ホンダCB200X……359,000円

パッと見では堂々とした雰囲気を感じるものの、CB200Xの車格は2024年まで国内販売されていたCB250Rに近い印象。

ルックスと品質に目を見張る

すべての灯火類はLEDで、フロントウインカーはナックルガードにビルトイン。

バイク館が独自に輸入販売を行うインド仕様のホンダCB200Xと初めて対面して、僕が思わず目を見張ったのは、グローバル志向を感じるルックスと品質だった。一昔前のアジアンバイクは、日本人の感性だと微妙にピンと来ないことが多かったものの、このモデルなら日本のホンダディーラーに普通に並んでいても不思議ではない。

まあでも、日本のホンダディーラーがCB200Xを35万9000円で販売できるのかと言うと、他機種との価格のバランスを考えるとなかなか難しいだろう。

参考値として記しておくと、CB200Xの35万9000円という価格は、スーパーカブ110やリード125の35万2000円と大差がないのだ。

そしてアドベンチャーツアラーという同じジャンルに分類できなくはない、CRF250ラリーは79万2000円で、CB200Xのライバルになりそうな他メーカーの軽二輪は、スズキ・Vストローム250SX:59万1800円、ベネリTRK251:64万9000円、SYM NH T200:39万9300円である。

ホーネット2.0と基本設計を共有

CB200Xと基本設計の多くを共有するホーネット2.0。

近年はミドル以上も販売しているけれど、インド市場におけるホンダ車の主力は昔からシリンダーが直立した空冷100~200cc単気筒車で、現在は11機種をラインアップ。

2021年から発売が始まったCB200Xは(装備の充実化を図った2025年型からは、車名をNX200に変更)、インド市場初のアンダー200ccクロスオーバーツアラーで、位置づけはNX500の弟分。開発ベースになったのはストリートファイター/オンロードスポーツのホーネット2.0で、外装類とライディングポジション関連部品以外の多くを共有している。

なおオンロードスポーツをベースにして生まれたクロスオーバーツアラーでは、ディメンションや足まわりを刷新することが珍しくないものの、CB200Xの専用部品はブロックパターンタイヤのみ。

操安性に関する数値はほぼ共通で、前後17インチのアルミキャストホイールやトラベル量がF:118/R:115mmのサスペンション、φ276mmディスク+片押し式2ピストンキャリパー/φ220mmディスク+片押し式1ピストンキャリパーのブレーキなどは、ホーネット2.0用をそのまま転用しているようだ。

兄貴分のNXに通じる資質

約2週間に及んだ今回の試乗で最も印象的だったのは、撮影を兼ねた約800kmの日帰りツーリングを、そんなに苦も無くこなせたこと。もっとも当初の僕は184.4ccの排気量や17.3ps/8500rpmの最高出力、インド生産であることなど、素性からロングランでの疲労を推察し、目的地に設定した福島県の猪苗代・磐梯地方のどこかに投宿する予定だったのだ。

ところが、撮影終了後の心身の疲労が意外に少なかったものだから、とりあえず行けるところまでという意識で東北自動車道を南下してみたら、日付けが変わる前に東京都西部の自宅に到着。

61×63.1mm、184.4ccの空冷単気筒エンジンは、常用域での扱いやすさを重視した特性で、2024年型からはアシスト&スリッパークラッチを導入。パーツリストには4種のオーバーサイズピストンが記載されている。

そういった快適性は、2024年に当連載で取り上げたNX400に通じるものがあった。あのバイクで自宅と実家がある岩手県盛岡市を往復した際の僕は、自分の使い方なら400ccで事足りるという印象を抱いたのだけれど、今回は184.4ccで十分かも?という気がしたのだ。

と言っても、車体の安定感やエンジンの余力、乗り心地、防風性能など、快適性を左右するひとつひとつの要素を考えると、CB200XはNX400に及ばない。

でも事前にスペックを見てある種の割り切りを持っていたからだろうか、今回の試乗で物足りなさを感じることはほとんど無かったし、その一方でCB200Xならではの軽さと小ささが嬉しくなる場面には何度も遭遇したのである。

