現行市販車トップの燃費性能 国産で希少な6速MTを設定

ヤリスは言わずと知れた日本のベストセラー車の一台だ。この2024年度(24年4月〜25年3月)の年間販売台数(ヤリスクロスやGRヤリスも含む)でも国内全体1位こそホンダN-BOXに譲ったが、スズキ・スペーシアは上回って全体2位に入った。軽自動車を除く登録車部門では、20年2月の発売以降5年連続で王座を守り続けている。なるほど、日本の風景を見渡すと、ヤリスの姿はあふれている。
エクステリア




ヤリスは明確なウェッジシェイプとスモールキャビン、張り出した前後フェンダーなど、これだけのベストセラーながらまるでスポーツカーのようなデザインであることに、あらためて驚く。その分、後席や荷室はお世辞にも広いと言えないが、これほど割り切ったパッケージのコンパクトカーは国産車では珍しい。そんなことができるのも、トヨタにはもう1台、ほぼ共通のハードウエアに実用性重視パッケージを組み合わせたアクアがあるからだろう。
乗降性


ヤリスという商品名は、トヨタのエントリー車としてグローバルに使われているが、日本でお馴染みの、このカタチのヤリスは基本的に日本と欧州専用となっている。ヤリスが属するBセグメントハッチバックは欧州ではパーソナルクーペ的に乗られることも多い。ヤリスがこうして前衛的なスタイルとパッケージを採用できたのも、照準を日本と欧州に限定したから……とも言えるだろう。
インストルメントパネル

自家用車としてはもちろん、レンタカーから営業車まで幅広く使われるヤリスゆえに、バリエーションも膨大だ。パワートレインだけでも1.0ℓ+CVT、1.5ℓ+CVT、1.5ℓ+6速MT、そして1.5ℓハイブリッドの4種類(エンジン形式はすべて直列3気筒)があり、1.5ℓのCVTとハイブリッドにはFFのほかに4WDもある。今どき希少な6速MTが用意されるのも特徴で、運転の練習をしたい若者や「認知症予防にせめてMTを」といった中高年ドライバーにも好適である。こうした手頃で普通のコンパクトMT車は今やヤリスとスズキ・スイフトくらいしか選択肢がないのだ。
居住性


そんなヤリスの1台のクルマとしての魅力は、スポーティなデザインに加えて、圧倒的な軽さにある。車両重量純エンジンのFFなら大半が1tを切り、ハイブリッドでもFFは1.1tに満たない。その結果、走行中のエンン音やロードノイズは少し気になるものの、走りはすこぶる活発で、そしてなにより最良モデルで36.0㎞/ℓ(WLTCモード)に達するカタログ燃費は、掛け値なしに現行市販車トップである。
うれしい装備






月間販売台数 6640台(24年11月~25年4月平均値)
現行型発表 20年2月(一部改良 25年2月)
WLTCモード燃費 36.0㎞/ℓ※「X(ハイブリッド)」のFF車

ラゲッジルーム


また、先進運転支援システムにもグレード間の差は少なく、ハイブリッドは全車にトヨタ自慢のプロアクティブドライビングアシスト(PDA)が、またMT車にもレーダークルーズコントロールが搭載されるのはうれしい。先行車の動きや信号まで先読みして、自然なブレーキ制御や発進忘れ警告をしてくれるPDAは、一度慣れると手放せなくなる、依存性のすこぶる高い装備のひとつだ。すでに発売から5年が経過するヤリスだが、いまだにあまり古びないのは、前衛的なデザインに加えて、毎年のように装備類をアップデートしているからでもある。


※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.168「2025-2026年 コンパクトカーのすべて」の再構成です。
「2025-2026年 コンパクトカーのすべて」モーターファン別冊 統括シリーズVol.168|最強のクルマバイヤーズガイド【モーターファン別冊 ニューモデル速報】公式サイトモーターファン別冊 統括シリーズ Vol.168「2025-2026年 コンパクトカーのすべて」/2025年6月3日発売。
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