2025年11月2日(日)に、東京ビッグサイトで開催されていた『ジャパンモビリティショー2025』のコミュニティゾーンにて、SUBARUが主催する『スバルEJ20ミーティング』(以下、EJ20ミーティング)が開催された。

『EJ20ミーティング』の様子(トークショー)。

「EJ20」とは?

EJ20とは、1989年に登場した初代レガシィに初搭載されたエンジンで、市販車にはVAB型WRX STIの終売とともに2020年に惜しまれつつ生産を終了した。

最後のEJ20搭載WRXとなったVAB型の特別仕様車「WRX STI EJ20 Final Edition」。2019年10月の『東京モーターショー』で発表され、555台限定で販売された。

EJ系エンジンは、レガシィがデビューする直前まで旧態化していたEA系エンジンが主力だったスバルに、インタークーラー付のDOHCターボエンジンをフラッグシップにDOHCの自然吸気エンジンからSOHCのボトムグレード用まで幅広いラインナップで登場し、一気にスバルの主力エンジンとして多くのオーナーを魅了した。

EJ系エンジンのフラッグシップとなる2.0L DOHC16バルブインタークーラーターボ。写真は初代レガシィのトップグレード「RS」に搭載されたEJ20G型で、最高出力220ps/6400rpm・最大トルク27.5kgm/4000rpmは当時の2.0Lターボでは最高レベルの出力を誇った。

もちろん初代レガシィの10万キロ世界速度記録を皮切りに、WRCや全日本ラリー、さらにはスーパーGTまでモータースポーツでも幅広く活躍し、多くの功績をもたらした名機でもある。

1989年の初代レガシィの発売プロモーションとして実行された「10万km世界速度記録」挑戦。当時の記録を大幅に上回る新記録を樹立。その後、16年間破られることはなかった。
同じく初代レガシィのプロモーションとして、スバルはイギリスのモータースポーツカンパニー「プロドライブ」とジョインとし、1990年よりWRC(世界ラリー選手権)にワークス参戦。1993年のニュージーランドラリーで初優勝を遂げた。

ゆえにオーナーはもちろん、モータースポーツファンからもEJ20は、広く認知、支持されているのだ。

スーパーGT2025年シーズン最終戦に合わせて開催

「EJ20ミーティング」開催日は、ツインリンクもてぎにてスーパーGT2025年シーズン最終戦が行なわれており、EJ20を搭載したGT300仕様のBRZが最後のレースを戦っていた(予選1位/決勝2位)。

そんなEJ20も、いよいよモータースポーツのフィールドで最後まで活躍していたスーパーGT BRZ GT300からも姿を消すことがアナウンスされ、最後の勇姿を見せる最終戦もてぎラウンドの記念すべき日に、50台ものEJ20搭載車が全国各地から集まった。

会場にはEJ20エンジン搭載車が各世代合わせて50台が集結した。

ゲストには全日本ラリーで活躍中の新井敏弘選手、スバルのレジェンド的存在の辰己英治氏、株式会社SUBARU CTO室モータースポーツ技術プロジェクト主査の嶋村 誠氏と豪華な顔ぶれで開催された。

(写真左から)ゲストの辰己英治氏、新井敏弘選手、嶋村 誠氏。

イベントはすべての車両がボンネットを開け、新井選手のVAB型WRX STIのラリーカーのエンジン始動を皮切りに、参加者が一斉にエンジンを始動するというコンテンツからスタート。会場内には新旧様々なEJ20の咆哮が轟いた。

オープニングセレモニーでは全参加車がボンネットを開け、EJ20エンジンを一斉に始動させた。
まさに”ボクサーサウンド”の大競演となったオープニングセレモニー。

貴重な車両やエンジンを展示

会場の見どころはEJ20搭載車の中でも象徴的なヒストリックカーとして、初代レガシィのWRCグループAマシン(1993年ニュージーランドラリー優勝車)を展示。EJ20の初搭載車である初代レガシィのWRCマシン、しかもスバルワークスのWRC初優勝車という貴重な記念碑的車両なのだ。

スバルが保有するレガシィRSの1993年WRCニュージーランドラリー優勝車両も会場に展示された。エンジンルームまで見せているのは珍しく「EJ20」ミーティングならではだろう。

さらにEJ20エンジン最後の搭載車となるVAB型WRX STIは新井選手のデモランにも登場し、EJ20エンジンを搭載した最初のラリーカーと最後のラリーカーの共演という感慨深い展示となっていた。

スバル/STIブースには1993年WRCニュージーランドラリー優勝車両のレガシィRSと、全日本ラリー選手権参戦車両のWRX STIが並べて展示された。

また、会場内にはVAB型WRX STIに搭載されるEJ20エンジンの展示もあり、普段見ることのできないエンジンの裏側も目にすることができるディスプレイが設置されていた。これには多くの参加者が写真に収めていただけでなく、ディスプレイに設置されていたこれまでのEJ20エンジン搭載車のリストのなかから愛車の名前を探し出す人も多かった。

会場に展示されたEJ20エンジン(VAB型WRX STI搭載型)。
プレートにはEJ20ターボの搭載モデルが仕様毎に出力・トルクと共に一覧で記載されていた。

スペシャルトークショーではEJ20とゆかりのある3名のゲストが開発時の裏話からモータースポーツフィールドでの思い出などを語り、ここでしか聞けないまさな特別なトークを繰り広げた。

ゲストトークショーの様子。

特にラリードライバーの新井選手からは、登場時には故障の多かったEJ20も、年々進化を遂げ、性能だけでなく耐久性も向上し、信頼性の高いエンジンに育ったことなどを高く評価していた。

トークショーの新井敏弘選手。

新井選手によるデモランは、EJ20ミーティングに参加したユーザーはもちろん、モビリティショーに来場した人たちも釘付けの圧巻の走りを披露。新世代のパワーユニットに変わられたとはいえ、惜しむ声も多いことがうかがえるまだまだ現役で通用するパワフルなデモランに歓声があがった。

新井選手がWRX STIの全日本ラリー選手権車でデモランを披露。

スーパー GT2025年最終戦ライブビューイングも実施

そして、このイベントが開催された11月2日はスーパー GT2025年シーズン最終戦(第8戦)もてぎラウンドの決勝戦が行なわれていたが、BRZ GT300もまた、この日がEJ20エンジンでの参戦が最後となることがアナウンスされており、会場ではその有志を遠く離れた東京から応援できるようライブビューイングも開催された。

スーパーGT2025年最終戦もてぎラウンドのライブビューイング。

また、エリア内には千葉スバルによる物販ブースも設けられ、STIやSUBARUのグッスなども販売。さながらスーパーGTの会場を彷彿とさせる雰囲気となっていた。

物販コーナーではスバル/STIグッズなどが販売された。

この記念すべきイベントに応募した車両はなんと500台!10倍の抽選を見事にくぐりぬけたオーナーの皆さんは、まさに至福のひとときであっただろう。

色々な世代のEJ20搭載車が集まり、オーナー同士の会話も盛り上がる。

名機と呼ばれているEJ20だが、新世代エンジンに変わってもそのスピリットは受け継がれており、まだまだ大切に所有し続けるオーナーによってこの先も長きにわたり町中で元気に走る姿を目にすることは多い。メーカーにはまだまだ続けてほしいと思えると同時に、もっとたくさんのオーナーが参加できるイベントに成長してほしいと感じた。

『EJ20ミーティング』集合写真。