乗用車にはないぶっきらぼうさが漢(おとこ)を魅了
2代目ハイエース解説第2章は外装編だ。
タイトルには「仕事グルマとしての・・・」なんて書いたが、ここに掲げる2代目ハイエース写真は「ハイエースワゴンカスタム」。
つまり乗用車であってバンではない。
いろいろと都合があるので深く追求しないように。
もうひとつ、この車両はレストア車であるため、当時の販売車両と細かい点で仕様が異なる点があることもお断りしておく。
※★マークは、当時の資料などでの呼称です。
外観
・正面
初代にあった3代目コロナ的なグリルを廃止。
どのみち前面パネル向こうはキャビンで、エンジンは前席下にあるからいいのだ。
ただのパネルになったフロントにはトヨタマークのTとTOYOTAのバッジがあるのみ。

・斜め前
初代の後席ドアは通常のヒンジで、途中スライドドア車が追加されたが、2代目からはスライドドアオンリーに。
そういえば三角窓も廃止されている。

・真横
全体的に丸みを帯び、フロントガラスをわずかに立て、リヤガラス(=バックドア)ははっきり起こしている。そのせいか見た目にはボディ全体が大きくなったように見えるのだが、実寸は全長が35mm延びた程度で、車幅は1690mmのまま変わっていない。
それにしても、この頃のクルマはモデルチェンジをすればそれなりの変化や新しさの進歩は著しい。
いまから10年前(=2015~2016)年のクルマを見たって、そんなに古くは感じないのとは逆だ。

・真後ろ
バックドアは初代の上下開きからまるまる1枚上ヒンジで開く一般的方式に変更。
バックドアの見切り線がサイドでなく、後ろにあること、丸い4つ角リヤガラスがNゴム固定なのが時代を感じる。
いまのクルマのバックドアがサイド見切りで開き、リヤガラスが接着式であることがいかに後ろ姿をすっきりさせているかがわかるというものだ。

灯火
・フロントランプ
フロントランプは、初代の4灯式から2灯式なり、ランプを受け止めるベゼルには上部に車幅灯、下にターンシグナルを置いたコンビランプを設置。
フロントパネル両脇にちょこんと置いたランプ構成は、2代目以降、現在の5代めに至るまで、連なりがあるように思えてならない。
つまりいまのハイエースの顔はこの2代目から始まっていると思うのだ。


・リヤランプ
それはリヤランプも同じ。
いまの5代めは多少異なるが、この2代目の上からターンシグナル、リバース、テールストップの並びは4代目まで続くレイアウト。
ランプはそのクルマの表情を作るが、いまに至るハイエースのデザインアイデンティティの出発点は、2代目ハイエースだと思う。
2~4代目まで共通の表情をしていて、どれもが「ハイエース!」になっている。


外観装備
・ワイパー
ワイパーはスタンダード以外は間欠付き。
この頃は通常のクルマでもコンシールド(隠す)タイプは少なく、ましてやハイエースはフルキャブ1BOXでフードがないから、ワイパーを隠しようがなく、ごらんのとおり、思いっきりまる出しになっている。
なお、フロントガラスの縦縞模様は拭き跡じゃなく、当時一般的だった部分強化ガラスの熱処理の跡。
いまのクルマは合わせガラスが義務付けられているので、この縞模様は昔のクルマでしか見ることができない。
ガラスもリヤ同様にNゴム固定で、こちらも見た目のすっきり感に乏しい。

・アウターミラー
運転席側はドア直付けのドアミラー、助手席側は・・・何というのか、フロントピラー根元からステーを生やしたミラー。
いまのハイエースはどの機種も左右ドアミラーだが、実は左側はこのステー式のほうがありがたい。
乗用車のフェンダーミラーと同じで、鏡を介しての左後方の視野把握はフロントガラスから得られるからだ。
ステータイプがあった頃のハイエースに乗って確認したことがあるが、首を振らなくても左後方が見えることのありがたみは想像以上に大きかった。




