’80年代を見据えた、走るワーキングルーム
2代目ハイエース解説第3章は内装編。
前編、後編の2回に分けてお送りするうち、前編の今回は運転操作に関する部分をお見せしよう。
なお、前に初代ハイエースの内装も採り上げているので、よろしかったらそちらもご参照願いたく。
※★マークは、当時の資料などでの呼称です。
運転席まわり
・計器盤
2代めの計器盤は、ラジオやオーディオなど、初代に比べて操作関連各部の見てくれがだいぶ現代的(当時としての)になった。
いっちゃあ悪いが、2代目と比べると初代の計器盤は貧弱だったことがわかる。
だがハイエースは元来商用由来のクルマ。
まだまだトラックの域を出ていない。
ただ、撮影車は1980(昭和55)年型なので2代目初期よりも細部が進化している。
併せて初代の写真もお見せしよう。


★コンビネーションメーター
メーターもだいぶ整理がよくなり、1967年型らしい丸形メーターを並べていた初代に対し、こちら2代目(の後期型)は1枚パネルの平面に各メーターを並べている。
左には最高速度プロットが150km/h止まりの速度計、右に燃料計&水温計をレイアウト。
センターには上から★ターンシグナルパイロットランプ、ハイビーム灯、排気温度警告灯(この頃のトヨタ車は日本語!)、右の燃料計と水温計の間に充電警告、オイルプレッシャー警告、ブレーキ警告の各ランプを並べている。
パネル周囲に外光の余計な反射がないのは後期型の進化点だろう。
ここも比較で初代のメーターを添えておこう。


・ハンドル
2本スポークタイプのハンドル。
周囲のグリップはウレタン巻でも、もちろん革巻きでもない単なる樹脂製。
ヘンにソフトじゃなく、汚れも簡単に拭き取れるので清潔感があっていい。
上の計器盤写真で比較すると、写真の撮り方の違いを除いても、どうも2代目の方がハンドルを寝ているような気がする。
ハンドルは前席の前にあるのにタイヤは乗用車のようにその前方でなく、前席真下に位置し、ステアリングシャフトが立ち気味=ハンドルが寝かせ気味になるためだが、2代目の方がより寝ているように見える。
構造上致し方ないのだが、このへんが、フルキャブ1BOXを好まないひとが敬遠する理由になっている。
運転姿勢がトラック的になるからだ。
いまのハイエースもややトラック的だが、いざハンドルを握ると乗用車との違いがわずかにしか感じないのは立派だと思う。
乗用車と変わらないように努めているのだろう。

★イグニッションスイッチ/★集中一体式スイッチ
イグニッションスイッチのポジションは4つで、唯一鍵の抜き差しができ、ハンドルがロックされる「LOCK」、エンジン停止のままラジオなどの電装品が使える「ACC(アクセサリー)」、車両すべての電装品に電気が行き渡る「ON」、スタートモーターを起動する「START」。
ハンドルコラムには集中一体式スイッチがあり(わかりにくくてごめん!)、写真で見てイグニッションスイッチ右にあるのは、キーを「LOCK」位置で抜くための解除ボタン。
その左は★ハザードスイッチ、その向こうに見えるシーソースイッチは、いまはとっくになくなっている★駐車灯スイッチだ。

★ワイパー&ウォッシャースイッチレバー
上から「OFF」、間欠作動の「INT」、低速作動の「LO」、高速作動の「HI」。
先端のボタン押しでウォッシャー液が噴射される。
なお、間欠作動は時間調整機構のない固定間欠式だ。

・バックドアウィンドゥワイパースイッチ
後述するシフトレバーの向こう側には、バックドアウィンドゥワイパーのスイッチがある。
シーソー式で、ON側がワイパーON、さらに押すとウォッシャー液噴射、手前側OFFで停止。
低い位置にあるので後ろのガラスの雨水を拭うときにまごつきそうだ。
前述ワイパースイッチレバーと一体化する発想はまだこの頃にはなかった。

★ライティングスイッチ
イグニッションスイッチの写真に見えるポジション表示を見ればわかるとおり、いまのクルマとほとんど同じ。
すなわちレバー上下で左右ターンシグナル、手前引きでパッシング、向こう押しでハイビームだ。
先端の回転スイッチは「OFF」を起点に1段まわしで車幅灯、2段まわしでライト点灯・・・いまの使いにくい義務化版AUTOライトなんてくそくらえ! な使いやすさがある。

