新型ルークスは40歳代の女性ドライバーをターゲットに使いやすさを徹底追求

日産自動車の調べによると、軽自動車の主流になって久しいスーパーハイトワゴン購入者の半数以上が、夫婦+中学生以上の子供がいるポストファミリーだという。2024年のデータでは54%に達する。夫婦+末子が小学生以下の子供の場合は「ファミリー」で、17%、独身または子供のいない既婚者の「シングル・カップル」は16%だ。調査してみると、ポストファミリーは子供だけでなく、おじいちゃん、おばあちゃんを乗せる使い方も多いことがわかった。

日産ルークス ハイウエイスターGターボ プロパイロットエディション

こうしたデータも参考に、日産は新型ルークスのターゲットカスタマーを40歳代の女性に据えた。前型ルークスが宣伝に用いたキャッチコピーは「家族が、ぐっと近づく軽」だったが、新型は「見えルークス! 新ルークス!」とした。家族みんなのクルマとして訴求した前型に対し、新型はドライバーに焦点を当て、そのドライバーにメリットを感じさせるようなメッセージにした。

その象徴が、日産軽初搭載のインテリジェント アラウンドビューモニターである。フロント/リヤワイドビュー、3Dビュー、インビジブルフードビュー、フロントサイドビューの各画面を選択することができるが、イチ押しはフロントワイドビューである。15秒のテレビCMのなかでもこの機能を訴求している。路地から広い通りに出るときなど、見通しの悪い交差点で左右の様子を確認するのに役立つ機能だ。

インテリジェント アラウンドビューモニター

フロントワイドビューが便利なのは、40地点まで登録が可能なこと。自宅の周辺やよく訪れる場所(例えばスーパーマーケットの駐車場)を登録しておくと、登録地点の15m手前で自動的に画面がフロントワイドビューに切り替わる。いちいち、ディスプレイ(12.3インチ液晶)の下にある「CAMERA」のボタンを押す必要はない。

フロントワイドビュー

ごくわずかな時間ではあったが試乗した際に試してみたところ、CAMERAのボタン、シフトレバーと干渉して押しづらい。もともとはセレナで採用しているようなボタンスイッチが検討されていたとも聞くが、レバーではなくボタンだったら干渉は避けられ、現状より操作性に優れていたはずだ。

ルークス(ハイウエイスターGターボ プロパイロットエディション)のインパネ。
CAMERAのボタンがドライバー視点からはシフトレバーに隠れてしまう。

いずれにしても、フロントワイドビューに限らず、インテリジェントアラウンドビューモニター、便利な機能である。この装備はメーカーオプション(NissanConnectインフォテインメントシステムなど他の装備とセット。例えばハイウェイスターGターボでは32万8900円)なのだが、ハイウェイスター系を選択した購入者の7割以上が選択しているという。多くの人に「欲しい機能」として認知されているということだ。

「見える」のはディスプレイを通じてだけではない。直接視界の良さも新型ルークスのウリだ。実は前型とは変わっていないのだが、競合車よりもアイポイントは高く(つまり着座位置が高め)、高い視点から広く見渡せるパッケージングとなっている。

こちらはハイウェイスターではない標準モデル(X)のインパネ。

着座位置は前型と変わらないが、新型はルーフを100mm前方に延長しているので視界は異なる。ベースボールキャップのつばを長くしたようなもので、日差しを遮るにはいいが、上方視界が邪魔されてしまう。信号交差点で停止線の位置に止まったとき、長いルーフに邪魔されて信号が見えなくなる恐れがある。新型ルークスはそうならないよう、フロントガラスの上側を目一杯高い位置に設定した。

サイドビューで見ると、フロントドアの前端を起点に、Aピラー部のウインドウ上辺が前方に向かって跳ね上がっているのが確認できる。このあたり、デザイナー側と擦り合わせながら安全サイドの要望を実現したという。

新型ルークスはルーフを延長するのと同時にAピラーを立てて細くした。おかげでAピラー部のウインドウ面積が大きくなって左右の視界が拡大しているが、ピラーが遠くなったことも妨害角(ピラーなどが作る死角の角度)が小さくなり、直接視界の改善につながっている。また、リヤクオーターウインドウは前型よりも下側を拡げ、斜め後方の視界を向上させた。