・ドアハンドル
初代のグリップ&ボタン式から、一般的なフラップタイプに変更。
ドア埋め込みになって身体に当たっても痛々しい思いをすることのない形になった。
いまのクルマは全体を引くグリップタイプだが、なめらかにデザインされている。
グリップ式はヨーロッパ車では昔から用いられていたが、これはクルマが横転して上向きにドアを開けて救出するとき、グリップ式の方が重いドアを開けるのに耐える設計ができるという理由があってのことだった。

・ステップを使ったフルキャブ1BOXのスムースな乗り方
初代同様、2代目も前席乗り込み用のステップがある。
通常のクルマと異なり、タイヤの上によじ登る格好だから必須だろう。
運転席(=車両右側)に乗り込む場合、何となく心情的に右足をここに載せたくなるが、そうすると右足とタイヤハウスの間にスペースがないから左足を室内に入れる道すじがなくなる。
このステップにはまず左足を載せるのが正しい。
左足を軸に身体全体を外側に向け、左手でフロントピラーorピラー上のグリップをつかみながらそのままシートにお尻を載せるのがスムース・・・助手席に乗るならその逆だ。
まあ、右足スタート、左足スタート、どちらもやりやすいほうで。
ご参考までに。


・ホイールカバー
ホイールキャップともいう。
いまは樹脂製が多いが、むかしはカメラマンが撮影に困るほどギンギラなめっきものが主だった。

・スライドドアハンドル
いまのクルマはデザイン上の理由からか、フロントドアのハンドルと揃えてスライドドアのハンドルも水平になっているが、筆者は、スライドドアのハンドルは、このように縦配置の方がいいのではと思っている。
開けるときはボタンを車両後方側に押し込み、閉めるときはハンドルを前方に押しやる・・・スライドドアの動きと力の入れる方向が一致するからだ。
ただ、いまのスライドドアは軽自動車ですら電動式になっており、事実上ハンドルはただのスイッチと化しているから、タテでもヨコでもナナメでもいいのかも知れぬ。

・エアアウトレット
前後にふたつある。
ひとつはフロントドアの下、ひとつはスライドドアレール後端だ。
昔は室内気の排気口はピラー根元などわかりやすい位置に設けられていたが、外の音が入ってくる悩みもあり、バンパー裏から負圧のフラップで追い出すようになっている。
正確にいうと、本当はもっと別の方法も併せて排気しているのだが、それはいずれ別の機会に解説しよう。


・給油口
キー付きのふたがボディ右サイドにある。
いまは車内のレバーorスイッチで開くワイヤー式or電磁式が主なので、鍵付きは見かけない。
ドアロック連動でアンロック時、ふたを押して開くものも多くなってきた。
この頃はキー付きだから、ふたを開けるにはどうしたってキーをスタンド従業員に渡すのにエンジンを止めねばならず、したがってエンジン回転中に給油なんてことはなかった。

★バックドアウィンドゥワイパー
初期型でいうと、カスタムに標準装備。コミューターとワゴンにオプション。
限定的とはいえ、この時代のバンにリヤワイパーとは良心的だ。
なお、後ろのガラスにワイパーをつけた最初のクルマは初代シビックだ。

・バックドアヒンジ
2代目ハイエースのバックドアヒンジにはひと工夫ある。
初代の上下開きに対し、2代目は1枚まるごとの跳ね上げ式。
ヒンジを軸にただ開くだけではない。
平行4リンクにより、開くにしたがってバックドア上部がルーフ側にラップするように移動していく。
つまり開けるときの「ひとが後ろに下がる量は半歩ですむ(カタログより)」し、車両後ろにはドアの上下寸分ほどのスペースは要らなくなる。
もっともドアがルーフにラップするなら、屋根に荷を載せるルーフラックなどはあらかじめ前寄りに設置しなければなるまい。
いまはSUV、ミニバンが主流なのだから、これくらいの配慮はあってしかるべきだ。

