応は極めてリニアで、クルマを操っている達成感が濃い。

定常円旋回では、ドライバーの意思を先読みするかのように姿勢を整え、AWDならではのトラクションで安心感を与えつつ、スポーツドライビングの愉悦を存分に引き出してくれた。一方で、コンフォートモードに切り替えれば、日常使いに不足はない。ゴルフGTIが“伝統的ホットハッチ”だとすれば、ゴルフRはまさに“別格ホットハッチ”。実用性と究極性能を本気で両立させた、現代ホットハッチの完成形と太鼓判を押したい。

「まるでFR?」フォルクスワーゲン ゴルフRの簡単ドリフトモードを試す【動画】 | Motor-Fan[モーターファン] 自動車関連記事を中心に配信するメディアプラットフォーム

Volkswagen Golf R FFベースとは思えないほどにFRライク 新型「フォルクスワーゲン ゴルフR」に搭載される4MOTION(AWD)には、後輪左右のトルク配分を個別に制御できるトルクベクタリング機構が組み […]

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希少種となったV12をここまで洗練させた

アストンマーティン ヴァンキッシュ
アストンマーティン ヴァンキッシュ

新型「アストンマーティン ヴァンキッシュ」の本質的な魅力は、官能性と完成度を奇跡的なバランスで両立している点だ。835PS、1000Nmという圧倒的スペックを誇る5.2リッターV12ツインターボは、その始動の瞬間からマルチシリンダーならではの密度の高いサウンドと振動でドライバーの心を直接揺さぶる。もはや希少種となったV12をここまで洗練された形で味わえることが、ヴァンキッシュ最大の価値だ。

だが単なる“音と力”の象徴ではないところもいい。全幅2mを超える堂々たるボディながら、ステアリングを切った瞬間に正確性と一体感が感じられる。巨大GTであることを忘れさせるノーズの入りと、落ち着いた挙動が市街地走行ですら強い信頼感を生む。加速フィールもツインターボとは思えぬリニアなレスポンスで、ペダル操作がそのままクルマの意思決定になる感覚がある。1950kgという重量級だが、大径タイヤとカーボンセラミックブレーキによる安心感も高い。

アストンマーティンが目指す“絶対的上質”があるインテリアは、レザー、金属、ガラスを巧みに使い分けた空間で、クラフトマンシップとデジタル技術が高次元で融合している。アストンマーティンの頂点に相応しい説得力と完成度を備えた美しいスーパーGTは、5290万円という価格も含めて、まさにフラッグシップだった。

835馬力のV12ツインターボが吼える美しいGT「アストンマーティン ヴァンキッシュ」に試乗 | Motor-Fan[モーターファン] 自動車関連記事を中心に配信するメディアプラットフォーム

Aston Martin Vanquish マルチシリンダーらしいサウンドと振動 すっかり秋めいて冷え込んだ空気のなかスタートボタンを押すと、「ヴァンキッシュ」は深く吸った息を一気に吐き出すような重厚な咆哮とともに目を覚 […]

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見えない安全帯のついた空中ブランコ

フェラーリ296 スペチアーレ
フェラーリ296 スペチアーレ

年末に乗った「フェラーリ296 スペチアーレ」は、極めて純度の高いドライバーズカーであった。V8ミッドシップ(296 GTBはV6だけど)のスペチアーレフェラーリに初めて乗ったが、296 GTBの完成度を前提に、走りの本質だけを徹底的に研ぎ澄ませた存在だ。

最大の魅力はその速さの“質”にある。V6ツインターボ+モーターによるシステム出力880PS、軽量化と20%増しのダウンフォースによるレーシングカー級の速さ。だが暴力的性能でありながら制御不能に陥らない、見えない安全帯のついた空中ブランコのような。冷静に見るとその安全帯は非常に細くもあるのだが。

シャシーとブレーキの進化も別次元。新世代ABS EVOは、280km/h超から操舵を交えたブレーキングでも姿勢を乱さず、ステアリング操作と制動が完全に同期。レーシングドライバーがだけが持つ超高度なテクニックを機械が助けてやってくれる。アシストしすぎは困るが、いざという時の助けは本当にありがたい。

296 GTBは完成度の高いオールラウンダーだが、296 スペチアーレは一点突破のピュアスポーツ。ドライバーを選ぶが、選ばれし者には抗いがたい魅力を放つ。フェラーリが“スペチアーレ”の名を軽々しく使わない理由を、全身で理解させてくれた1台であった。

まるでレーシングカー!フェラーリ296スペチアーレの走りをサーキット試乗で検証【動画】 | Motor-Fan[モーターファン] 自動車関連記事を中心に配信するメディアプラットフォーム

FERRARI 296 SPECIALE フェラーリとモータースポーツは不可分 「フェラーリ 296 GTB」は、コンパクトなボディ、パワフルで軽快な走り、それでいて快適な乗り心地、そしてEV走行による市街地での高い洗練 […]

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今年ももう数時間で終わりを告げるが、来年もすでにいくつかの新型車登場の噂を聞いている。海外での取材を円滑に進めるためにも、本当に円安をもう少しだけなんとかしてくれたら、色々希望も出てくるのだが……。皆様良いお年をお迎えください。

ドライバーとの一体感がヤバい!ホンダ プレリュードとアウディQ6 e-tron【GENROQ副編が選ぶ2025年の隠れ名車】

2025年は、スーパースポーツやプレミアムSUVの当たり年だった。華やかな最新モデルが次々と登場し、GENROQ誌も例年以上にド派手なクルマたちを追いかけてきた。だが、その陰で「派手さ」では語りきれない、本当に心に残る一台があったのも事実だ。多くの最新モデルを取材してきたGENROQ編集部員・石川が、2025年に出会った“個人的隠れ名車”を、スポーツカーとSUVの2カテゴリーから振り返る。