ここまで仕上がっていれば、市販化とは間違いなさそうだ!
ジャパンモビリティショー2025のスズキブースに出品された四輪車の中で唯一のワールドプレミアとなった「Vision e-Sky」。
公式発表では「軽乗用BEVコンセプトモデル」と位置付けられているものの、説明文には「2026年度内の量産化を目指す」うえ、「全長3,395mm×全幅1,475mm×全高1,625mm」という具体的な寸法や、「航続距離:270km以上」というスペックまで記されている。
では実車を見るとどうか。まずフロントまわりからチェックしよう。
コの字型のポジションランプに囲まれた中央に配置されるのがハイ/ロービームと思われるが、1灯の光源でハイ/ローを切り替えられるタイプだとしても、サイズとスペースが小さいように思われる。
また、その間にあるピクセル点灯式のライトが組み込まれたアッパーグリルも、コストや法規要件を考えると、市販車に搭載するのは厳しそうだ。
そして開口部が、バンパーリサイクル材を用いたというバンパー下部にしかないのも気になるところ。BEVとしても開口部面積が狭いと思われるので、もし市販車にもこのデザインが活かされるとすれば、この開口部面積が拡大されるか、アッパーグリルのライト部が開くのではないだろうか。

なお、フロントガラスの上部には、単眼カメラが装着されている。これは「デュアルセンサーブレーキサポート2」が装着されると、素直に見てよいのではないだろうか。

ボディ側面に目を移すと、前後ともスイングドアとなっているのが、やはり気になるところ。その内側にある鋼板の形状が、ドアパネルのみならず各ピラーも含めて極めて現実的なことから、ほぼこのまま市販化される可能性が高い。
昨今の軽自動車ユーザーのニーズを考えると、圧倒的にリヤスライドドアに軍配が上がるものの、この通りBEVとするのであれば、スライドドアはコストと重量、室内スペースの面でますます不利なのは明白。
「軽自動車を『生活の足』として愛用されるお客様の毎日に寄り添うEV」をコンセプトに掲げていることからも、ホンダN-ONE e:と同等以下の価格で発売されることを期待できそうだ。

では、開いたドアの向こう側にのぞく室内はどうか。鉢植えが置かれ全面的にくぼんだ助手席側インパネトレーはエアバッグの要件が厳しく、メーターとナビが同サイズかつ一体化したデュアルディスプレイは車格(=コスト要件)とオプション展開を考えると、やはり難しそうに思える。だが、小ぶりになったシフトまわりなどは、高い操作性を期待できるだけに、市販車でもぜひ実現してほしい。

一方、背もたれが上下に分割された前後シートは、コストと機能面(特にフィット感)の両面を考えても、ショー用のお化粧と見るべきだろう。だが、インパネやシートにサステナブル素材を用いるという点は、部分的にであれ市販車にも踏襲されるだろう。

最後にリヤまわりを見ると、太めのC-Dピラーやエッジの立ったバックドアが「スイフト」にも似たスポーティな雰囲気だが、それ以上に気になるのはその下、バンパーからのぞく床下だ。
手前にはトーションビーム式リヤサスペンションが見え、さらにその奥にはバッテリーケースがホイールベース間の大きな面積を占めているのが見て取れる。

ここまで仕上がっていれば、こうした形の軽BEVが市販化されることは間違いなさそうだが、問題はこの「ビジョンe-スカイ」がどのような形で投入されるか、だ。
全高1625mmのボディサイズに前後スイングドアというパッケージングは、「ワゴンR」そのものと言ってよい。そして現行6代目ワゴンRのデビューは2017年。2026年になれば世代交代から9年もの月日が経過することになる。
果たしてこの「ビジョンe-スカイ」が新型「ワゴンR」を名乗りBEV専用モデルとしてデビューするのか。あるいは別の車名を名乗るのか。はたまたガソリン車も併設する形で新型「ワゴンR」となるのか。今から妄想は尽きない。