・ボディの表と裏
ワゴンはフロント左右+左スライド+バックドアの4ドアゆえ、右にスライドドアはなし。
右にスライドドアがあれば運転席から降りたその足で後ろの荷を取り出しやすいなど、メリットがあるいっぽう、空調などの配管やリヤキャビン右内壁にもの入れを設置しやすいのはスライドドアなしのほうだ。
利害得失それぞれあるが、このクルマの左サイドが建物の表側だとすれば、スライドドアのない右サイドは人目につかない裏側で、運転席ドアは勝手口という感じがする。


車外を彩るエンブレム
昔のクルマはエクステリアにバッジが多い。
メーカー名や車名をやたら誇示したがるのだ。
ハイエースもその例に漏れない。
片っ端からお見せしよう。
・フロントの「T」マーク
TOYOTAの「T」をシンボル化。
ただ「T」で掲げるのではなく、マーク周囲を凝った造形で包んでいる。

・フロントの「TOYOTA」
フロントガラス左下で「このクルマはTOYOTA製!」をアピール。
「TOYOTA」は反転しても文字そのものは読めるが、前の車のルームミラーには「ATOYOT」と映ってしまうのが難点。
なお、R30スカイラインのターボ車のフロントバンパーの「TURBO」文字が反転していたのは、前車のルームミラーに正転で「TURBO」となるようにするためだ。

・フロントドアの「HIACE」
左右フロントドアのウエストラインで、隣の車線のクルマに「HIACE」であることを主張!

・サイドのピラー上で「WAGON Custom」
四角いバッジで「WAGON CUSTOM」を主張できるのは、乗用最上級機種の特権。
いまならオレンジの「CUSTOM」部にはLEDを仕込んで光らせるに違いない。

・マッドガードで「トヨタ」
これはエンブレムでなく、マッドガードだが、円の中にカタカナの「トヨタ」文字でシンボライズ。
いかにも昭和くさいデザインだが、ある年代以上のひとには懐かしく感じられるはずだ。
昭和時代のトヨタディーラーのあずき色地の看板にはまずこのマークが大きく刻まれ、その横に「カローラ」「セリカ」などの車名が記されていたものだ。

・リヤナンバープレートの上の「TOYOTA」
ナンバープレート上にあるバックドアオープン時のグリップ(ロックはその上の鍵穴兼用のボタン)はメッキ仕立てで、そこの「TOYOTA」と刻む。
車名マークがクルマごとに個別なのはわかるが、この頃はメーカー名までもがクルマごとにデザインされていた。
いまなら焼き肉の万世みたいなトヨタマークを共通に使うところだ。

・バックドアの「HIACE WAGON」
他の部分では立体的なバッジを起こしているのに、ここでこそバッジにしてほしいリヤではシールで「HIACE WAGON」。これがバンになるとシールのまま「HIACE 1800」などになる。

かけ足で2代目ハイエースの外観をご紹介した。
次回は内装にレンズを向けていく。
ではまた次回。
【撮影車スペック】
トヨタハイエースワゴン カスタム
(C-RH22G-JC型・1980(昭和55)年型・4速コラムシフト)
●全長×全幅×全高:4340×1690×1910mm ●ホイールベース:2340mm ●トレッド前/後:1445/1400mm ●最低地上高: 195mm ●車両重量: 1380kg ●乗車定員:9名 ●最高速度: – km/h ●最小回転半径:5.3m(車体5.8m) ●タイヤサイズ:6.00-14-6PRLT ●エンジン:18R-U型・水冷直列4気筒OHC ●総排気量:1968cc ●ボア×ストローク:88.5×80.0mm ●圧縮比:8.5 ●最高出力:100ps/5500rpm ●最大トルク:15.5kgm/3600rpm ●燃料供給装置:キャブレター ●燃料タンク容量:58L ●サスペンション 前/後:ウィッシュボーン式コイルばね/車軸式半だ円板ばね ●ブレーキ 前/後:ディスク/デュオサーボ ●車両本体価格:186万9000円(当時)