軽さと小ささの恩恵

CB200Xの軽さと小ささが際立って感じられる場面として、筆頭に挙がるのは市街地だろう。

何と言っても、車重は147kg、ホイールベースは1355mmだから、兄貴分に当たるNX400(196kg・1435mm)は言うまでもなく、CRF250ラリー(153kg・1435mm)やVストローム250SX(164kg・1440mm)以上に、ヒラヒラ&スイスイとした走りが満喫できる。もちろん、走行写真を撮影する際のUターンも実にイージーだった。

また、嬉しい+意外という印象を抱いたのは、オフロードでの走り。前輪が悪路向きとは言えない17インチで、最低地上高は167mmしかないから、決して無理はできないものの、軽さと小ささのおかげで、このバイクはフラットダートならそれなりに行けるのだ。

前輪が19インチだったらさらに……と思わなくはないけれど、市街地でのヒラヒラ&スイスイした走りには17インチの前輪が貢献しているはずだし(NX400とVストローム250SXは19インチで、CRF250ラリーは21インチ)、フロントまわりの設計変更に伴うコストの上昇を考えれば、その点に異論を言うべきではないだろう。

いずれにしてもCB200Xは、ルックスと品質だけではなく、乗り味についても、グローバル市場で通じる資質を備えていたのだ。もっとも、今回は概要的な話がメインになってしまったので、近日中に公開予定の第2回目では、もうちょっと突っ込んだ内容をお届けしたい。

キャスター/トレール:25度30分/97mm、ホイールベース:1355mmという車体寸法は、開発ベースのホーネット2.0とほとんど同じ。ただし、ホーネット2.0のシート高が790mm、車重が142kgであるのに対して、CB200Xは810mm・147kg。

「この乗り味と価格なら!」旅好きライダーに自信を持ってオススメできる‼ ホンダCB200X 1000kmガチ試乗【2/3】

なんちゃってアドベンチャーツアラー? 試乗前に開発ベースとなったホーネット2.0との共通点を把握した筆者は、あまり大きな期待はしていなかった。とはいえ約2週間・約1200kmを共にした現在は、CB200Xならではの資質にかなりの好感触を抱いている。 REPORT●中村友彦(NAKAMURA Tomohiko) PHOTO●富樫秀明(TOGASHI Hideaki) 協力●バイク館イエローハット https://www.bikekan.jp/

ツボを抑えた装備と構成で、走る場面や乗り手の技量を問わない万能性を獲得 ホンダCB200X 1000kmガチ試乗【3/3】

バイクの趣向は、地域や国によって異なると言われている。もっともインドを主要市場とするCB200Xは、日本人と日本の道路事情との相性も抜群で、軽くて小さなオールラウンダーを好むライダーにとっては、理想の1台になり得る資質を備えているのだ。 REPORT●中村友彦(NAKAMURA Tomohiko) PHOTO●富樫秀明(TOGASHI Hideaki) 協力●バイク館イエローハット https://www.bikekan.jp/

主要諸元

車名:CB200X
全長×全幅×全高:2035mm×843mm×1248mm
軸間距離:1355mm
最低地上高:167mm
シート高:810mm
キャスター/トレール:25°30′/97mm
車両重量:147kg
エンジン形式:空冷4ストローク単気筒
弁形式:DOHC4バルブ
総排気量:184.4cc
内径×行程:61mm×63.1mm
圧縮比:9.5
最高出力:12.7kW(17.3ps)/8500rpm
最大トルク:16.1N・m(1.64kgf・m)/6000rpm
始動方式:セルフスターター
潤滑方式:ウェットサンプ
燃料供給方式:フューエルインジェクション
トランスミッション形式:常時噛合式5段リターン
クラッチ形式:湿式多板
ギヤ・レシオ
 1速:3.076
 2速:1.789
 3速:1.300
 4速:1.066
 5速:0.916
1・2次減速比:3.136・3.214
フレーム形式:ダイヤモンド
懸架方式前:テレスコピック倒立式φ37mm
懸架方式後:スイングアーム・モノショック
タイヤサイズ前:110/70-17
タイヤサイズ後:140/70-17
ブレーキ形式前:油圧式シングルディスク
ブレーキ形式後:油圧式シングルディスク
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
燃料タンク容量:12L
乗車定員:2名

全国に70以上の店舗を展開するバイク館では、国内外のさまざまな車両を取り扱っている。同社はアジアで販売される日本車の輸入にも積極的で、CB200Xの開発ベースとなったホーネット2.0や、中国仕様のCB190シリーズなども準備。