・コラムシフトレバー
コラムシフトのマニュアルトランスミッションレバー。
昔の乗用車はこれが標準の姿でした。
おもしろいなと思ったのは、初代がレバー手前引きの下げで1速、上げで2速、以降3速、4速と続いたのに、2代目ではスタートが逆で、引いて上げて1速、下げて2速・・・となっていたことだった。
初代から2代目に乗り換えたひとはさぞ戸惑ったことだろう。
さきのバックドアウィンドゥワイパースイッチが見えますか。


★パーキングブレーキレバー
・・・は、初代に続いてステッキ式。
というより、いまのハイエースも同じだ。
グイッと引いて制動、解除は引き気味にして左にまわして押し込む。

・ペダル
左からクラッチ、ブレーキ、アクセルペダル。
クラッチペダルとブレーキペダルはハンドルシャフトに分断され、見た目には奇妙に見えるが、クラッチ操作は左足オンリーだから問題ない。
それにしても、フルキャブ1BOXのハンドルシャフトは乗用車のようにバルクヘッドを貫通さすのではなく、床にもぐり込ませるのだから、そらあハンドルだって寝かせ気味になるわな。

★防眩インナーミラー(脱落式)
初代でただの鏡だったルームミラーは、2代目ではワゴンカスタムにこの防眩ミラーが標準装備。
ワゴンカスタム以外のすべての機種はオプションで選ぶことができる。

・サンバイザー
いまも昔も変わらぬ姿のサンバイザーは、運転席用は全機種標準装備。
いちばん安いスタンダードはなしだが、なぜか10人乗りワゴンスタンダードだけはオプションでつけることができ、バン、ロングバン、トラックのスタンダードにはオプションすらないという芸の細かさが光る。

★アシストグリップ
こちらは全機種標準装備で、左右フロントピラー上端にある。
こと、フルキャブ1BOXは前輪の上によじ登って乗り込む格好だから必須だし、この位置が適切だ。

・ドア内張り
乗用ワゴンでもしょせんは仕事グルマなのさという開発陣&デザイナーの声が聞こえてきそうな、素っ気ない内張り。
ドアインナーパネルの構造を隠すためだけにつけたといわんばかりのただの平ボードに、ドアインナーハンドル、レギュレーターハンドル、プルハンドルを理路整然に並べただけ・・・ではあるのだが、スタンダード以外の機種にあるはずドアポケットが見当たらないので、この内張りはレストアの都合上、スタンダード用のものをつけたのかも知れない。

・ブレーキフルード注入口
乗用車なら左右前輪の間がエンジンルームであるところ、ハイエースはキャビンだから、エンジンルーム内にあるべきものが前席にある。
そのひとつがブレーキフルードタンクで、初代同様、メーター右側にある。
注入するときはぶっこぼさないように。

・ウォッシャー液タンク
ブレーキフルード同様、ウォッシャー液タンクも前席側に。
場所は助手席足元。
これも初代と同じ。
いまのハイエースは、フルキャブオーバーといえどクラッシャブルゾーンとしてノーズが設けられており、その内部にはブレーキフルード、冷却液、ウォッシャー液の各タンク、エアコン配管などが収められ、メンテナンスがしやすいようになっている。


・エンジンルーム
エンジンがあるのは前席と後席の間のフロア下なので、そのサービスホールは前席背もたれ直後にある。
ためにフロアはフルキャブ1BOX特有の盛り上がりが左右に走り、2列目乗員が足を延ばしにくい形になっている。
だからといって邪魔者扱いしてはいけない。
荷物を置くちょっとした棚として使うのによさそうだ。
前席シート座面下もエンジンルームにはちがいないが、ここは冷却液タンクや配管などが通っている。



いうわけで今回はここまで。
次回は内装編の後編です。
【撮影車スペック】
トヨタハイエースワゴン カスタム
(C-RH22G-JC型・1980(昭和55)年型・4速コラムシフト)
●全長×全幅×全高:4340×1690×1910mm ●ホイールベース:2340mm ●トレッド前/後:1445/1400mm ●最低地上高: 195mm ●車両重量: 1380kg ●乗車定員:9名 ●最高速度: – km/h ●最小回転半径:5.3m(車体5.8m) ●タイヤサイズ:6.00-14-6PRLT ●エンジン:18R-U型・水冷直列4気筒OHC ●総排気量:1968cc ●ボア×ストローク:88.5×80.0mm ●圧縮比:8.5 ●最高出力:100ps/5500rpm ●最大トルク:15.5kgm/3600rpm ●燃料供給装置:キャブレター ●燃料タンク容量:58L ●サスペンション 前/後:ウィッシュボーン式コイルばね/車軸式半だ円板ばね ●ブレーキ 前/後:ディスク/デュオサーボ ●車両本体価格:186万9000円(当時)