新型ルークスの室内長は先代よりも115mm拡大した2315mmで、クラストップを実現している。

北米向け、欧州向けのクルマと異なり、日本専用の軽自動車が特殊なのは、小物収納への感度が非常に高い点だという。新型ルークスは「軽ナンバーワンの収納力」を自認する。数の多さや容積の大きさを誇っているわけではなく、使い勝手を含めて自慢ポイントに挙げている。

エアコン操作パネルの手前にある引き出し式のインストセンタースライドボックスは、スマホホルダーとしても使える。充電ケーブルを差した状態で置くこともできるし、充電ケーブルをスライドボックスに残したまま収納することもできる。画面が手前に向いているので、スマホに通知が届いた際などにパッと認識できるのがありがたい。

インストセンタースライドボックスは、スマホを立てかけられる。
ボックスにはケーブルを通す穴が開いているので…
このように、ケーブルを残したままボックスを閉じられる。

メーターパネルの前にはインスト運転席アッパーボックスがある。運転席から簡単に手が届く位置にあり、サングラスなどを収納しておくのに便利。女性ユーザー目線では、夏に紫外線対策で用いるアームカバーの収納に役立ちそう。実際、開発中に女性従業員から「アームカバーを収納できるフタ付きのボックスがほしい」との要望があったという。アームカバーは外した際にくつ下のように見えてしまうため、ドアポケットなど見えるところではなく、見えないところにしまいたいという心理が働くとのこと。その点、インスト運転席アッパーボックスはおあつらえ向きの収納だ。

インスト運転席アッパーボックス。「アームカバーが収納できるフタ付きのボックスがほしい」という女性ユーザーの声にも応える。

今回は撮影も込みで自然吸気(NA)エンジン搭載車とターボエンジン搭載車、それぞれ約40分の試乗時間だったので、確かめたいと思っていたことがすべて確かめられたわけではなく、味見をした程度にすぎない。ルークスに限らず、近年の軽自動車全般に言えることだが、高速道路はほとんど使わず、一般道で近距離を移動する使い方がほとんどなら、動力性能面ではNAエンジンで充分である。

BR06型ターボエンジン。最高出力64PS/5600rpm、最大トルク100Nm/2400〜4000rpm。
BR06型自然吸気エンジン。最高出力52PS/6400rpm、最大トルク60Nm/3200rpm。

発進から巡航スピードに達するまでの力強さはターボエンジン車のほうが明らかに上で、2WDでNAのハイウェイスターX(191万9500円)とハイウェイスターGターボ(215万9300円)を比べると、価格差は23万9800円。5年乗るとすればターボはNAに対し1年で約4万8000円、1ヵ月で約4000円分の付加価値ということになる。さて、この金額をどう捉えるか…。

インテリアがモダンで清潔感にあふれ、かつ先進的なのも好印象だが、乗り心地の良さと、走らせた際に感じるしっかり感も印象的だった。しっかりしているのに乗り心地は悪くない。軽自動車ではあるけれど、軽自動車らしいのはサイズだけで、装備も機能も質感も、まったくもって軽自動車ばなれしている。新型日産ルークスは、生活が楽しくなりそうなニューモデルだ。

フロントサスペンション:マクファーソン式
リヤサスペンション:トーションビーム式
グレード日産ルークス ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション
全長3395mm
全幅1475mm
全高1785mm
室内長2315mm
室内幅1335mm
室内高1400mm
乗員人数(名)4
ホイールベース2495mm
最小回転半径4.8m
最低地上高150mm
車両重量990kg
パワーユニット659cc直列3気筒DOHCターボ
エンジン最高出力47kW(64PS)/6400rpm
エンジン最大トルク100Nm(10.2kgm)/2400-4000rpm
燃料(タンク容量)レギュラー(27L)
トランスミッションCVT
燃費(WLTCモード)19.3km/L
サスペンション前:マクファーソン式 後:トーションビーム式
ブレーキ前:ベンチレーテッドディスク 後:ドラム
タイヤサイズ165/55R15
価格224万9500円