輸入MPV人気を牽引してきたルノー カングー

「ルノー カングー」は、フランスのみならず、欧州各国で郵便車などの商用車として定番的な地位を築いている。ミニバン大国であり、「トヨタ ハイエース」や「日産 キャラバン」なども乗用としても使う層がいる日本では、初代カングーが受け入れられる下地があったのだろう。
初代最大の美点は、5ナンバー枠に余裕で収まる全長4035×全幅1675×全高1810mmというコンパクトサイズで、最小回転半径はわずか5.2m。日本の道路幅の約84%は、平均3.8mの市町村道だそうだが、都市部の住宅街のみならず、郊外でも意外に多い古い住宅地などでも初代であればストレスなく取り回しができる。
背高パッケージによる優れた居住性と観音開き式バックドアも含めた積載性の高さ、リヤスライドドアによる乗降性の良さなど、優れた利便性も高く評価されてきた。
3代目の現在までパワースライドドアが非設定など、あくまで商用ニーズを満たすモデルであり、装備にはある面で割り切りも感じられるが、黒い樹脂バンパー仕様が定番になるなど、道具感が魅力のひとつになっている。それに加えて、MTも設定するなど、クルマ好きの心を揺さぶる要素も見逃せない。
間違いなくマニア向けだった初代以降、世界最大のカングーファンの祭典「カングージャンボリー」の参加者が増えるなど知名度も年々高め、日本製ミニバンで飽き足らない、幅広い層に支持を広げているのは周知のとおり。
初代カングーは消耗品交換などの覚悟も必要

さて、初代カングーは販売終了から約19年が経ち、少なくなっている物件数も含めて狙うにはハードルが高くなっている。オルタネーターのプーリー不良やセルモーターのギヤ欠けなどをはじめ、トラブルの多さも織り込む必要があるだろう。筆者が7〜8年ほど前に初代の中古車を取材した時点で部品取りはめずらしくなく、現在では当たり前になっている。
初代の中古車平均価格は70万円超で、10万km以下の個体も流通しているが、先述したように消耗品の交換などの出費を覚悟する必要がある。デビュー時の1.4リッターか2003年発売の1.6リッターか、ATかMTかも考える必要もあるが選択肢は少ない。
2026年中に狙うならゼンMTがオススメ

初代よりはトラブルが少ないはずの2代目は、110万円という中古車平均価格になっている。ファンからは「デカングー」という愛称で呼ばれているが、最小回転半径は初代よりも0.1m小さい5.1mに収まる。全幅は1830mmになったが、その点を許容できれば狙い目だろう。
2009年9月に上陸した2代目は、1.6リッターNAガソリン、1.2リッターガソリンターボ、人気の1.5リッターディーゼルターボを設定。現在の中古車市場では、ATが約80%、MTは約20%となっている。年式では、2012年式以前が最も多く、2016年式、2018年式が続く。「ゼン」のMT車であれば走行距離が短く、200万円切りもあり、MT派はもとより、MTでも許容できるのであればおすすめだ。

現行型の3代目は、アダプティブクルーズコントロール(ACC)などのADASが搭載され、キャンプなどのアウトドア派などでロングドライブの機会が多い層に朗報となっている。ただし、現在の中古車平均価格は350万円を超えていて、中古車としてうま味(お得に買える)を享受できるのはこれからだろう。
そのほか、限定車などの特別仕様車が多いのもカングーの特徴で、一期一会の出会いもあるかもしれない。
ステランティス3兄弟MPVの筆頭格

「シトロエン ベルランゴ」は「プジョー リフター」「フィアット ドブロ」のステランティス3兄弟のMPVで最も早い2019年10月に日本にデビュー。日本の正規導入は3代目で、初代もPHP(輸入自動車特別取扱制度)を使いわずかに正規導入されたことはあるが、新車でも中古車でも3代目がターゲットになる。
ボディサイズは、全長4405×全幅1850×全高1850mmで、最小回転半径は5.6m。ゆったりしたキャビンとラゲッジを備え、天井部のオーバーヘッドコンソールやガラスハッチを備えたバックドアなど、積載性の高さが美点だ。

パワートレインは、1.5リッターディーゼルに8速ATの組み合わせのみで、粘りのある動力性能と、路面を捉えて放さないロードホールディング性の高さも特徴。2023年1月には、7人乗り3列仕様の「ロング」を追加し、ミニバン・ニーズ(多人数乗車)にも対応している。
2026年1月時点の中古車市場の物件数は、350台弱。平均価格は280万円弱となっている。最も多いのは2021年式で、2020年式と2023年式が続いている。走行距離の短い登録未使用車も流通していて、10万kmを超える多走行車はほとんどない状況だ。

コンディションの良し悪しは当然だが、まだ中古車としてはこれからともいえるベルランゴだけに、予算に応じて選ぶのが妥当だろう。「ロング」も流通しつつあるが、平均価格は370万円超となっている。3列シート車は、日本のミニバンや国産、輸入車を問わずSUVも設定している車種があり、ベルランゴのロングを指名買いしたい人をのぞき、中古車としてのうま味は現行カングーとともにこれからに期待だろう。
物件数、価格面を考慮すると、現在の輸入MPVで最も狙い目なのは2代目カングーである。もしベルランゴ狙いの場合は、数は少ないがリフターやドブロ(もっと少ない)も含めて探すのがベターかもしれない。
